待てる春

日本列島、桜咲く。

おとといは鹿児島や名古屋、昨日は高知や静岡で桜が開花、

いつもの年よりも早いぺースで桜前線が北上を始めました。

北海道上陸も早くなるのでしょうか。

さあ、今年も楽しい季節が始まりました。

南の地方から桜の便りが届くたびに我が家の前の桜並木をチェック、

小さな小さな固い蕾が少しずつ少しずつ膨らんでいくのを

毎日毎日観察しながら、春の訪れを待つ喜びは格別です。

そう「野宮的桜前線」は、1月6日石垣島の開花日からスタート、

「あそこで咲いた」、「ここも咲いた」と各地の開花をことほぎながら、

4月28日札幌の開花予想日あたりまで

3ヶ月半もたっぷりと桜色の夢に浸るのであります。

日本列島でいちばん遅く桜が開花する北海道は

実は桜の季節をいちばん長く楽しめるのです。

春爛漫の各地の桜便りを聞きながら、

のんびり、じっくり、ゆったりと我が桜が咲くのを「待つ」幸せよ。

三か月に渡って桜色の夢に浸れる幸せよ。

北国ならではの幸せよ。

「待つ」という動詞にいちばんふさわしいのは、やはり春。

夏も秋も冬もそれぞれに素敵な季節だけど、

夏を待つ、秋を待つ、冬を待つ・・・ってあんまり言わない。

やはり「春を待つ」、に尽きます。

新しい命が芽吹く春、新生、再生の季節に寄せる思いは特別。

しかも年を重ねるごとに

春を待つことがより楽しくなってきたような気がします。

こんな私も、「待てる」ようになってきたのでしょうか。

「待つ」大切さを実感したのが、昨日千秋楽を迎えた大相撲春場所。

6場所連続、自身の史上最多優勝記録を34に伸ばした横綱白鵬、

その土俵下でのインタビューでありました。

例の「審判部批判」問題が尾を引いているのか、

今場所、報道陣に一切口を開かなかった横綱は

ようやく「色々、騒がせましたけど・・・」と一言語ったものの

・・・沈黙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

次第に大きくなる拍手と歓声だけがマイクを通して聞こえてくる・・・

・・・・20秒ほどの沈黙ののち、その声援を受けるようにこう続けた。

「ま、頑張ります」。

マイクを向けたアナウンサー氏、さすが、プロのお仕事をしました。

インタビューの難しさの一つが、「待つ」ことです。

生放送中、インタビューを任された身にとって「沈黙」は怖い。

質問を向けた相手が何も答えず、沈黙してしまったら、それは、あせる。

「こっちの質問が悪かったのか?」「答えを考えているのか?」

「言葉が見つからないのか?」「そもそも答えたくないのか?」etc.

一瞬のうちに、ぐるぐるぐるぐる色々な煩悩が頭を駆け巡り、

目の前の沈黙の恐怖を埋めんがために、余計な質問を重ねてしまったり、

最悪な場合、想定される答えを代弁してしまったり。

新人の頃、よく先輩に教育的指導を受けたものだったなぁ。

「はやるな」「待て」と。

「聞いたお前が答えてどうする」と。

言い淀み、息遣い、表情、沈黙、

相手が言葉以外に雄弁に語る瞬間をつぶしてはならないのだ。

「待つ」ことはインタビューの鉄則ですが、若輩者にはなかなか難しかった。

満員の国技館で20秒「待った」アナ氏、まさにプロのお仕事であります。

20秒の沈黙の意味は

テレビを見た人それぞれが判断すれば良いのです。

インタビュアーが予断を持つなどもってのほか。

「待つ」と書いて「プロ」と読む、のかもしれません。

う~ん・・・どの仕事も、奥が深い。

(写真は)

春を待つ炊き合わせ。

お誕生日の宴の一品から。

旬の筍に桜の生麩が春を奏でる。

道明寺粉で包み蒸し上げた桜餅仕立ての帆立が

ひときわ春らしい。

春が遅いほど、待つ楽しみが多いんだよ、うふふ。