人魚のいたずら

南の島から島へとレンタカードライブ。

夏の沖縄旅は那覇ステイから早朝45分のフライトで宮古島へ到着。

1泊2日の「旅中旅」、まずは「伊良部大橋」を渡って

100年に及ぶカツオ漁の歴史を誇る伊良部島に上陸。

さらにいくつかの水路でつながる小さな小さな島、

下地島へやってきました。

ここは島=飛行場。

国内唯一のパイロット飛行訓練のための空港があるのです。

エメラルドグリーンの海に囲まれた滑走路はしんと静かで、

強い日差しを受けて白く光るその様子は小説の一場面のよう。

そんな印象的な光景を胸に刻んで、

さあ、もうひとつの下地島の観光スポットを訪ねてみましょう。

レンタカーは空港から島の西側へと向かいます。

目的は「通り池」。

ほどなく目的地「通り池」を示す道路標識を発見。

下地島にとって「空港&通り池」は観光スポットの2トップ。

さすが、わかりやすい。ナビに頼らずとも無事に到着。

駐車場に車を止め、亜熱帯の密林に造られた白い小道を進みます。

暑い。気温は余裕で30度を超えているでしょう。

濃密な緑の向こうから時折、南国の鳥の甲高い鳴き声が。

う~ん、わずかな道のりだが、アドヴェンチャー気分が盛り上がる。

意図したものではないだろうが、実に効果的なアプローチだ。

この密林の小道の先にあるものは・・・。

おおお・・・怖いくらいに美しい青。

亜熱帯の緑に縁どられた深い群青色の池がぽっかりと現れました。

しかも遊歩道をはさんで左にもうひとつ池があります。

この二つの神秘的な池が「通り池」です。

水中で海とつながっているという池の水面は深いコバルトブルー。

じ~っと見つめていると何だか吸いこまれていきそう。

本当に怖いくらいに美しくて足元がぶるぶるしそうですが、

県立自然公園として整備されているので、

池の周りには木製の柵があり、安心して壮大な風景を堪能できます。

ほっ(笑)。

実は、私、こういう池に、弱い。

個人的に昔から「閉じられた水」が無性に怖いのだ。

海は全く平気だけど、湖とか沼とか池とか泉とか、美しいほど、怖くなる。

怖いんだから想像しなけりゃいいのに、

あの深い水の底に落ちていくイメージをよせばいいのに思い浮かべてしまうのだ。

遠い遠い前世の記憶か(笑)、古代の私、泉にでも落ちたことあるんだろうか?。

ま、てなわけで、しっかりとした木の柵にがっちりつかまって

美しすぎるコバルトブルーの通り池を眺める。

この二つの池は底の方で互いにつながっていて、

さらに外海とは地下洞窟で結ばれているそうです。

「通り池」という名前ははこうした構造から名づけられたのですね。

ここはダイバーにとって憧れのスポット。

外海からは高さ45m、幅20mの巨大な水中トンネルを通って

池に入ることができるのだそうです。

いや・・・あの・・・「池に入ることができる」って・・・

ひょえ~・・・それって・・・

海から入って深い水中洞窟トンネルを潜って、池の中に浮上するってことよね。

ああ~「閉じられた水恐怖症」の私は想像するだけで卒倒しそう(笑)。

潜るには上級ライセンスが必要だそうですが、

通り池チャレンジするダイバーさん、尊敬します・・・。

時には池の水面にぽっかり顔を出すダイバーを見かけることもあるそうですが、

この日の通り池は静かに静かに群青色の水をたたえるのみ。

ゴツゴツした琉球石灰岩がむきだしの高台にぽっかり口を開けた二つの池。

ダイバー目線で水中からアプローチする通り池は言葉を失うくらい美しいらしい。

深い水中から池に入るにつれてあたりは深い青から次第に薄いグリーンに変化、

そして水面を見上げると陽の光を受けて角度によって

黄色や緑、ピンク色などさまざま色合いを見せてくれのだそうです。

上は淡水、下は海水、水温の違う水が接してできる境界線

いわゆる「サーモクライン」が織りなす不思議で美しい光景。

ダイバー憧れのスポットとなっているのも納得です。

私は、想像するだけにしておきます(笑)。

この「通り池」には悲しい伝説も残っています。

昔、ある漁師が7匹のユナイマタ(人魚)が泳いでいるのを見つけ、

そのうちの1匹をつかまえて村人と分けました。

その晩、寝ていた子供が急に泣きだし、おびえ出したのです。

すると遥か海の方から

「ユナイマタ、ユナイマタ、早く帰っておいで」という声が。

「でも、私の体は半分食べられて帰れません」と答える声も聞こえます。

「それなら三回大波を送るから乗って帰ってきなさい」。

しばらくすると沖の方から轟音とともに大波が三回押し寄せ、

村は大波にのまれてしまい、その後には大きな穴が二つできました。

それが「通り池」。

この伝説の大津波は1771年の明和の大津波だという説もありますが、

真偽のほどは定かではありません。

いずれにしてもハッピーエンドは何故か少ない人魚伝説、

この南の島の怖いほど美しすぎる池にも

不思議で悲しい言い伝えが残されているのですね。

上から眺めると深い群青色なのに、

水中か見上げると陽の光によって7色にも変化するという通り池。

それは海に帰った人魚のちょっとしたいたずらかもしれません・・・。

さて、ひとつながりの伊良部島へ戻って、

また日本一のドライブウェイ「伊良部大橋」を渡って宮古島へと戻りましょう。

本日4つ目の島、誇り高き池間民族の島が待っています。

明日へと続く~♪

(写真は)

下地島の絶景ポイント「通り池」。

マヤの神秘の泉「セノーテ」にも似ている。

深い水の底で人魚に出会ったとしても不思議ではないかも。

潜らずとも(笑)神秘的な美しい青を眺められます。

インスピレーションを刺激される群青色の池。