香りフリット

風薫る五月。

浜辺から届けられた贈り物は

三つ葉みたいな可愛い葉っぱをつけていて

世界中の爽やかさを集めたような香りがした。

凄いぞ、「ハマボウフウ」。

昨日、夫がどこからか旬の高級野菜を頂いてきました。

野生の「ハマボウフウ」です。

海岸の砂地に分布するセリ科の多年草で、

かつては日本全国の浜辺で見られましたが、

開発による砂浜の減少や乱獲などで、その数は激減。

スーパーなどで目にする「ハマボウフウ」はほとんどが栽培物で

天然の自生物は今となっては超レアな存在、

高級料亭でもなかなかお目にかかれないお宝野菜なのです。

海岸の砂地にゴボウのような長~い地下茎を伸ばし、

地表に這うように緑の葉を広げる「ハマボウフウ」。

ギザギザの小さな三つ葉みたいな可愛い葉っぱと対照的に

白い茎はがっしり太め、葉に近い方は美しい赤色をしています。

そして何より印象的なのがその素晴らしい香り。

山椒のような、生姜のような、茗荷のような、ミントのような・・・、

爽やかで力強い芳香はほぼ香草。

さすが野生の「ハマボウフウ」、香りが違う。

この希少な浜辺の香草をどうお料理しましょうか。

おひたしもありですが、茹でてしまうのもなんだかもったいない。

香りをそのまま味わうには・・・やはり、天婦羅でありましょう。

連休明け、プチ晩酌のおともにちょっと頑張っちゃおうっと。

いそいそとハマボウフウを水洗いし、しっかり水気をとって、

あとは衣のスタンバイ。

卵を冷水で溶いたところに、小麦粉に片栗粉を少し加え、

ざざっと混ぜた衣をハマボウフウに軽くまとわせ、

少量のオリーブオイルでさっと揚げていきます。

ま、天婦羅というよりもフリット、ですな。

おおお~揚げている段階で既に素晴らしい芳香がする。

「さあ、できたよ~!」

熱々揚げたてをやちむんプレートに盛り付け食卓へ。

「いっただっきまぁ~す!」。

香りをそのまま味わうために岩塩のみで。

さくっ、シャキシャキ、ふわぁ~~~。

心地よい食感とともに爽やかで力強い香りが一気に満開。

「こ、これは、美味い」「美味過ぎる~」。

連休明けの夕暮れの食卓、夫婦で悶える(笑)。

あまりの美味しさに箸が止まらず、かなりの量がありましたが、

「ハマボウフウ・フリット」またの名を「香りフリット」、完食。

五月の浜辺の爽やかさな野草、

オリーブオイルで揚げたのが大正解。

天然の野生ハマボウフウの香草並みの強い芳香は

やわな調理法では負けてしまいそうな気がしたのよね。

雨にも、雪にも、強い海風にも負けず、しっかり根を下ろし、

砂浜を這うように緑の葉を茂らせ生き抜く植物の生命力を

そのままいただくことができました。

五月の香りフリットのおかげか、

特効薬「アレグラ」のおかげか(笑)、

花粉症の鼻グシュグシュも今朝は随分と楽になった。

人は自然に生かされている。

地球に感謝。

(写真は)

五月の浜辺の爽やかさ。

野生ハマボウフウの香りフリット。

二人でこの三倍食べちゃった。

だって美味し過ぎるんだもん。