麦の一滴
夕方4時、帰りのフェリーが薄曇りの伊江島港を出航。
とんがり帽子のようなタッチューがどんどん遠ざかっていく。
だんだん小さくなる島影を見ていると、何だかきゅんと切なくなる。
滞在時間4時間半の日帰り旅でしたが、
美しい自然、豊かな島の恵み、穏やかな気風、静かに歴史を語る戦跡など、
小さな島の大きな魅力にすっかり惹きつけられました。
いつかまたゆっくりと訪れたいご近所楽園にしばしの別れを告げて、
本島の本部港に向けて30分の船旅に身を任せます。
夏の沖縄旅4日目、無事に離島ドライブ敢行いたしました。
サトウキビ畑・・・ラム酒・・・ピーナッツアイス・・・
伊江島の美味しい思い出など反芻しながら、
キャビンでとろりとまどろんだと思ったら、
「本船はまもなく本部港に入港いたします」のアナウンスが。
片道30分の船旅はあっという間、ほとんど通勤圏内の近さです。
超大型トレーラーや大型トラックに混じって、
小さなレンタカーもそろそろとフェリーを降りて、沖縄自動車道へ。
本島を縦断する高速に乗って、一路那覇へ戻ります。
さあて、今夜の夕食はどうしようかなぁ~。
南国の夕暮れの高速を走りながら、あれこれ考えるのは至福の時間。
那覇に着くのは7時近くになりそうだから・・・、
軽くつまみながら、さくっとビールって気分かな~。
そうだ、沖縄の知り合いに聞いていたあのお店に行ってみよう。
今話題のクラフトビールが常時27種類だか?飲めるお店。
沖縄の地ビールもきっとあるはず。
うふふ、喉が鳴る、ついでにお腹も鳴る(笑)。
思ったほどの渋滞もなく、本部港からのロングドライブもつつがなく終了。
無事、那覇の定宿ホテルに到着、車を駐車場に止めて、
さくっと着替えて、那覇の夜に繰り出します。
目指すお店は「麦 BAKU」。
「麦」と書いて「ばく」と読む、クラフトビール専門のビアハウス。
那覇の中心地、久茂地交差点のほど近いビルの2階にありました。
賑やかな国際通りの裏側はひっそり静かな穴場スポット、
こんな風に地元の人に愛されるお店が潜んでいるのです。
ビルの外階段を昇るとイギリスのパブ風の分厚い木の扉が。
世界各国のビールのラベルやお髭のおじさんのウェルカムボードがいい感じ。
「このお店は、間違いない」。野宮センサーが大きくプラスに振れます(笑)。
「こんばんわ」。そ~っと木の扉を押して店内へ。
「いらっしゃいませ~」。
小麦色に焼けた肌に短い金髪と白い歯が爽やか。
小柄だけど鍛えた肉体のアスリート風のマスターが迎えてくれました。
ザ・オープンマインド。相手をほっとさせるような親しみあふれる笑顔に
旅先で初めてのお店を訪れる緊張感もす~っと飛んで行きました。
木を基調とした作りのシックなビアバーの店内はほど良く落とした間接照明に、
カウンターとテーブル席が幾つかあり、落ち着いた雰囲気。
しかし、宵っ張りの街ゆえ、7時過ぎでも先客はまだなし、
どうやら口開けのお客だったようです。
「もう、どこでもお好きな席に座って下さい」と言われるものの、
「え~、でも次のお客さんも来るでしょうし・・・」と
カウンターの隅っこに座ろうとしたら、
「いやいや、ウチはビール好きの変人しか来ないから(笑)、
もう、めいっぱい、店中、好きに座っちゃって下さい」と
マスターの軽いジョーク。こんなやりとりのうちにすっかり打ち解け、
入店1分後には既に常連さん気分でリラックスしちゃいました。
居心地の良い酒場とはこういうお店を言うのでしょうか。
吉田類さんに教えてあげよう(笑)。
「じゃあ、折角ですから、ご自慢のサーバーが見えるここで」。
陣取ったカウンターの向こうに整然と並ぶビアサーバーが圧巻。
沖縄県内はもちろん、日本全国、ベルギーやアメリカなど世界各国から
マスターがセレクトし、選りすぐったクラフトビールが常時27種類ほど、
最新のダイレクトサーバーシステムで提供されるのです。
サーバーは厳選された高品質のクラフトビールのタンクとつながっていて
その品質管理、温度管理はもちろん、
炭酸ガスの含有量まで細かく調整されています。
生きているクラフトビールの鮮度を落とさず、最適な温度、炭酸濃度で
最も美味しく飲んでもらえるように配置された究極の形。
ビール好きならこのビアサーバーシステムを見ただけで、喉が鳴るはず(笑)。
平成6年の酒造法改正でビールの年間最低製造量が
2000キロリットルから60キロリットルに引き下げられたことにより、
日本全国で少量生産のビール工房が続々と誕生。
地域の特性を生かした個性あふれる「地ビール」が生まれ、
その土地のマイクロブリュワリーやブリューイングパブを訪ねるのも
旅の楽しみ方のひとつとなっています。
生きた酵母がそのまま閉じ込められたクラフトビールは鮮度が命。
現地に行かずとも様々な地ビールが楽しめるこうしたビアバーはまさに天国。
ビールは「麦酒」。
黄金色のお酒は古代から人間にとって大切な穀物だった麦の一滴。
徹底的にプロが管理した生きた麦の一滴を
さあ、早速、いただくことにいたしましょう。
まず、手始めは・・・。
夢のように楽しい「麦の一滴リポートin那覇」に続きはまた明日。
(写真は)
ビール好きにとっては那覇の天国。
「麦 BAKU」のお見事なビアサーバーシステム。
その土地の恵みが凝縮したクラフトビールの命を支えるサーバーです。
麦の一滴・・・。
一滴では決して終わりそうもない「麦」の宴の始まりだ(笑)。

