初夏のルビー
初夏の宝石。
山形から届いたさくらんぼ。
ルビー色の輝きにためいきが。
世界でいちばん美しい果物かも。
ああ、うっとり。
学生時代の友人が故郷の山形から、
毎年、この時期に贈ってくれる絶品さくらんぼ。
泣く子も笑う(笑)天下の「佐藤錦」であります。
今年も、ホントに、ありがとう。
デパートの高級フルーツ売り場でも別格のスーパースターを
我が家でいただける幸せ。
持つべきものは、友、であります。
「今年も色も味も甘みも最高、ありがとうねぇ~」。
早速、友人にお礼の電話をしたところ、
なんでも今年は特に天候に恵まれて、豊作らしく、
収穫時期も1週間ほど早かったそうです。
言われてみれば、いつにもまして赤みが鮮やかなような。
初夏のルビー、本当に美しい。
山形のさくらんぼといえば「佐藤錦」。
味も人気もナンバーワン、県内栽培の7割を占める絶対王者。
その誕生物語は大正元年に遡ります。篤農家の佐藤栄介氏が
流通に耐える優秀な品種を作ろうと一念発起。
日持ちは良くないが味がいい「黄玉」と
酸味が多いが固くて日持ちが良い「ナポレオン」をかけ合わせ、
実った身から種をとり、それを蒔いて苗を作り、さらに育ててと、
地道な努力をひたすら重ねていったのであります。
たくさんの苗の中から葉が大きく、質の良さそうなものだけ選んで
さらに移植、およそ20本を育て、そこからさらに10年。
大正11年に初めて新しい木に実がなったのです。
風味も日持ちもよくて育てやすい超優良品種の誕生でした。
その中からさらに最も良い木一本を最終的に選びぬき、「原木」に決定、
貴重な原木はフスマ袋をはぎ合わせたテントで雨から守られ、
それはそれは大事に大事に育てられたそうです。
六月のルビー誕生物語を知ると、
さらにその甘さがいとおしくなります。
実はちょっと素敵なエピソードがありました。
ピカイチの新品種の名前をつけるにあたって、
ご本人は出羽三山にちなみ「出羽錦」と名付けようとしたのですが、
長年の苦難の道のりを知る苗木商の友人が
発見者の名前を入れた「佐藤錦」にしようと進言したそうです。
なんか、ほのぼの、いいお話ですねぇ~。
歴史的功績を果たしながら、「オレはオレが」とはならない努力の人、
そしてその情熱を認め、そっと背中を押した友人。
可愛いサクランボの陰に、男の友情あり。
農産物自由化でアメリカ産のサクランボが入って来た当初、
日本のサクランボは打撃を受けるのではないかと心配されましたが、
どっこい、佐藤錦は強かった。
栽培面積はむしろ自由化以前より増え、
大粒で甘い黒船襲来にもびくともしませんでした。
手間をかけ、愛情をかけ、雨除けテントをかけ、
大事に大事に育てられた山形の箱入り娘の市場価値は揺るぎません。
日本農業の底力を感じます。
佐藤錦の収穫時期は6月から7月にかけて。
その美しい赤からルビーにも例えらますが、
ルビーは7月の誕生石でもあります。
その宝石言葉は「情熱」「仁愛」。
努力に末に生まれたさくらんぼにふさわしい宝石。
初夏の緑にはルビーが良く似合う。
(写真は)
見よ、「佐藤錦」の美しいルビー色。
世界で一番可憐な果物だと思う。
甘さを引きたてる上品な酸味。
小さな果実からあふれる果汁。
一粒ごとに新鮮な驚きがはじける。
さくらんぼに首ったけ。

