鄙のまくら
きょう4月4日は「あんぱんの日」。
ご近所スーパーでは急きょ、あんぱんコーナーが出現、
「あんぱんの日」のポップを掲げ、
各メーカーのあんぱんが並んでいました。
世の中で季節と記念日に一番敏感なのはスーパー、コンビニかも。
で、なんで4月4日が「あんぱんの日」なの?
あんぱんと言えば創業146年の老舗、木村屋総本店。
その由来がHPにしっかり記述されておりました。
明治8年(1875年)4月4日、明治天皇が東京向島の水戸藩下屋敷にて
お花見をした際、お茶菓子として献上されたのが名物「桜あんぱん」。
当時、創業者の木村親子が日本を象徴し、季節感を表現できる「桜」に着目、
奈良の吉野山から八重桜の花びらの塩漬けを取り寄せ、
あんぱんのおへそに埋め込んでお出ししたところ、
明治天皇はもちろん、ことのほか、皇后陛下のお口に合い、
「引き続き納めるように」との両陛下のお言葉を戴いたとか。
このことから、献上された4月4日を「あんぱんの日」として
2001年に記念日に認定されたそうです。
そうかぁ、140年前の4月4日も
明治天皇のお花見が催されたくらいですから、
東京は今年と同じように桜の見頃だったのですねぇ。
日本各地のご当地銘菓の栞にはかなりの割合で、
こうした献上菓子の由来が記されています。
とくに甘党として知られる昭和天皇には、
侍従が豆大福を買いに行ったなどという微笑ましいエピソードもあります。
今年のホワイトデーに夫にリクエストした名古屋のお菓子も然り。
創業380年の老舗「両口屋是清」のちいさなちいさな和菓子、
親指サイズの可愛らしい茶通「旅まくら」。
昭和25年の愛知国体にご出席された両陛下に献上したところ、
「たいそうお喜びになられたと伝えられています」と栞に書かれていました。
お忙しい日程のなか、そっとつままれた小さな和菓子に
ひととき旅の疲れを癒されたのかもしれませんね。
「旅まくら」。う~ん、風情のあるネーミングであります。
この「旅まくら」、和菓子的に分類する「茶通」というカテゴリーになりますが、
この「茶通」、ちょっと地味めで渋めで、どちらかといえば、
おばあちゃんちのお茶時間のお茶うけに出てきそうなイメージ。
鯛焼きやどら焼きや豆大福みたいに
華やかにグルメ番組でフィーチャーされることはまず絶対なさそう。
和菓子界でもほとんど目立たない鄙びた存在、ですが、
実は、私、かなり、大好き。
「茶通」とはお茶を材料に使った焼き菓子。
抹茶などを使って緑に染めた小麦粉の生地で餡を包み、
表面に煎茶の葉などを載せて焼いたお菓子で、
そうですね~、お茶風味が微かにする上品なきんつば風というか。
茶人を喜ばせるような侘びさび漂う風情が魅力的ですが、
その歴史は意外に新しく、江戸時代の製法書にはその名は見当たらず、
明治時代以降になって「茶津宇」として登場するようになったとか。
和菓子は茶道とともに発達しましたが、
お茶そのものを材料に使ったものは珍しく、
昨今、外国人観光客に大人気の抹茶スイーツのある意味「元祖」かも。
抹茶チョコや抹茶ラスクの次に「茶通」ブーム・・・、
来ないかな。来ないよね、来ない方がいい。
そう、ひそかに愛していて、あんまり人に知られたくない存在ってあるでしょ?
人が入らなくてお店なくなっちゃうのは困るけど、
かと言ってあんまり流行ってほしくない
行きつけの喫茶店とか、ラーメン屋さんとか。
物静かなキミの魅力をホントに理解しているのは自分だけという、
そんなわがままな自己満足を満たしてくれる存在。
そっと、静かに、ひっそり愛し続けたい小さな甘い秘密。
それが、地味~な「茶通」。
思えば、小学生の頃から、「茶通」が好きだった。
なんと侘びさびのわかる子供だったんだろうか(笑)。
春の嵐が過ぎたうららかな土曜の昼さがり。
「茶通」には、そんな午後が良く似合う。
(写真は)
親指姫サイズの可愛らしい茶通「旅まくら」。
表面に載せられた黒胡麻も香ばしい。
やや水分少なめのドライなこし餡が絶妙。
ちょっと濃い目のお煎茶で、ささ一服。

