路地裏のビストロ

市場のまわりの小さなビストロ。

赤いチェックのテーブルクロスの上に

力強い島の食材が花開く。

オキナワン・フレンチに

ぞっこんの夏。

夏の沖縄旅2016リポート、旅の後半は本島編。

4日間の濃密な八重山旅を終え、夕方に石垣島を飛び立ち、

飛行機は1時間のフライトでおなじみの那覇空港に到着。

何だか「ただいま」なんて思っちゃう、もはや第二のホームタウン(笑)。

ここの空港は降り立つといつも甘いいい匂いが出迎えてくれる。

ビル内を飾る色鮮やかな蘭など花々の香りや免税店の香水の香りなど

南国特有のエキゾチックな香りが旅人の旅情をかきたてる。

さあ、今年も帰ってきたよ、愛しの那覇よ。

さくさく予約したレンタカー会社の送迎バスに乗り込み、

さくさく手続き完了、さくさくナビに案内されて常宿ホテルに到着、

通い慣れたいつものホテル、いつも通りに旅の荷物を解き、

クローゼットにお洋服などしまい終えたら、ちょうど夕食どき。

夏の沖縄旅後半・本島編、初日の那覇の夜ごはんは

とっておきのビストロを予約してあるのです。

さあ、夏ワンピにお着替えして、いざ市場へ。

やってきたのは那覇市民の台所「牧志公設市場」。

那覇の街はどこで何を食べても美味しいグルメタウンですが、

そのなかでも沖縄中から旬の新鮮島食材が集まる市場まわりは

とびきりの那覇ごはんが食べられる狙い目スポット。

沖縄詣での折、市場に買い物に来るたびに

気になっていた一軒のお店があります。

いつも鰹節やクーブイリチー用の昆布を買う山本鰹節店横の

細い路地に面した小さなビストロ「プチット・リュ」であります。

市場に寄りそう絶好のロケーション。

お店が開くのは夜らしく、昼間はいつも小さな扉が閉まっていて、

でもその佇まいは「ここは絶対美味しいに違いない」と

野宮センサーがビンビン反応していたお店であります。

八重山帰りの那覇初日の夜、今宵は気になる市場ビストロへ。

店じまいした魚屋さんや肉屋さんの代わりに

狭い路地は赤ちょうちんを灯した屋台などが主役、

昼間とはまた違う迷宮風のディープな風情が漂います。

あったあった、路地裏に佇むこじんまりした名ビストロ。

小さな扉のガラス窓には温かな灯がともっています。

「いらっしゃいませ」。

出迎えてくれたのはソムリエ服をすっきり着こなした細身のマダム。

奥の厨房ではご主人のシェフがきびきびと料理中。

ここ「プチット・リュ」は市場があったから

この場所を選んだというご夫婦二人が営むお店。

毎日市場に通い、県産の肉や魚を仕入れ、野菜は契約農場の産直。

ソムリエの奥さまが選ぶ160種類以上のワインなどを楽しみに

地元の人が通い詰める隠れ家ビストロであります。

との事前情報通り(笑)、

赤いチェックのテーブルクロスも愛らしい店内は

既にワインと料理を堪能する地元のお客さんたちでいっぱい。

さあ、八重山帰りの北国の旅人も南国市場ビストロで幸せになるぞぉ。

「え~っとまずは本日の前菜盛り合わせとぉ・・・、あ~、これも美味しそう、

伊江島小麦のガレット~県産豚の自家製ベーコン添えもね、

それからメインは、本部牛の頬肉赤ワイン煮込み、そそられますなぁ。

で、お魚も食べたいし・・ん?んんん?マンボウ???」

黒板メニューに書かれた本日のお薦めから

怒涛のごとく注文する旅人の視線がぴたりと止まる。

「マンボウ」・・・って、あのでっかなお布団みたいな(笑)お魚?

何でもグジョネット(小魚仕立て)のフリットにお料理してくれるらしい。

どうやら沖縄で良く食べられる「アカマンボウ」らしい。

赤くてマンボウ似の体形からそうの名がついた南国のお魚。

沖縄ではざっくり「マンボウ」って呼ばれるみたいね。

そっか、水族館で見るお布団マンボウとは別なのね。

あれも食べたい、これも飲みたい、と欲張りな旅人に

先程のスレンダーマダムがにこやかにワインをセレクト、

まずはオリオン生で喉を潤し、ほっとしたところで、

泡系、白ワイン、赤ワイン、グラスワインやハーフボトルも豊富、

ワイン好き、美味しいもの好きにとっては

那覇の市場の路地裏に潜む天国であります(笑)。

お料理はどれも絶品、本格フレンチの技が光る一皿ばかりだけど、

決して肩ひじ張らずに気軽に気さくに楽しめる。

わいわい酒場感覚で盛り上がれる雰囲気が素敵だ。

料理にワイン、ともにフランスで修業したというオーナーご夫妻。

毎日、市場で仕入れる県産食材のフランス産に通じる力強さを

しっかりとした技術で親しみやすいビストロ料理に仕上げ、

心地よいリラックスした雰囲気で提供してくれます。

フランス産のゴルゴンゾーラにさりげなく合わせるのは

琉球王朝伝統の冬瓜の砂糖漬けだったり、

やんばる島豚のテリーヌには軟骨のコリコリ感が隠されていたり、

前菜の一つ一つに沖縄ならではの豊かな物語があって、

北国の旅人はいちいち新鮮な感動、グラスが進む進む。

「はい、お待たせしました。

マンボウのフリット・グジョネット仕立てでございます」。

やってきました。噂のマンボウ。

おおお~、揚げたてのマンボウフリットが黄金色に輝いている。

おおおお~、負けずに輝く、この器が素敵過ぎる。

那覇の市場の路地裏ビストロで出会った一皿は

この後の沖縄旅でさらなる出会いにつながっていくのでした。

マンボウと器のお話は、また明日。

さっ、冷めないうちに、いただきましょ(笑)。

(写真は)

「プチット・リュ」の一皿。

伊江島小麦のガレット~島豚の自家製ベーコン添え。

ふわりと香ばしい伊江島の小麦と力強い島豚ベーコンが最高。

青い海に突き出るようなとんがり帽子みたいなお山、

伊江島のシンボル「タッチュー」のキュートなシルエットが蘇る。

那覇の路地裏ビストロで沖縄旅を反芻する。

至極の旅時間。