こじゃそば?
青い空が、高い。
すっきりと、それは潔いほどに、高い。
「ゆく夏」から「小さな秋」へと空の上で静かにバトンが渡されている。
今朝の札幌はせつなくなるほど爽やかな空が天高く突き抜ける一方で
日本列島の南では台風15号が先島諸島、沖縄本島を暴風雨に巻きこみ、
更に奄美、九州に接近、上陸、猛威をふるっています。
どうか大きな被害など出ませんように。
爽やか過ぎる北海道から台風お見舞い申し上げます。
さて、夏台風にも見舞われず穏やかな天候に恵まれた「夏の沖縄旅」7日目、
1泊2日の宮古島「旅中旅」後半リポートを再開しましょう。
那覇ステイからJTAでひとっ飛びしたショートトリップ、
伊良部大橋開通でひとつながりになった5つの島、
宮古島、伊良部島、下地島、池間島、来間島を2日間で制覇、
極上のアイランズ・ドライブを満喫しました。
那覇への帰りの飛行機は午後5時発、
マンゴー界のエルメス、宮古島産マンゴーも首尾よくゲットし、
気づけばお昼を過ぎようとしています。
おおお、帰る前に名物「宮古そば」を食べておかなくてはなるまい。
昔ながらの味を守る王道の宮古そばからニューウェイブ系まで
宮古島にはたくさんの味自慢のそば屋さんがありますが、
ここは80年の歴史を誇る老舗のお店にいたしましょう。
昭和7年創業の「古謝そば屋」。
飾らない、変わらない、どこか懐かしい「宮古そば」は
戦前から島民に愛され続けている宮古のソウルフード。
製麺所直営のこの店は自家製麺もスープも極上、絶品とか。
場所はと地図を見れば、中心部平良、空港からもそう遠くないので好都合。
のどかなマンゴー農園「クマザ農園」に別れを告げて、
今いち相性の良くない(笑)ナビに「古謝そば屋」を入力。
さすが老舗、一発で「案内開始」、ほっ、レンタカーは一路平良へ。
車窓に広がる真っ赤な島の赤土と濃い緑のサトウキビ畑。
ハワイのようなこの風景も、くすんくすん(涙)、見納めねぇ。
短い旅の終わりの予感に早くもセンチメンタル・ドライブ・・・していると、
「目的地に到着しました」「案内を終わります」。へっ?
またしてもナビが一方的にナビを終了した。
この既視感・・・何かヤな予感がする。
だって「目的地」って、確かに平良の街なかだけど、
どこにもないじゃん、「古謝そば屋」の看板も建物も。マジ?
スマホで詳しい地図を確認してみると、
確かにこの近辺ではありますが、ナビが示したポイントではない。
ほんと、このナビ、とことん旅人を困らせたいようだ、いけず。
ぐるりと見渡せば幹線と細い生活道路が入り組んだ住宅街、
マンゴー農園へ行く途中、同じようにナビに放り出された
サトウキビ畑のど真ん中よりはましですが(笑)、
土地勘ゼロの場所、旅人はお手上げ。
とりあえず、周辺をくるっと一回りしてみるが、住宅ばかりで商店もない。
そこへ、自転車に載った地元の少年たちが数人、ワイワイと通りかかった。
これから遊びにいくらしい放課後の小学生たちだ。ラッキー!
真っ黒に日焼けした元気そうな宮古少年たちに
運転席の窓を開けて声をかける。
「ねえ~、古謝そば店って、わかる?この近くでしょ?」
「こしゃ・・・?う~ん、わからんっ!」
「あっそう・・・わからん(笑)・・・そう、わかった(落胆)、ありがとね」。
地元の少年も「わからんっ」って、一体どこにあるんだ?古謝そば屋。
もはや宮古そばは幻に終わるのか・・・。
茫然自失で車を発進させようとした時、
さっきの自転車少年軍団が勢いよく駆け戻ってきた。
「ん?」
「あのぉ、さっきの、こじゃそば?」
「えっ?・・・そうそう!そう!こじゃそば、こじゃそば!」
「だったら、すぐ近くだけど」
「あ、そうなの!良かった良かった~!」。
地元で愛されて80年。
「古謝そば屋」。そもそも旅人の発音、アクセントが違っていたんだ。
「こしゃそばてん」と「こ」にアクセントが来るんじゃなくて、
「こじゃそば」、一気に平板アクセント、
しかも「こじゃ」であって「こしゃ」じゃない。
子供たちが通い慣れた老舗そば屋はあくまでも「こじゃそば」なんだ。
「良かったぁ、ありがとう、こじゃそば、ここから近いの?」
敬意を表して発音しながら、少年に尋ねました。
「えっと、良ければぁ、連れていってあげますけど」。
先頭の少年が急にきゅっと真面目そうな顔になって言ってくれた。
何と自らのチャリンコで先導してくれるというお申し出だ。
宮古島の少年たちよ、
キミたちこそが真の本物のホスピタリティの持ち主であります。
素直で健気で一生懸命な思いやりの心は「島んちゅぬ宝」だ。
「ありがとう!でもね、車と自転車だと一緒に走れないから、
道順だけ教えてくれる?それで行けると思うから」。
ありがたすぎるお申し出は安全上遠慮し、道を尋ねると、
「あ、そーですか、えっと、じゃあですね、この道真っ直ぐ行って、
ココストアの角を左に曲がって・・・」「そーそー、ココストアんとこっ」。
先頭の少年と合唱するように後ろの少年たちも一斉に道案内をしてくれる。
カワイイ!可愛すぎる!大好きだよぉ~!、宮古キッズ。
気まぐれなナビのおかげで
最高の道案内人たちに出会うことができました。
これも旅の神様の粋な計らいかもしれません。
心優しい宮古キッズが教えてくれた通り、
迷子のレンタカーは無事に赤瓦のそば屋さんに到着。
宮古島のソウルフード「こじゃそば」のお話はまた明日。
(写真は)
宮古島の放課後。
青い空と白い雲と緑の夏草と、
豆粒みたいに小さく小さく遠ざかっていく自転車の少年たちよ。
キミたちの笑顔が島んちゅぬ宝だった。

