水滴とはぶらし
ぞわり・・・というか、
ざわり・・・というか、
なんとも言えないきしみが残る場面。
洗面台についた水滴、無造作に置かれた歯ブラシ。
女たちはこの後どうなっていくのだろう。
現代女性たちのリアルを映し出すNHK夜のドラマ枠、
年明けからスタートした「はぶらし 女ともだち」。
その初回からぐいぐい引き込まれてしまいました。
「イライラするけど続きが気になる」。
製作サイドの思惑通り(笑)、すでに次回の展開が気になる気になる。
原作は近藤史恵の小説「はぶらし」。脚本は横田理恵。
女性ならでは視点が、コワい。
人気脚本家として東京で活躍、「今が幸せ」と感じる鈴音の元へ
ある雨の夜、故郷・静岡の女子高合唱部で共に青春を過ごした
同級生の水絵が幼い一人息子を連れて突然現れた。
20年ぶりの再会に驚く鈴音に水絵は懇願する。
仕事もお金も住む家も失ったので「一晩だけ泊めてほしい」。
雨に濡れた母子を邪険に突き放すこともできず、
快適なひとり暮らしのマンションに招き入れた・・・。
ぞわり・・・ざわり・・・ホラーとは違う心理的な怖さがクセになる。
懐かしいはずの同級生の出現をきっかけに
「今が幸せ」な日常が少しずつ浸食されていく。
それは恐怖というよりも、何とも表現しがたい「異和感」。
鈴音役に内田有紀、水絵役に池脇千鶴、
実力派女優を配した絶妙なキャスティングも奏功して
30分枠のドラマについ時間も忘れてしまいました。
象徴的なのが洗面所での場面。
その夜、突然の闖入者にとまどいながら、
歯磨きしようと目を落としたいつもの洗面台に「異和感」が。
そこには水絵に貸した2本の新品のはぶらしが無造作に置かれ、
拭きとらずに残されたままの水滴が放置されていた。
一瞬息を止め、次に傍らのモダンなボックスからティッシュを引きだし、
これまでの日常ではありえなかった異物をぬぐう鈴音。
水滴は拭きとれたが、「今が幸せ」が少しずつ侵されていく予感。
20年後に会った友達にどこまで優しくできるのか。
20年後に会った友達をどこまで妬ましく思うのか。
かつて同じ場所で青春を過ごした
30代後半の女性二人の現実が静かに深く交錯する。
「今が幸せ」と思う鈴音と「他人の幸せ」が妬ましい水絵ですが、
それぞれに単純に割り切れない内面を抱えています。
「女ともだち」、果たしてどっちが「幸せ」なんだろう。
本能的に「幸せ比べ」をしてしまう女性だからこそ描けるリアル。
水滴と歯ブラシ。
洗面所の一場面だけで見事に複雑な女心の応酬を表現しています。
原作、脚本とも女性ならでは視点でありましょう。
水滴など残さない洗面台は生活感のないシングルライフそのもの、
一方、借りた歯ブラシを「新しいの買ったから」と返す水絵の姿には
したたかな生活感と悪意さえ感じる鈍感さが漂い、妙にコワい。
女ともだちの「洗面所」は、女のリアルが交差点なのだ。
「洗面台の水滴はちゃんと拭いてね~!」
そういえば小さな息子によく調教してきたものだった(笑)。
よほどの清潔好きは別にして
大抵の男子は洗面所の水滴などさほど気にしない。
男ともだちの家に一泊しても水滴や歯ブラシの貸し借りで
心がざわついたりはしないでしょう。
多分、そこからドラマが始まったりはしない。
水滴と歯ブラシ。
女心のリアルが交差する鈴音のキレイな洗面所。
この先、どうなっていくのでしょう。
うふふ、ちょっとコワくて、すごく楽しみ。
あ、友達の家に泊まる時は歯ブラシ持参で。
コレ、女ともだちの「掟」(笑)。
(写真は)
大晦日のデザートを元日リメイク。
グラス入りティラミス風トライフル。
残ったティラミスと生クリームと苺とバナナと
頂き物のカステラをラム酒を利かせてグラスに入れて。
仕上げはゴディバの純ココア。
我が家の男子たちにも大好評。
もちろん水滴もきちんと拭いてくれますよ。エライ偉い(笑)。

