ペドロさん
爽やかな夏の空が広がる週末。
太陽は輝き、緑はその濃さを増し、
鳥たちが生命を謳歌するように歌っている。
こんな気持ちのいい週末は、メヒコの気分。
地球を半周してきた陶器の出番です。
南米世界遺産の旅土産、大トリは恒例の陶器。
メキシコにはいくつか有名な陶器の産地がありますが、
夫が現地のホテルショップでゲットしてきてくれたのは
ちょうど手のひらサイズの可愛いボウルがふたつ。
縁の色が藍色のと明るい黄色の色違い。
陽気なマリアッチが聞こえてきそうな華やかな絵付け、
鮮やかな色づかいは眺めているだけで楽しい気分になってきます。
「カワイイねぇ~、いいねぇ~、どこの陶器?」
「え~っとね~・・・よく、わからない」(笑)。
短い自由時間のさなかの一目惚れ買い、
現地で充分なリサーチなどは無理な話、
どれどれ、またもやお土産探偵の出番であります。
キュートな陶器をひっくり返して、裏のサインから調査開始。
ふむふむ・・・。
味のある手書きのサインが4行ほど記されている。
最後の行は「PUE.MEX」、
もうひとつは「PUEBLO.MEXICO」とあります。
色々調べてみると、どうやら、
プエブラの「タラベラ焼き」を示すサインらしい。
プエブラはメキシコシティの東100キロ程のところにあるプエブラ州の州都で
世界遺産にも登録されている美しいコロニアル都市。
この街のおいしい郷土料理と並ぶ名物が
美しい陶器「タラベラ焼き」なのでありました。
タラベラ焼きは1500年代、メキシコの植民地時代に
スペインからもたらされ、プエブラを中心に生産されています。
赤い土に白い釉薬をかけ、繊細な絵付けを施されたタラベラ焼きは
焼きものがたどった旅を物語るかように、
アンダルシアのムスリム文化、スペイン王国、
イタリア、中国、メキシコのそれぞれの文化の影響のもとに誕生。
400年以上に渡って作り続けられ、
現在メキシコの美術品と言える存在だとか。
細かな絵付けと、叩くとキンキンと金属音に近い音が鳴る、
堅い焼きが特徴とされていて、
土をこねる陶土から、成形、1次焼き、釉がけ、絵付け、2次焼きと
完成までに半年もの時間をかけて製作されるタラベラ焼き。
その作品には必ず「PUE.MEX」という表記に並んで、
職人のサインが刻印されているといいます。
どれどれ・・・裏側をもう一度念入りに調べてみると・・・、
あったあった、「PEDRO TECA??・・・・TL」、
職人さんらしき名前のサインが確認できます。
しかし、名前がペドロさんというのは判明しましたが、
姓は自由すぎる筆致ですべては解読できない(笑)。
まあ、しかし、職人ペドロさんが作った、
プエブラのタラベラ焼きだということは間違いない事実。
お土産探偵、なんとか使命は果たせたようです、ほっ。
地球を半周して我が家にやってきたペドロさんのタラベラ焼き。
そっと手に取ると、ひんやりとした最初の感触のあとから
じんわりと温かみが伝わってくる。
私の手の熱が陶器に伝わったのか、はたまた陶器が持つ体温なのか。
プエブラの陶工、ペドロさんの分厚い手と握手したような、
不思議に温かい気持ちになってくる。
ペドロさん、
縁あって我が家にやってきてくれた可愛い器たち、
大切に大切に使いますからね。
さあ、何を入れて楽しみましょう。
爽やかな夏の週末、メキシコ気分が盛り上がる。
いざ、メヒコなランチ、作りましょう!
(写真は)
メキシコの代表的な陶器。
プエブラの「タラベラ焼き」の可愛いボウル。
スペインの伝統的な陶器の町タラベラ・デ・ラ・レイナから
ドミンゴ会の修道士たちによりメキシコにもたらされました。
スペイン、メキシコ、さらには中国陶器の影響も受け、
400年の歴史をへて完成された民芸の美。
日本の九谷焼の華やかさにも通じる絵付け。
意外に和食のお惣菜にも似合いそう。
盛り付ける楽しみがまた増えちゃった。

