雛の宿

し、知らなかったぁ、

三人官女には微妙な違いがあったのねぇ~。

何十年もお雛さま眺めてきたのに、

幾つになっても人生は発見の連続、

びっくりぽん、やわぁ。

「雲が好き 三人官女の 真ん中は」。

三月三日、ひな祭りの朝刊で見つけた一句。

折しも先日のブログで取り上げた「うふふふふ」の句と同じ、

坪内稔典が詠んだ雛の節句の情景です。

同じような装束をまとい、同じように見える三人官女ですが、

作者には真ん中の官女はうららかな春の空を

のんびり見あげているようにでも見えたのでしょうか。

静かな雛人形を人間的に生き生きと活写していますね。

三人官女の真ん中ねぇ。

ん?俳句の解説には

「ここは最も年かさの既婚女官が位置するはず」とあります。

え?三人官女って、未婚、既婚の違いがあったの?

あわてて色々検索してみると・・・

確かに三人官女の両端の2人はミス、真ん中はミセス、とされている。

お恥ずかしい、何十年、お雛さま眺めてきたのに、

女に生まれて何十年経つのに(笑)、知らなかったぁ。

雛壇に飾られた三人官女、

お上品な色白のお顔をよぉ~く観察すると、

中央の官女のお化粧、メイクが他の2人と微妙に違うはず。

何かが、どこかが違う。そう、眉と口元。

真ん中の彼女だけ眉を剃り、お歯黒をつけている。

これは当時の既婚女性の習慣。

三人官女の真ん中は一番年上のお局さまだった(笑)。

何だかお雛さまが身近に思えてきます。

真ん中のミセス官女、日頃、宮中のあれやこれやのお仕事を

若い2人の官女をフォローしながら差配していたのでしょう。

今日は雛の節句、朝から大忙しで立ち働いて、ほっと一息、

ほっとうららかな春の空に浮かぶ雲など眺めているのかも。

あ~あ、ちょっと腰にきたかしら、いやだわ、アタシも年?

な~んてね(笑)。

2対1で男子優勢の我が家、

いつにまにかひな祭りも縮小の傾向(笑)。

幼い頃飽かず眺めた段飾りの雛人形は姉の家に嫁ぎ、

我が家では小さな豆雛とともに桜餅を食べるくらいなもの。

毎年三月が来るたびに女の子がいるお家は

さぞや華やかで賑やかなのだろうなぁと想像します。

「めでたしや 娘ばかりの 雛の宿」

さすが、大好きな子規さま、

明治26年の春、こんな素敵な一句を詠んでいます。

弥生三月、ぼんぼりが灯る家の中から

娘たちの笑いさざめく声が聞こえくるような。

華やかな彩りに包まれる雛の宿よ。

しかし、さすがさすがの子規さま、

その2年後の明治28年になこんな一句も。

「雛もなし 男許り(ばかり)の 桃の宿」

実は日清戦争の従軍記者として

戦地へ赴く子規を送る宴の際に詠んだ句で

雛祭りののどかさとほほど遠い状況で生まれた作品ですが、

忙しさに紛れてうっかり豆雛さえ出すのを忘れる近頃の自分への

戒めの一句にも思えてきます。

宿の形も色々あれど、

雛の宿も、桃の宿も、残雪の宿も

幸多かれと祈る弥生三日。

お雛さまは永遠のアイコンです。

(写真は)

ウチの豆雛さまをズームアップ。

あれ!?

真ん中の官女に眉がある!

ウチの三人官女は、全員ミス、だった~。

まさかの、三月三日(笑)。