パイロット・アイランド
夏の沖縄旅は島から島へ。
6日目は朝早く那覇から宮古島まで飛行機でひとっ飛び、
1泊2日のショートトリップを楽しんでいます。
まずは1月に開通したばかりの日本一のドライブウェイ、
宮古島と伊良部島を結ぶ「伊良部大橋」を渡って、伊良部島へ。
漁港で100年続くカツオ漁の誇りを体感し、
さあ、誇り高き海人の島をひとめぐりしましょう。
風が強くてカツオ漁はお休みという静かな漁港を後に、
次に目指すのはちょっと特別な島。
伊良部島とセットで楽しめる下地島です。
島の西側にあって、5つの水路でつながる小さな小さな下地島は
国内唯一のパイロットの訓練を目的にした飛行場がある島。
さあて、島の中央部を横断するルートで行こうか、
それとも北端までぐるっとまわる海岸ルートにしようか。
・・・目の前に細い道が交差しているが、どれが幹線だ?(汗)。
島の細い道は「ナビよりも地元に聞け」が鉄則(笑)。
「あのぉ~、下地島に行きたいんですけどぉ・・・」。
漁港の近くで工事をしていたおじさんにおずおず訊ねると
「ああ、真ん中からも行けるけど、道迷うよ、きっと。
こっから、ぐるっと海見ながら回ればいいさぁ、すぐだ~」。
真っ黒に日焼けした顔がニカッっと笑う。
私の顔に「方向音痴」って書いてあるのかもしれない(笑)。
「あ、すぐ、ですか。わかりました~、ぐるっと行きます!」。
やはり、島の道は「ナビより地元」だ。
少し曇りがちの空の下、伊良部島の海岸沿いを北周りでドライブ。
どうやら奄美諸島あたりに前線が停滞すると、
宮古諸島までこんな曇りがちのお天気になるらしい。
もう少し、雲がきれてくれれば完璧な南国の空なのですが、
車窓の右手に広がる青い海はそれでも十分に美しい。
港のおじさんの言う通り、あっという間に車は島の西側に到着。
で、下地島とつながる5つの水路って・・・どれ?
「え~っと、どうやっても行けるんだけど(笑)、
んじゃあ、とりあえず、このままっすぐ行ってetc・・・」。
またまた通りかかった民宿のお兄さんに教えられて、
レンタカーはよろよろと小さな川にかかる小さな橋を通過。
川に見えるけど、これが「水路」のひとつってわけね。
あまりにさりげなさ過ぎて旅人にはわからない。
あまりにさりげなく「下地島」に上陸していました(笑)。
おおお~、目の前に真っ直ぐな滑走路がはてしなく伸び、
エメラルドグリーンの海の上に伸びる誘導灯が実に美しい。
ここは島全部が飛行場・・・というか、島=飛行場なんだ。
高度成長期以降、日本の航空需要はどんどん高まりましたが、
ジェットパイロットの訓練はアメリカで行わざるを得なかったため、
1979年からこの下地島空港での訓練が開始されました。
つい最近まで何度もタッチ&ゴーを繰り返す風景が見られたそうですが、
2011年に日本航空が、2014年を最後に全日空が当地での訓練を終了、
現在ではRAC(琉球コミューター)と海上保安庁が
小型機訓練のために使用するのみとなっているそうです。
なるほど。
南国の日差しを受けて白く光る真っ直ぐな滑走路には
一機の飛行機も、整備員やパイロットや教官の姿もありません。
フェンス沿いに何台かのレンタカーが止まって記念撮影をしています。
かつてのタッチ&ゴーの写真は撮れませんが、
この下地島のまわりの海の美しさは際立っています。
何日間も宿舎に缶づめで厳しい飛行訓練に臨むパイロットたちにとって、
上空から見えるこの島の美しい風景は
何よりのモチベーションアップになっていたことでしょうね。
この立派な滑走路、ロケーション、美しい風景。
各航空会社が訓練撤退以降、
このまま「今はもう誰もいない海・・・」になってしまうのかと思いましたが、
県が下地島空港の利活用を広く公募したところ、
プライベートジェットの受け入れや、パイロットやマルチコプター操縦者の養成、
そしてあの高級リゾート運営の「星野リゾート」も進出検討とかで、
滑走路と誘導灯と美しい海が自慢の下地島に
そう遠からずまた新しい時代が到来しそうです。
まわる、まわる、時代は、まわる・・・だね。
滑走路ごしの美しい海を写真に収めていたレンタカーも
一台また一台と去っていき、いつの間にか最後の一台になっていました。
さあ、そろそろ、まるごと飛行場の島に別れを告げましょうか。
フェンス越しに一機の飛行機の姿もない滑走路を見ながら車を発進。
誰もいなくなったかつてのパイロット・アイランド。
ふと気づけば、よく日焼けした上半身裸の若い男性が
テトラポットに一人ぽつんと座り込み、
いつまでもいつまでもサンゴ礁の海を眺めていました。
空への夢を膨らませているのか、
海への愛を感じているのか。
その瞳に映るものは何だったのでしょうか。
旅は小説になりそうな瞬間の連続。
ああ、文才があれば・・・(笑)。
又吉直樹に続くのに(笑笑)。
(写真は)
まるごと飛行場の下地島。
滑走路と海を一緒におさめたかったけど、
私の技術ではこれが限界(笑)。
飛行機のいない静かな下地島も
今だけの貴重な瞬間かも。
2015年夏のパイロット・アイランド。

