タコス・タコ
ゲート前のパーラーで
タコス・タコライスを食べる。
英語と日本語併記のメニュー、
壁にはAサイン許可証。
沖縄を実感するランチだった。
夏の沖縄旅2016リポート、旅の後半は本島編。
2日目は朝から愛する沖縄の焼きもの「やちむん」を求めて
読谷村への聖地巡礼ドライブに出かけました。
60余りの工房が集まる「やちむんの里」で勇壮な登り窯を眺め、
お目当ての大嶺實清さんの工房&ギャラリーを訪ねた後は
その大嶺さんに師事した壱岐幸二さんのアトリエへ。
端正な器と印象的なオブジェに心を動かされました。
本島中部にある読谷村は美しい山と海の両方に恵まれ、
琉球王国時代に進貢貿易の拠点として栄え、多くの文化を取り入れ、
独自の風土を形成してきた歴史があります。
米軍基地跡地の再利用として文化村構想が持ちあがり、
気鋭の陶芸家たちがその趣旨に賛同、
相互扶助「ゆいまーる」の精神で伝統を受け継いだ土地には
未来につながる革新的な作品が生まれる豊かな文化的土壌があります。
日本一人口の多い村でもある読谷村、
中部エリアおすすめのほっこりドライブ拠点です。
愛するやちむん工房めぐりを終え、ほっと一息。
レンタカーの中でガイドブックの地図を広げます。
北隣の恩納村は美しい海岸沿いにリゾートが連なるエリアですが、
実はリゾートエリアから山側に入ったある場所を探していました。
この春に起きたあの悲しい事件の現場であります。
被害女性のご遺体が見つかった場所には
今でも多くの人が訪れ、献花が絶えないと聞いています。
素通りは、できません。
ニュース報道などで海沿いから東海岸へ抜ける道沿いらしいことは
類推できましたが、詳しい場所は全然わかりません。
とりあえず国道58号線を北上、真栄田岬、万座毛と美しい景勝地を過ぎ、
東海岸へ抜ける山越えの県道との分岐点まで車を走らせていると、
地域の人々が共同で運営している共同売店を発見。
地元の人々も心痛めた出来事、口に出すのをためらいましたが、
思い切って場所を訪ねてみると
「ああ、山道入ってすぐなんですけど・・・」と
店番女性二人が親身になってパソコン検索、
目印となる場所などを丁寧に教えて下さいました。
本当にありがとうございます。
リゾートエリアが連なる国道58号線から山を超える県道へ。
交通量が多い幹線の58号線とは打って変わって
地元の人しか走らない生活道路のようですれ違う車もありません。
山側に入ったとたん、周りはほぼ米軍基地。といっても演習場なので
建物はなく緑深い森の前にフェンスが続く山道です。
県道に入ってほどなく、道の両側に車寄せがある場所が。
森を通る県道沿いの一角を埋めるように花束が置かれていました。
ここです。車を反対側の車寄せに停めて、県道を渡り献花台へ。
レンタカーもたくさん走る国道からこんなに近かったのですね。
共同売店で買い求めた飲み物とお菓子をそっとお供えし、
ただただ、静かに手を合わせ、ご冥福を祈りました。
こんな寂しい場所で、こんな森の奥で、人生を断ち切られるなんて。
恋をして、仕事をして、幸せな人生を夢見ていたのに。
時折走る車の音以外は何も聞こえない沈黙の森。
いや、蝉や虫の声が聞こえていたのかもしれないけど、
無念さに胸がふさがれ、耳も心もふさがれてしまった。
車の運転席に戻っても、すぐ走らせることができません。
しばらく気持ちを落ちつけてから、静かに発進、
森を通る県道を東海岸に向かって走り始めました。
たまに地元ナンバーの車とすれ違うだけで、
レンタカーのわナンバーやれナンバーにはまず出会いません。
本当に観光旅行で通る道ではないのですね。
恩納岳の山裾に添うように山道を上り、下ると東側の金武町。
言わずと知れた基地の町であります。
気がつけば午後2時半過ぎ、とっくにお昼を過ぎています。
何だか空腹なのも忘れていましたが、帰り道を考え、
ここ金武町で遅ランチにすることにします。
総面積の60%を米軍基地が占める金武町、
ベトナム戦争時には中間地点として活用された当時の記憶を
特に強く感じるエリアが新開地地区。
日本とアメリカの国旗が飾られたアーチをくぐると
「フレンドシップ通り」と呼ばれるメインストリートが続きます。
しんと静かな昼下がりの新開地。
古いコンクリートの建物に英語の看板。
ウォールアートのような派手なイラストが書かれた看板。
米軍統治時代の盛り場の雰囲気がそのまま残っているため、
映画やCMの撮影にも使われることも多い場所。
ほぼ中央に「金武町アクティブパーク」なる広場があり、駐車場も完備、
新開地の案内図には「金武町はタコライス発祥の街」とありました。
そうだった、ここ金武町は沖縄B級グルメの鉄板タコライスの町だった。
車を広場の駐車場へ停めて、昼下がりの新開地を歩きます。
確かに、映画のロケ地に中に紛れこんだみたい。
そこの古ぼけたビルから松田優作がくわえ煙草で出てきそうだ。
「SURF SIDE」「HAWAII PARK」楽園みたいな店の看板と
しんと静まり返る白昼の盛り場の対比は何とも映画的。
目指すお店が見えてきました。
その名も「GATE 1」(ゲートワン)。
キャンプ・ハンセンの第1ゲートの真ん前にあるから
「ゲート 1」。わかりやすい。
外観も店内も英語の看板であふれています。
ゲート側には気軽にテイクアウトできるパーラー形式の窓口が、
そして横の入り口から店内に入るとレトロなソファ席もありました。
赤や青のネオン管、60年代のコカコーラの看板、
そして店の壁には年代を経た「Aサイン」の許可証。
街と米軍基地との深い関わりを物語る歴史の証人です。
昼下がりの店内はお客が一人もなく貸切状態。
英語のメニューがずらりと並ぶカウンターで
ここの名物「タコス・タコライス」を注文。
金武町自慢のB級グルメがいっぺんに味わえるセット。
ハーフサイズのタコライスにタコスが2つもついて550円。
ハーフサイズと言ってもほぼ私的にはフルサイズ(笑)、
女性同士ならシェアしてちょうどいいくらいのボリュームです。
超リーズナブルなお値段にもかかわらず、
タコライスもタコスも添えられた辛いタコソースも本格派。
店構えは気軽なパーラーですが、
しっかりオキナワン・メキシカンを味わえました。
タコスでは腹が減ると言った米兵のリクエストで誕生したとか、
皮を作るのが大変だから米兵も喜ぶボリューミーな白飯にしたとか、
タコス屋さんの従業員のまかない食だったとか、
諸説の誕生物語があるタコライスですが、
沖縄の歴史、ちゃんぷるー文化を象徴する
金武町発祥の味であることは間違いありません。
しんと静かな白昼の基地の街で食べたタコス・タコ。
タコソースの辛さがなぜだか心にしみた。
さあ、美しい金武湾を眺めながら那覇へと帰りましょう。
午後の329号線、沖縄ナンバーの車に混じって
旅人のレンタカーは走る。
(写真は)
金武町新開地の「GATE 1」。
黄色の日本語の幟がなければ、
どこかアメリカの小さな町のダイナーみたいだ。
金武町名物タコライスの店は昼間空いている店が
意外に少ないので、ドライブランチにも便利。
ほんと、映画のロケ地みたいだった。

