小顔白熊
あれ?
白熊のお顔が微妙に変わった。
可愛いお眼々とお鼻がきゅっと集まって
なんだか小顔になったけど、
ひんやり甘い懐かしさは変わらない。
夏の沖縄旅2016リポート、旅の後半は本島編。
自然・歴史・文化に触れる本島中部ドライブの翌日、
旅の三日目は海が美しい本島南部エリアを訪れています。
「糸数アブチラガマ」の暗闇で71年前の沖縄戦に思いを馳せ、
遅いお昼は海人の島、奥武島名物のてんぷらをいただき、
伝説の海カフェ「浜辺の茶屋」でひと休みした後は
感性豊かな作家の工房が点在する南城市をアート散歩、
昼下がりの強い日差しも少し傾きかけてきました。
そろそろ那覇へ戻る時間ですが、
南部に来たら、絶対にはずせないひんやりスポットがあります。
糸満のロータリー近くにある創業56年の老舗
「まるみつ冷やし物専門店」です。
沖縄ではかき氷やアイスなど冷たいおやつのことを総称して
「冷やし物」といいますが、昭和35年宜野湾市でその専門店としてスタート、
糸満に移転後、オーナーも代替わりしながら、味とスタイルを守り続け、
地元の人々に愛され続けているお店です。
旅人はいささか運転に迷う糸満ロータリーを何とかすりぬけ、
レンタカーは西へ曲がり、市場に向かう道の途中に、ありました。
目印の緑の庇、ガラス窓には大きく描かれた「まるみつ」の文字。
沖縄版三丁目の夕日的な昭和レトロ感がたまりません。
沖縄旅の度に通い続けているお店のひとつですが、
去年あたりは店内に中国語の品書きや説明書きが増えて、
冷やし物の国際化を実感したりしましたが、
今年はちょっと影を潜め、以前の地元感たっぷりの落ち着きが
戻ってきているような気がします。
昔懐かしいデコラのテーブルが並ぶ店内、先客は
地元のご夫婦と中学生くらいの男子とお母さんの親子連れの二組。
ご夫婦は仲良く名物「白熊」をつつき、
わしわし丼物をかきこむ育ち盛りの息子の食べっぷりを
向かいのお母さんが嬉しそうに眼を細めて眺めています。
冷やし物だけじゃなく、そばや定食、食堂メニューも豊富なお店。
昼下がりのまるみつ冷やし物店は
糸満の人々の第二の茶の間、いや縁側なんですね~。
なんだか旅人も荷物をほどいてゆっくりしたくなる。
「え~っと、白熊、下さいな」。
注文を取りに来たお姉さんに迷わずオーダー。
厨房からカリカリカリカリ、氷を削るリズミカルな音が聞こえてくる。
「はい、おまちどおさまでした~、白熊です」。
また、お会いしましたね、糸満名物、白熊くん。
ふっくら甘く煮た金時豆の上にふわふわの氷を載せ、
コンデンスミルクをたっぷりかけた上に
ミカンとサクランボと金時豆で白熊の顔を描いた名物ぜんざい。
そう、沖縄では誰も「かき氷」とは言わない。ぜんざいなのだ。
まるみつ名物のぜんざい「白熊」くん。
今回のお顔は全体的にトップ中央に目鼻が集まり、
なんだかいつもより「小顔」に見えます。
半世紀に及ぶ歴史のなかで白熊くんのお顔も
時代のトレンドがあるのか、単にその日の厨房の気分なのか(笑)、
詳細はわかりませんが、毎回違う表情もお楽しみのひとつ。
しかしいかに「小顔」であっても、そのボリュームは変わりません。
おっとぉ~、不用意にスプーンを入れるとこぼれそう。
それにしても、きょとんとした表情が愛らしい。
白熊くんと目が合うと、なんだかスプーンが止まってしまう。
が、ぐずぐずしていると氷が溶ける、白熊くんもぐずぐずになってしまう。
急ぐ、急ぐが、私は「アイスクリーム頭痛」という困った持病持ち(笑)、
きーーーーーん!っと頭が痛くなる。
ひんやり、美味しい、あ、頭痛い、でも美味しい。
にんまりして、こめかみを押さえて、またスプーンを動かして。
まったく実に落ち着きのないお客である。
小顔のくせしてボリューム満点の「白熊」くん。
頭痛と悪戦苦闘しながら(笑)完食する頃には
昼下がりの日差しで火照って体も内側からひんやりとクールダウン、
またまた旅の活力がみなぎってきました。
「お会計お願いします」。レジでお金を払っていると、
「あのね、ゴーヤチャンプルー、持ってきたいの、お願いね」。
新しく入ってきたご近所さんらしきおばあちゃんが何気に注文。
「わかった、ちょっと待っててね」。お姉さんも手慣れた対応だ。
チャンプルーやとんかつ、今晩のおかずも気軽にお持ち帰り。
半世紀続く冷やし物専門店、我が家の第二の台所でもあるらしい。
でっかな「白熊」くんを頬張りながら
ひととき糸満人の暮らしを垣間見る。
その土地のリズムに心を委ねる時間。
旅の醍醐味ってこういう瞬間かもしれない。
小顔白熊くんに別れを告げて、
さあ、那覇へ帰ろう。
(写真は)
ね?
きゅっと目鼻が集まって、
ちょっと小顔な「白熊くん」。
とぼけた表情がたまらない。
家に連れて帰りたいけど、
お持ち帰りは不可能(笑)。

