幸せの記憶
札幌の街が白く埋まった。
空が破れたみたいに降り続けた雪、
あっという間に積雪40cm超え。
11月の雪としては62年ぶりの記録。
これには雪に慣れた道産子もびっくり。
11月の札幌で積雪40cmを超えるのは1953年以来とか。
う~んっと、自分が生まれる前の話だから、
ということは、これまでの生涯最大級の11月の大雪ってことね。
目の前の雪景色が何だか貴重に思えてきた(笑)。
雪かき、タイヤ交換、大変な冬仕事もあるけれど、
ふわふわの新雪を眺めながら、
ここらでほっと一息、お茶の時間にしましょうか。
うわぁ・・・一瞬で溶けた・・・雪みたい。
お茶のお伴は「丸(まろ)」という可愛い名前の米菓。
その名の通り、まんまるい小さな姿がとても愛らしい。
明治35年創業の大阪のおかき製造会社が
2009年に生みだした新ブランド「十火 JUKKA」のもの。
柔らかく、粘りと腰の強さが特徴の「ヒメノモチ」を用い、
やさしく丁寧に煎り焼きされたお上品な米菓です。
お洒落な箱を開けると・・・まぁ、お花畑みたい。
和三盆の優しい白、苺の赤、抹茶の緑にマンゴーの黄色。
美しい4色に彩られた「丸(まろ)」が花盛り。
色鮮やかなマカロンのようなヴィジュアルは進化した米菓、
伝統とモダンの融合ということねぁ。
まずは鮮やかな緑の「抹茶」をいただきましょう。
一粒をそっとつまむ。
軽っ・・・質量があるのかないのかわからないほど、軽い。
香川の伝統菓子「おいり」と並ぶ最軽量菓子(笑)。
天使の羽よりも軽そうな抹茶色の「丸(まろ)」を口に入れる。
「あれ?食べた?今、食べたよね?」と確認したくなるほど、
一瞬で口の中に溶けていった。
後に残るのは清々しい抹茶の余韻。
私、雪を食べた?
「あ~、これがみんなお砂糖だったらいいのに~」。
子供の頃、降ったばかりの新雪の上に
ばったり大の字に倒れて遊びながら、
食いしん坊のおかっぱ頭はそんなことを思ってたものだ。
ふわふわの新雪がみんなお砂糖だったら、
いっぱいいっぱいお菓子ができて、
いっぱいいっぱいおやつが食べられるのに。
白い雪がお砂糖だったらとか、
丸い大きなケーキを一人でまるごと食べられたらとか、
おやつのチョコをお姉ちゃんと半分こしないで全部食べられたらとか、
幼少期の自分はなんと食い意地のはった子供だったことか(笑)。
われながらあきれもしますが、同時に幸せだったとも思う。
おやつに限らず、シンデレラ城に住めたらとか、
お姫さまみたいなドレスを着られたらとか、
幼い夢や憧れが次から次といくつもいくつも湧き出てきたっけ。
母がカタカタと洋裁のミシンを踏む横で
幼い私は窓際の白いレースのカーテンに頭からくるまり、
美しいヴェールをかぶった花嫁さんになりきっていたものだ。
薄いレースのカーテン越しに見あげた昔の家の天井、
ちょっと埃くさかった布地の匂い、
「ほらほら、カーテンはずれちゃうよ」と軽くいさめる母の声。
あの頃は今みたいに「お姫様なりきりセット」も売っていなかったし、
ディズニーランドなんて遠いアメリカにしかなかったし、
欲しくても手に入らないものがいっぱいあったけど、
夢と憧れと妄想に浸る時間と空間はいっぱいあった。
雪みたいな米菓とともに蘇る幸せな記憶。
それはちょっと埃くさいカーテンの匂いがした。
(写真は)
米菓もここまでお洒落になりました。
抹茶の「丸(まろ)」。
どこまでも軽く、ふわふわ、すぅ~っと溶けていく。
材料は、天使の羽、かもしれない(笑)。



