ヌイムンの美
天はどこまで高いところにあるんだろう。
すっきりと青い空がどこまでも高く高く突き抜けていく。
潔い天空の蒼に圧倒されそうな初秋の朝。
夏の名残りはどこに消えたのだろうか。
そんな小さな秋の朝、夏の思い出アルバムを開きましょう。
「夏の沖縄旅」8日目の朝リポート。
1泊2日の宮古島「旅中旅」も無事敢行、
昨夜は那覇久茂地の老舗食堂「まんじゅまい」で
石垣島出身のご主人から素敵な島自慢をいっぱい伺い、
しばし、旅気分を味わいました。
心地よい旅の疲れもあって、ぐっすり熟睡した翌朝、
沖縄旅8日目の朝を迎えました。
いよいよ明日には札幌へ帰らねばなりません。
残りの時間は那覇の街で最後のぷらりぷらぷらを楽しみます。
焼きたてオムレツに新鮮野菜に果物、ヨーグルト&グラノーラ、
定宿ホテルの美味しい朝ブッフェをたっぷり堪能したら、
さあ、那覇ぷらぷらクルージングに出発。
本日最初のお目当ては「Mui Mun(ヌイムン)」。
琉球漆器の老舗「角萬漆器」が立ちあげた新しいブランドです。
「ヌイムン」とは塗りをする人、塗り物という意味。
創業120余年となる「角萬漆器」の戦前までの名前が「嘉手納漆器」、
俗称で「ヌイムンカデナー」と呼ばれていたこともあり、
この言葉が新ブランドのキーワードとなりました。
琉球王朝時代から500年の歴史と伝統を持ちながら、
全国的にはまだまだ知られていない琉球漆器の間口を広げ、
若い世代にも興味を持ってもらえるような
新しい感覚の作品を目指して立ちあげられたのが「Mui Mun」。
独特の艶と発色が美しいジュエリーや器がラインアップされている。
と、地元でゲットした沖縄発の雑誌で紹介されていました。
真っ赤な漆のバングルや漆黒のピアスの写真にもう釘付け。
「見るだけ、見るだけでいーから、ねっねっ?」。
誰に言いわけしているんだか、わからないが(笑)、
(まあ、今回も既に「やちむん」いっぱい購入・・・しちゃってるもんね)
とにかく、「見るだけ」と「角萬漆器」の本店をめざします。
国際通りにもお店がありますが、
「Mui Mun」ラインがあるのは前島にある本店。
ゆいレールの美栄橋駅から58号線方向へ歩いてすぐ、
あ、ありました、ありました。真っ赤な大きな看板が。
「こんにちわ~」。
開店早々の老舗漆器店は静かな朝モード。
「いらっしゃいませ、ごゆっくりご覧下さい」。
店の奥からベテラン風の女性店員さんがゆったりと声をかけてくれます。
ここは首里城・・・?
螺鈿(らでん)、堆錦(ついきん)、蒔絵に色漆。
南国の景色に映える鮮やかな色彩、
繊細な模様の琉球漆器の名品が並ぶ店内はまるで美術館。
壮麗な首里城の玉座にもこの琉球漆器の技法による装飾が
ふんだんに施されていたことを思い出します。
首里城の収蔵品にもあるような絢爛豪華な東道盆などを
ガラス越しにすぐ目の前で観賞することができます。
しかもお財布さえ許せばもちろんお買い上げもできます。
残念ながらお財布も収蔵場所も使う機会も折り合わない旅人は(笑)
おとなしく、ため息つきながら、そっと静かに眺めるのみ。
東京赤坂迎賓館(旧東宮御所)や
伊勢神宮、明治神宮にも奉納されたという老舗の漆器が並ぶなか、
お店を入ってすぐのところに現代アートの香りが漂う一角がありました。
これが新ブランド「Mui Mun」ね。
うわっ、素敵。
立体的に多面カットされた球体がモダンなピアスやペンダントが
漆器独特の鮮やかで艶やかな真紅や深い青色をまとっています。
ジュエリーのデザインはオーソドックスでいながらモダン。
沖縄の古くから伝わる漆の技法や素材を使って
塗りの原点である「堆錦」と異素材を組合わせた新しい「ぬいむん」。
伝統の琉球漆器が現代の女性たちが「身につける漆器」として
reborn、生まれ変わったのがこの「Mui Mun」なのですね~。
雑誌の写真で紹介されていたバングルなどは入荷待ちのよう。
すでに現代女性たちに支持されているのですね~。
う~ん、残念。
あの真っ赤な存在感のあるバングルが目の前にあったら
「見るだけ」と誓った旅人の心も揺らいだかもしれません。
旅も残りわずか、調子に乗ってお買い物し過ぎると
キリギリスのように北海道の冬を耐え忍ばなくてはなりません(笑)。
ここは素敵なジュエリーたちを見るだけにしてと・・・。
あらっ、「私を北海道に連れてって・・・」。
ジュエリーケースのお隣のコーナーから、
そんな囁きが聞こえた(ような気がした)(笑)。
振り向けば真っ赤な漆の可愛い小皿5枚組が微笑んだ。
これ、カワイイ、使いやすそう、しかも「お値下げ」している。
老舗漆器店でまさかのセール品に遭遇。
片口風に縁に切り込みの入った「珍味皿」5枚組。
だるま落としのようにきちんと重ねられるのも便利。
「ぬいむん」にしてはかなりお財布に優しいお値段になっている。
「圧縮した木地を使っているので、お求めやすくなっています。
取り分け皿にもなるし、お手入れも簡単だし、
いっぱい普段使いしてあげてください」。
それまでそっと見守ってくれていた店員さんが
実にタイミングよく声をかけてくれました。
老舗は接客の間合いも洗練されています。
降参(笑)。
「はい、コレ、下さい」。
「見るだけ」のはずが「お買い上げ」~。
でもさ、いいよね、もう明日には帰っちゃうんだから。
真っ赤な漆の小皿ちゃんとは「一期一会」、運命の出会いだったんだ。
また誰に言いわけしているんだかわからないが(笑)、
心の中で色々正当な理由を並べながら、
小皿の箱が入った「角萬漆器」の紙袋を手に、
旅人はふたたび最後の那覇クルージングに向かうのでした。
さあて、次は、どこへ行こうかな~。
(写真は)
「身につける」ぬいむんの代わりに
この夏我が家にお嫁入りした
可愛い琉球漆器の小皿ちゃん。
真っ赤な艶やかなお肌が琉球美人でしょ。
取り分け皿や手塩皿、お刺身のお醤油皿にと
現在ヘビロテ率、常に上位にランキング中。
小さな朱色が食卓を華やかにしてくれます。

