56億年の微笑み
一足飛びの初夏。
昨日の札幌の最高気温は21度。
足早な桜前線は春どころか初夏のような陽気をもたらしました。
スプリングコートなしで歩く桜さがしのお散歩。
ああ、本当に心地よい季節がやってきました。
円山公園の桜はまだつぼみが多いようですが、
我が家の前の桜並木は早くも5分咲き、
遊歩道沿いの梅の古木は満開となりました。
ぽってりとふくよかな梅の花が一斉にほころぶさまは
あどけない幼子たちが無邪気に笑っているようで、
眺めているだけで幸せになってきます。
花が微笑むと、人も微笑む。
微笑みの力・・・といえば、
毎週、堺雅人さまの微笑みの魔力に癒されております。
話題のドラマ「Dr.倫太郎」。
傷ついた人々の心にとことん寄り添う精神科医の物語ですが、
主人公の日野倫太郎を演じる堺雅人の柔らかい声と微笑みを見るだけで
テレビを見ながらカウンセリングを受けたような気分。
わたしは、わたしでいいのね・・・ひのりんっ(笑)。
堺雅人ってホント、凄い俳優さん。
「リーガル・ハイ」のようなエキセントリックなかぶりもの的役も
「半沢直樹」のような重厚シリアスなドラマも完璧に演じきります。
ちなみに、あの超絶早口台詞術を支えているのは「母音」。
発音訓練のひとつである「母音訓練法」を取り入れていると
何かのインタビューでご本人が答えているのを読みました。
古美門研介も、丁寧なアイウエオ、から生まれているのですね。
そして、あの微笑み。
何とも哲学的で、思惟的で、それでいて温かい不思議な微笑み。
カチンカチンに凍りついた心もゆっくりゆっくり溶かしてくれそうだ。
そう、凍傷にかかった手指は急激に温めると
細胞が破壊されてしまいかねません。心も同じ。
深く傷ついた心を無理やり一気に溶かそうとせずに、
温かい手のひらでそっと包みこむような、Dr.倫太郎の微笑み。
どこかで、見たような気がする・・・この微笑み・・・。
そうだ、京都のお寺だ。
広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像です。
すっきりと通った鼻筋、わずかに伏せた切れ長の目、
微笑んでいるのか、思索しているのか、
人々を魅了する不思議な微笑みをたたえる口元。
ヴィジュアル的にも堺雅人さま、そっくり。
倫太郎の役作りに弥勒菩薩像も何らかの関与をしているのではと
深読みしたくなるほど、二つの微笑みにはどこか通じるもがあります。
弥勒菩薩とは釈迦の入滅後56億7600万年後に
釈迦の再来として人々を救いにやってくるとされる未来仏。
未来に下界に降って仏となり、衆生を救うとされ、
現在は兜卒天(とそつてん)という場所で待機中なんだとか。
足を半跏に組み、わずかに首を傾げ、思索する姿は
天上世界でその時を待ちながら修業を続けておられる様子を表したもの。
つまり、弥勒菩薩は、われら衆生の救済方法を
56億年もの長きに渡って考え続けておられるのであります。
煩悩に翻弄される我ら衆生を救う方法は何か、
よしっ、これだ!ちゃちゃっと解決・・・なんてわけにはいきませんよね。
人々の苦しみ、悲しみ、孤独や絶望にそっと寄り添い、
一緒に光への出口を探し求めようとする56億年の微笑み。
テレビドラマの倫太郎の微笑みを見ているうちに
何だか無性に京都に行きたくなった。
そうだ、弥勒菩薩に会いに行こう・・・なんて気分にね。
Dr.倫太郎。
京都の観光大使もできそうだ。
(写真は)
ほっこり咲いたよ。
梅の花。
小さなお花が一斉に笑っている。
可愛いお地蔵さんが笑っているみたいだ。

