ワイドー・ママ
8月のカレンダーも残りわずか。
小さな秋の気配を感じる朝。
ゆく夏を惜しみつつ、
「夏の沖縄旅」7日目リポートを続けましょう。
宮古島1泊2日の旅中旅もそろそろエンディング。
那覇へ戻る飛行機の出発時間が近づいてきました。
念願の宮古そばも老舗「古謝そば屋」(こじゃそ)で堪能。
飛行機は17時発、その前に空港近くの事務所に
レンタカーを返却しなくてはなりませんが、
今いる古謝そば屋さんから空港はそう遠くありません。
「しめしめ、まだ少し時間に余裕があるぞぉ~」。
時計と地図と好奇心をつきあわせて、残り時間の有効活用をしぶとく探る。
地元フリーペーパーの詳しいガイドマップにピン!
一か所、旅人を誘うポイント発見。
「富士製菓製パン(工場)」。
旅先ではモノを作る現場を訪れよ。
製造元、工場好きの旅人の鉄則であります(笑)。
モノ作りの現場はその土地の物語や歴史に触れられる貴重なスポット。
宮古島のソウルフードといえば宮古そばですが、
宮古島のソウルスイーツといえば「うずまきパン」。
真っ白いクリームをパンでくるくる巻いた渦巻き状の菓子パンです。
「富士製菓製パン」はそのうずまきパンの宮古島最大手の製造元。
どうやら工場直売店もあるらしい、
これは寄らねば、食べねば、うずまきパン。
え~っと、住宅街の古謝そば屋さんから北へ進み、県道190号線へ。
ヤマト運輸の交差点を右折して空港方面へ向かう途中に
あ~、ありました、めざす製パン工場。
正面に大きく黄色い文字で「富士製菓製パン」と書かれています。
しかし既に夕方、工場の作業もとっくに終わっているのでしょう。
人気もなく、しんと静かではありますが、一角に小さな直売所発見。
正面の駐車場にレンタカーをとめて、いそいそと向かいます。
ほっ、良かった、お店は営業中らしい。
「こんにちわ~」と声をかけながら中へ入ると、
直売店というよりはほぼ事務所(笑)。
正面の一角に工場でできたパンやお菓子が謙虚に並んでいて
エプロン姿の女性が「いらっしゃいませ」と笑顔で応対してくれる。
「あの、うずまきパン、ありますか?」と話しかけたところに
奥から明るい華やかな声が聞こえてきた。
「あらまぁ、いらっしゃいませ~、どちらから?」。
60代くらいの宮古美人なマダム、一見してわかった。絶対、社長夫人だ。
「あの、札幌から来たんですけど、うずまきパンありますか?」。
「まあまあ、札幌からわざわざ。あらあら、どうしましょ、ごめんなさいねぇ~、
ついさっき、ホント、さっきよね?うずまきパン全部、
ウチの空港の売店に持っていったばかりなんですよ」。
推定社長夫人が女性社員とうなづきながら申し訳なさそうに答えてくれる。
「そーですか、じゃあ、これから飛行機乗る前に売店で買いますね~」
「ほんと、せっかく工場までいらして頂いたのに、ごめんなさいねぇ」
いえいえ、現場好き、工場好きですから(笑)。
話好きらしい推定社長夫人がさらに続ける。
「涼しい北海道からいらっしゃると宮古は暑いでしょ~?
でもね、宮古島にも北海道出身の方、結構いらっしゃるんですよ」。
「ですよね~、ホテルとかお店とかで働いている道産子、多いですよね。
そうそう、北海道のプロサッカーチームにも
宮古島出身の選手がいますよ、ずっと活躍してて愛されてますよ」と
我がコンサドーレ札幌のある中心選手のことを話したとたん、
推定社長夫人の顔がパっとさらに輝いた。
「上里クン!上里クンでしょ?」
「まあまあ、嬉しい!元気?元気にしてる?上里クン」。
超興奮状態の推定社長夫人に
「上里選手、ご存知なんですか?」と聞くと
「ウチの息子の同級生、もうずっと一緒だったの~、懐かしい!」。
「息子さんもサッカーされていたんですか?」
「ううん、ウチの息子は野球、野球部の上地○○」。
いきなり話題は超地元色の濃い内容に移行していった(笑)。
コンサドーレ札幌の上里一将選手は宮古島出身。
平良南小~平良中~宮古高校からコンサドーレ札幌に入団。
攻撃的な中盤の選手で華麗なボールコントロールには定評があり、
フリーキックの名手である上里選手は
宮古島出身者としては初のJリーガー。島のヒーローであります。
この春の司会をつとめたトークショーでもご一緒していて、
「沖縄キャンプが忙し過ぎて、宮古へは帰れませんでした」と
実際に話を聞いたばかりでありました。
何という偶然。
「えっと、野球部の上地君とサッカー部の上里君ってわけですね?」
「そうそう、部活は違うんだけど、すっごく仲良くってね、
ウチにもよく遊びに来たのよ~、そう、活躍してるの~、嬉しいわぁ~、
よろしく言っといて~、上地よ上地!」。
「はい、この富士製パンの、上地さん、ですね?」
「そうそう、富士パンの上地!」。
正解、当たり。推定社長夫人は、確定社長夫人(笑)。
旅はこれだから面白い。
宮古島とうずまきパンと大好きなサッカーがまぁ~るくつながった。
いつか上里選手にまた会う機会があったら、
明るい富士パンの上地君のお母さんの伝言を伝えてあげよう。
島のどこで聞いても「上里選手」の知名度は抜群だった。
北の大地でJ1目指して奮闘する宮古出身のサッカー選手のこと、
今も島のみんなが熱く応援してくれていること。
故郷はいつも変わらぬサポーターだ。
ワイドー!
宮古島の方言で「頑張れ~!ファイトー!」という意味。
「わいーぃっと(根気強く)」という言葉から派生しているらしい。
富士パンの上地君のお母さんや島のお母さんたちは
部活に頑張る息子たちに負けない熱さで応援していたんだろうな~。
ワイドー!ワイドー!ワイワイドー!
ワイドー・ママの声援が聞こえてくるようだ。
うずまきパンの島は
心底、あったかかった。
(写真は)
宮古名物「うずまきパン」の製造元。
富士製菓製パンの工場。
友達の上地くんちのうずまきパン、
野球部もサッカー部もみんな大好きだったんだろうなぁ。
消費カロリーの激しい彼らのエネルギー源。
動かない大人は食べたら走りましょう(笑)。

