サトウキビ畑でつかまえて

「キャッチャー・イン・ザ・さとうきび。」

私をサトウキビ畑でつかまえて・・・そしてマンゴー園に連れてって。

サリンジャーの小説と80年代ホイチョイ映画のタイトルが蘇る。

ここは真夏の宮古島。南国の太陽の強烈な日差しがレンタカーに降り注ぐ。

見渡す限りのサトウキビ畑のど真ん中で、

旅人は茫然としていた(笑)。

夏の沖縄旅7日目リポート、1泊2日の宮古島「旅中旅」の後半、

伊良部大橋の開通でひとつながりになった5つの島、

宮古島、伊良部島、下地島、池間島、来間島をレンタカーで制覇、

宮古島南部の「東平安名崎」の360度のパノラマ絶景も堪能しました。

夕方5時の那覇へ帰る飛行機の時間までまだ猶予はあります。

夏の宮古島へ来て、コレを買って帰らないわけにはいかないでしょう。

まさに今が旬の「宮古島マンゴー」。

沖縄産マンゴーはフルーツ好きにとっては憧れの的。

なかでも宮古島産のマンゴーは品質、甘さともに極上。

良い品揃えで評判の那覇平和通りの青果店のおじさんも

「これはもう、別格、味が違うよ、宮古島のだからね」と

入荷したばかりの宮古島産マンゴーを見せてくれましたっけ。

沖縄のプロが認めるブランドマンゴー、

ま、マンゴー界のエルメス、ヴィトンってところでしょうか。

旬の時期に宮古島を訪れたのはもはや運命(笑)。

これは絶対に今が盛りのマンゴー農園を訪ねなければ。

しかし、地元のフリーペーパー「マンゴー特集」を開いてみれば、

どのページも真っ赤な太陽の果実がたわわに実るマンゴー農園だらけ。

どこへ行けばよいのやら検討もつかない。

そこで昨日泊った東急リゾートのスタッフに直球質問。

「個人的にここだとお勧めできる、真心あるマンゴー農園はどこですか?」

「えっ、え~?」と少々たじろぎながらも(笑)、

地元宮古出身の男性ホテルマンは教えてくれました。

「○○農園さんと△△農園さん・・・

それからクマザ農園さんは評判いいですよ」。

ありがとう、あくまで個人的見解ということでね(笑)大いに参考にします。

というわけで、数軒アタリをつけていたマンゴー農園、

東平安名崎の駐車場で地図を広げて検討した結果、

帰りのルートを考えると「クマザ農園」さんが最も理想的な位置にある。

よし、決めた、「クマザ農園」でエルメスマンゴーを買おう!

え~っと・・・農園の住所は城辺(ぐすくべ)字長間。

三角形の島の右側を行って、中央部にちょっと入ればいいのね。

早速ナビに電話番号を入力するが・・・「登録データがありません」。

むむむ・・・どこまでもこのナビとは相性が良くない(涙)。

まあ、近くまで行けば「マンゴー直売」ののぼりが立っているだろうと、

「城辺字長間」と住所を入力、今度は「案内開始」してくれた。

ほっ。気難しいナビ相手に、何かと気を使う(笑)。

「吉野」「新城」「比嘉」とレンタカーは

島の東南部の田園地帯を快調にドライブ。

ほどなく「目的地周辺です」「案内を終了します」。

ナビが一方的にナビを終了してしまった。

へっ?ここで?目的地って・・・えっええ~っ!

そこはさとうきび畑のど真ん中。

農道と思われる細い道のまわりはハワイのような赤土、

そこに360度ざわわわざわわと緑のサトウキビが揺れている。

高い山のない平坦な宮古島。

遠い四方にぽつぽつ農家らしき家々が小さく見えるが、

想像していた「マンゴー農園直送」「地方発送承ります」的のぼりは皆無。

誰か・・・私をサトウキビ畑でつかまえて・・・マンゴー農園へ連れてって。

宮古島の城辺字長間のサトウキビ畑に放り出された旅人は

茫然自失しながらも、農道からもう少し広い県道らしき道へ出て

路肩に一時停車、スマホを取り出し、緊急レスキュー要請。

直接「クマザ農園」に電話をかける。

「はい~、クマザ農園ですう」。

のんびりと優しそうなお母さんのような女性の声。

ほっ。何だか急に安心する。不覚にも涙がでそうだ(笑)。

「あのぉ、ナビで住所入力して向かったんですが、サトウキビ畑の真ん中で」。

「まあまあ、それはそれは、ウチはちょっとわかりにくいいからねぇ、

すみませんねぇ、今、どこにいますか?何が見えますか?」と

電話の向こうのお母さんがやさしく聞いてくれる。

「えっとぉ、○△商店の前で、バス停があります」

「あ、ああ~、じゃあ、そこからね、ホテルトミエーまで行けます?」

「ホテルトミエー?えっと、ナビに入力してみます、

ダメだったらまた電話します」

「はいはい、気をつけていらしてくださいね。トミエーからすぐですから。

ホテル見えたらまた電話して下さいね~」。

レスキューポイントは、ホテルトミエー。

恐る恐るナビに入力・・・「案内開始します」。良かったぁ~、ご機嫌直ったぁ。

そこから3分ほどでユースホステル風のホテルが見えてきた。

やった、勢い込んでまた農園へ電話、そこからまた3分ほどで、

ついにやってきました、「クマザ農園」。って、ちっちゃ。

何棟かのハウスを背景に可愛いプレハブの建物がちょこんと建っているだけ。

北海道の国道沿いでおなじみの「メロン」だの「トーキビ」だの、

でっかな観光農園を想像していたのがそもそもの間違いだった。

「全国直送」の看板も入り組んだ農道の奥だもの、わかるわけないよね~。

つい最近のテレビ朝日の「旅サラダ」で紹介されたりと、

実はメディアでも取り上げられる有名農園だったのですが、

佇まいはホントに質素。

だよね、手間ひまかけるのは立派な建物じゃなくて、マンゴーだもんね。

「こんにちわ~、無事につきましたぁ~」。

可愛いプレハブの扉を開けて中に入ると、

甘く濃厚なマンゴーの香りが鼻腔をくすぐる。まぎれもなくマンゴーの園だ。

「あらあら、お電話くれた方ね~、良かった良かった、ようこそようこそ」。

日焼けした顔をほころばせて農園のお母さんが出迎えてくれた。

お母さんの愛情で手塩にかけて育てられた

甘く濃厚なエルメス・マンゴーのお話は

明日へと続きます。

あ~、良かった。サトウキビ畑から無事脱出(笑)

(写真は)

たどりついたクマザ農園のお母さんと。

照れていたのを説得、記念写真撮影に成功(笑)。

手書きの「全国発送」の文字が温かい。

どでかい観光農園とは違う魅力にあふれていました。

マンゴー、マンゴー、待っててね~。