島唄の魔法
あれ、あれれ?
気がつけば、誰もが踊ってる。
出会ったばかりの旅人同士も島の常連さんも
賑やかな三線のリズムに身を任せ、
ステージと客席が一体となって盛り上がる。
島唄の夜、最高。
夏の沖縄旅2016リポート、旅の前半は石垣島ステイ。
西表島・由布島・小浜島・竹富島と八重山4島クルーズの翌日、
三日目はメインアイランド石垣島を一周ドライブ。
ミシュラン三つ星の絶景、川平湾や希少なサンゴ礁を有する白保海岸を散策、
八重山そばに楽園パーラーの南国スイーツも堪能、
亜熱帯の森にある島の手仕事の工房や石垣の塩が生まれる海も愛で、
八重山伝統のミンサー織りと島藍の素敵なつながりにも出会い、
密度の濃い情熱石垣旅を満喫しています。
島ごはんも初日の夜は八重山の島野菜、二日目は新鮮な島魚、
そして三日目はマグロ専門居酒屋と存分に楽しんできましたが、
素敵な石垣旅の時間はあっという間に過ぎていくもので、
今回は3泊の日程、気づけば島最後の夜なのでありました。
ふだんは超朝型人間ですが、今夜ははしご(笑)、島唄に酔いしれましょう。
賑やかな民謡居酒屋も良いですが、地元色の濃いお店がいいなぁ。
というわけで、目指すは「芭蕉布」。
ダイビングで石垣島によく来る学生時代の友人が
「地元感たっぷりなら芭蕉布だね」と教えてくれたのですが、
開店は午後8時、ライブ開始は9時、食事はない純粋な島唄ライブの店。
超人気マグロ専門居酒屋で早めの島ごはんだったのが結果オーライ。
ふふふ、スケジューリングもばっちり。
夕食後は八重山藍のショップ「shimaai」でゆっくりショッピング、
オーナーの大濱さんからミンサーと藍の素敵な物語を伺い、
別れ際、「あの、芭蕉布はどっちですか?」とちゃっかり場所を聞き、
やってきました、石垣島のネオン街、美崎町。
南国の島のミニすすきの、美崎町。
夜の街にひときわ青く輝く看板発見、あった、ここだ、「芭蕉布」。
一応、事前に予約はしておいたんだけど、ネオン街慣れしてない旅人、
ライブハウスというよりはスナック風の木の扉をドキドキしながら開ける。
「こんばんわぁ~」・・・あれ、8時半なのに、店内ガラガラ、口開けの客だった?
「あ~、はいはい、いらっしゃいませ~、ご予約のお客さま?」。
八重山ミンサーの着物を着たおばちゃまが出迎えてくれて、ほっ。
「どうぞぉ~、お好きな席に」。
言われるまま、ステージ右側の最前列の席に落ち着く。
ほんと、民謡居酒屋じゃない、ここは民謡を楽しむための店だ。
店内奥のステージを中心に、太鼓や三線など琉球楽器が置かれ、
席は40席ほど、横の壁には巨大なアンガマーのお面。
アグー豚とか石垣牛時価(笑)とかそんなお品書きは皆無、
泡盛片手に八重山民謡に酔いしれる島唄ライブ空間であります。
島唄が暮らしと密着している石垣島ならではの民謡酒場、
島人が愛する店に旅人は魅かれる。
がしかし・・・お客さんが誰もいないよぉ~。
ミンサーおばちゃんは愛想よくドリンクやおつまみを運んできてくれるけど、
このまま、民謡ライブ始まっちゃたら、どーしよう。
アタシだけで盛り上げられないよぉ・・・と不安になったその時、
「こんばんわぁ~」と4、5人連れのグループが入ってきた。良かったぁ。
かりゆし姿のビジネスマン風のおじさんが
「今晩はね、福岡からのお客さん」なんて、ミンサーおばさんに言っている。
どうやら、常連さんらしい。ますます良かったぁ。地元感漂ってきたぞぉ。
がしかし・・・開演の9時になろうというのに、ステージに動きがない。
大丈夫だよね、民謡ライブ、するよね?してくれるよね?
何せ放送の仕事が長いゆえ、オンタイムで進まないと、気が気でない(笑)。
と、その時、「うぃ~っす!こんばんわ~!予約した大勢でぇ~す!」。
若者、ちょっと前まで若者、若い女性の観光客に母と娘の親子連れなどなど
バラエティー豊かな大人数集団がドドドっとやってきました。
よ~し、これで民謡ライブらしくなってきたぞぉ~とほっと一安心していると、
あれよあれよという間にこちらのテーブルとあちらのテーブルがドッキング。
「もう、テーブルつけちゃいましょ!一緒に飲みましょ!ねっ!」
ひときわ元気なサーファー風お兄さんの超明るい笑顔に巻き込まれてしまった。
これが、民謡酒場か、垣根もボーダーもないのだ(笑)。
聞けば、別の民謡ライブで仲良くなった一団らしい。
な~るほどね~、島で働く若者もいれば、都会からの移住組に
若い観光客の女性グループに母娘連れ、年齢も性別も雑多なわけねぇ。、
まさに「いちゃりばちぇーでー(行き逢えば兄弟)」だわぁ。いいねぇ~。
と、またまたそのとき、「あーっ!知ってるー!テレビ出てた~!」。
その若い女性の一人が私を指さし、立ちあがった。
まさかの札幌からのお客さん、若いのに(笑)画面の私を覚えていたらしい。
南の島の民謡酒場で、まさかの顔バレ(笑)。これも旅の思い出。
賑やか集団の参入ですっかり忘れていましたが、
開演時間をゆうに20分過ぎて、ようやくステージが明るくなった。
三線片手に粋なおじさま登場。
鳩間島出身の唄者、鳩間隆志さんであります。
「芭蕉布」は父の隆志さん、若き唄者として活躍中の娘の可奈子さんなど
鳩間ファミリーによる本格的な八重山民謡が聴ける店。
今晩はパパの唄を存分に楽しめそうです。
まずは鳩間パパのご挨拶。
「こんばんは。ようこそいらっしゃいました。
すみませんね、20分も遅れて、高速が渋滞していたもので」。
・・・あっ、あー、ここ、笑うところだったんだー(笑)。
石垣に高速道路なんてないもんね~、
真面目な顔で聞いてた旅人はおおいに反省。
ゆるい島時間、島ジョークに慣れなくては(笑)。
気分もほぐれたところで、静かな三線の流れに身を任せる。
優しいトゥバラーマの調べ、時に激しくかき鳴らす三線。
CDも出している鳩間パパの渋い唄声に魅了され、
飛び入りで歌った東京から移住組のデザイナーおじさんの
プロはだしの三線と唄、太鼓にもびっくり。
ライブ開始早々、ノリノリでカチャーシー踊りまくっていた、
かりゆしビジネスマンは何と泊っていたホテルの支配人さんだったり。
気がつけばお客さん全員総立ち、内気なアタシも、まさかのカチャーシー(笑)。
「芭蕉布」そこは極楽ボーダーレスの空間。
島の人は恥ずかしがり屋。
だから唄とお酒が必要なんだ。
「BEGIN」の比嘉さんが何かの番組で
そう語っていた。
そうだ、恥ずかしがり屋さんほど、
内気な人ほど、
民謡酒場へ行こう。
隠れていた陽気な自分に会えるよ。
島唄の魔法だ。
(写真は)
「芭蕉布」のオーナー。
鳩間パパ、鳩間隆志さんと。
札幌でもライブすることがあるらしい。
雪の降る夜のトゥバラーマ、
想像するだけでうっとりする。

