月にうーとーとー

うーとーとー。

ああ尊いと神様に手をあわせること。

温かく愛しい響きを持つ沖縄の言葉。

暮らしのなかに祈りが息づく。

今宵はお月さまにうーとーとー。

今日は旧暦8月15日、十五夜。

札幌は朝から快晴、空模様を心配していましたが、

どうやら、北緯43度でも良きお月見ができそうです。

ごくごく自然に祈りが根づく沖縄では

小豆をまぶした「ふちゃぎ餅」をお供えして、

今宵はまんまるお月さまにうーとーとー。

月を愛で、月に祈り、豊穣を祈る。

そんな十五夜に思いを馳せつつ、夏の沖縄旅リポート2016、

旅の後半、本島編もいよいよ最終章、

札幌へ帰る前日、とことん那覇の街歩きを楽しんでいます。

再開発が始まった昔ながらの「農連市場」を後に、

うちなんちゅー99%のローカル商店街、太平通りを朝散歩中、

活気あふれる奥間商店で新鮮島野菜を「下見」し、ぷらりぷらぷら。

奥まった路地に惣菜店やてんぷら屋などのお店が並んでいて、

昭和のノスタルジックな雰囲気がたまりません。

お~、通りにはみださんばかりの日用品が今日も壮観。

銀色のシンメーナービー(沖縄の伝統的大鍋)や

竹で編んだ吊り篭、サギジョーキーなどなど

沖縄の暮らしを支えてきた昔ながらの家庭用品が

ちゃ~んと現役で売られているのがここ「高良商事支店」。

エネルギッシュに品物が並ぶ様子は熱帯アジアの街角のよう。

国際通りあたりでは消えてしまった沖縄の素顔をびんびん感じる

野宮的パワースポット(笑)。大好きなんだ、このお店。

時は平成、2016年の夏ではありますが、

風情は昭和の商店街の繁盛する荒物屋さん。

陶器に漆器、ガラス製品にメラミン皿、家庭金物、台所用品、調理器具に

掃除用品、にんじんしりしり器まで天井までびっしり並んだ商品の数は

いったい幾つなのか、膨大過ぎて数えることは放棄しました(笑)。

特に沖縄らしさを感じさせるのがシーミー(清明)やウークイ(お盆)など

年中行事に欠かせない重箱などの祭祀用品や仏具用品。

「仏具 火の神様神棚 あります」

「シーミー用重箱 あります」

「祝用品も豊富にあります」

「結納用品 あります」

墨字で書かれた赤札の「あります」コピーが圧巻。

揺りかごから墓場、いやあの世までの日用品が揃っている。

まさに沖縄の暮らしに寄りそうお店なのですね~。

と、ん?「ビンシー あります」の赤札に???

「ビンシー」って何?

ごく日常的に仏壇や台所に祭られた火の神様(ヒヌカン)に

「うーとーとー」と熱心に祈る沖縄の暮らし。

神様と同居しているような自然な祈りの日々のなか、

平たいお線香「ヒラウコー」や燃やしてご先祖を供養する「ウチカビ」など

沖縄独特のうーとーとー用品がありますが、

「ビンシー」はその中でも特に重要度が高い別格なお道具。

「瓶子」と書いて「ビンシー」。

御願(ウガン=祈り)に使われる祭祀道具が入った携帯用木箱で

酒瓶、盃、塩、米を仕切りごとに収められるようになっているもの。

見た目はうーとーとーのマストアイテムが詰まったお弁当箱ですが、

その家の祭祀の「実印」とも言われ、

親、兄弟でも貸し借りはしていけないとされる大事な大事な存在。

そんな格調高い祭祀用品も、赤札で「ビンシー あります」。

日々祈り続ける神様が本当に身近にいるんだな~と実感します。

今宵旧暦8月15日は「ジューグヤー」。

沖縄各地で昔から受け継がれてきた十五夜の行事が行われます。

白いお餅に小豆をまぶした「ふちゃぎ餅」を

火の神(ヒヌカン)や仏壇にお供えし、家族でお月見。

豊作を祈願して隣近所が集まって月見の宴をはる地域もあれば、

月を観て豊年豊作を占う習慣も多くの島々で残っているそうです。

また秋の厄払いの締めくくりとして、

村芝居や闘牛、獅子舞など芸能行事を行なれることも多いようです。

月を愛で、月を占い、月に祈る。

ジュウグヤーの今日、太平通りはどんな朝を迎えているのでしょう。

お餅屋さんの店先には色鮮やかなふちゃぎ餅が並び、

農家のおばぁは小さなゴザにちょこんと座って、

ススキと桑の葉で魔除けのゲーン(シバ)を束ねていることでしょう。

今宵北緯43度から、遥か南の十五夜を想いながら。

同じ月を、愛でる。

(写真は)

仏具用品に祭祀用品、結納用品。

人生の節目に携わる品々が

陽気に売られている愛おしい風景。

神様がとても身近な沖縄のうーとーとーの日々。

「ああ尊い」が語源のうーとーとー。

今宵はお月さまに、うーとーとー。