パヤオ・ピンク
コバルトブルーの海の上を一直線。
日本一のドライブウェイ「伊良部大橋」を渡ってカツオ漁の島へ。
夏の沖縄旅6日目は宮古島へJTAでひとっ飛び、1泊2日の「旅中旅」を決行。
レンタカーに乗り換え、まずは夢の大橋ドライブを楽しみました。
目に飛び込んでくるのは美しすぎる海の青だけ・・・うっとり・・・。
こんな絶景ドライブしながらプロポーズされたら、
絶対「イエス」って言っちゃいそう(笑)。
宮古島と伊良部島を結ぶ美しすぎる海上ドライブウェイ、
確かに恋の告白をする勝負ドライブには絶好のシチュエーションですが、
全長3540m、時間にしてものの5分、
ためらっている時間はありません、
早めに告白しちゃって下さいね~(笑)。
ってなことを妄想しながら、車はあっという間に伊良部島に上陸。
さてさて、たくましき海人の島をひとめぐりしましょう。
宮古島の北西5キロに位置する伊良部島。
水路をはさんで隣接する下地島と合わせて美しく複雑な海底地形が特徴で、
ダイビングやシュノーケリングなどマリンアクティビティーの名所がいっぱい。
しかし駆け足の旅人は潜っている時間も装備も根性もありません(笑)。
もっぱらの関心は伝統のカツオ漁であります。
伊良部島は宮古島の北にある池間島と並び、
昔からカツオ漁で有名な誇り高き「池間民族」の島。
ザ・海人の島なのであります。
夏はまさにカツオ漁の最盛期。
風はちょっと強いけれど、日差しもぐんぐん強くなってきました。
獲れたてのカツオなんて見られたりするかしら~とまずは港方面へ。
この時点で、基本的に、ナビはあまり当てになりません(笑)。
小さな島の道路は幹線と生活道路の区別があまりつかず、
ナビの画面と実際の風景がうまくシンクロしないのです。
ええ~い、潮風が香る方向へと向かおうじゃないの。
ガイドブックの地図を頼りに、ほぼ「勘」で漁港へと向かいました。
伊良部大橋を降りてほどなく、漁港へ通じる道発見。
しかし、威勢のいいセリの声も、いなせな漁師さんの姿もない。
伊良部漁港は青い海が静かにたゆたうだけ。みんな漁に行っちゃった?
と、漁港のまん前にはっと目を引く鮮やかなピンク色の建物を発見。
「さしみ」「グルクン唐揚げ」の幟がはためき、
目立つピンク色の外壁には「パヤオ直送」の文字が書かれています。
「パヤオ」・・・おおお~、まさに伊良部島伝統の漁法ではありませんか。
島の道も詳しく聞きたいし、まずは店内へ。
大当たりでした~。
ここは伊良部漁協直営の直売店&食堂「漁師屋」。
目の前の冷蔵ケースには捌きたての新鮮なカツオのお刺身が
豪快なサクのまんま、ごろごろと並べられています。
食べやすく小分けされたお刺身のトレイもありました。
その透き通るような鮮やかなルビー色をしたカツオの見事なこと、
一目見て、絶対に美味い!と確信できます。
「これは今朝揚がったばかりのカツオですか?」
冷蔵ケースの向こうのいなせな(笑)お姉さんに聞くと、
「いや、昨日の夕方です。カツオ漁の船は夕方戻るんです」。
な~るほど。「じゃあ、今は漁の真っ最中なんですか?」
「いやあ、今日は風が強いから船はでていないんですよね~」
なーるほどなるほど。
港が静かなのは、漁が休みだからだったんだぁ~。
この伊良部島や池間島でカツオ漁が始まって約100年。
実は宮古諸島のカツオ漁は日本人には欠かすことのできない食材と
深い深いつながりがありました。
明治の終わり頃から大正時代にかけて伊良部島や池間島の漁師たちは
ボルネオやパラオなど南方の海まで出かけてカツオを獲り、
現地に移民した人々がその新鮮なカツオを鰹節に加工しました。
宮古諸島のカツオ漁なくして和食の原点、鰹節はあり得なかったのです。
やがて南洋は大平洋戦争の激戦地となり、
現地での鰹節生産も衰退していきましたが、
伊良部や池間での伝統のカツオ漁は続いていきました。
それを支えたのが、「パヤオ漁」。
「パヤオ」とは魚が海上に浮かぶ流木などに集まる習性を利用した漁法で
流木に似せた漁礁に群がる小魚を狙って群がってきたカツオを獲るのです。
昭和50年代、沖縄で最初にこの漁法を導入したのが伊良部島。
あのピンクの壁に書かれていた「パヤオ直送」の文字は
まさに、伊良部自慢の漁法を指す言葉だったのですね。
宮古諸島のカツオ漁が最も隆盛を極めたのは1950年~60年代。
当時は「海から帰った漁師たちの足をビールで洗った」なんて逸話もあるほど。
カツオ漁によって島は子供たちも養えるようになり、
島の人々にとって「カツオは神様」だったそうです。
現在では当時ほどの漁獲量はありませんが、カツオ漁の情熱は健在。
伊良部大橋を渡ってやってくるお客さんに
新鮮な海の幸を食べてもらおうと、
この食堂も最近リニューアルオープンしたらしい。
さっそく新鮮なカツオのお刺身でお昼ごはんとも思いましたが、
まだ午前中、時間が早い。断腸の思い(笑)であきらめ、
グルクンの唐揚げの横に並んでいたぐるぐる巻きのパンを手にする。
宮古名物「うずまきパン」をおやつに購入。
特に伊良部島の渦巻きパンがいちばん美味しいとの噂もあり。
カツオのかわりに渦巻きパンを購入し、次の目的地への道を聞き、
伊良部島のパヤオ・ピンク・パレスを後にするのでした。
・・・にしても・・・カツオのさしみ・・・
まだお腹すいてないけど・・・食べたかった・・・
後ろ髪、引かれっぱなし・・・(笑)
(写真は)
伊良部漁港のまん前に立つ
色鮮やかなピンクパレス「漁師屋」。
「パヤオ直送」の文字が
伊良部島カツオ漁の歴史と伝統を物語る。
このピンク色の外壁といい、コンクリート造りといい、
かつて島の男たちが進出した遥か南洋の島々を思わせる。
パヤオ・ピンク。
鮮やかな伊良部の色は旅人の脳裏に刻まれる。

