乳と蜜と小麦

いつもの元気を取り戻したカスピ海ヨーグルトに

バナナとドライフルーツと自家製グラノーラを加えて蜂蜜をたら~り。

もはや祈りにも等しい毎朝の美味しい儀式です。

もしもこの世界に蜂蜜がなかったら、想像するだけで悲しくなる。

甘い一滴は神の食べ物。

太古の昔から人間は芳しい香りの蜂蜜に魅せられてきました。

久しぶりに訪れたご近所スペインバルで

何とも素朴で土地の香り豊かな蜂蜜に出会いました。

スペイン旅の途中でオーナー氏が手に入れたという瓶入りの蜂蜜。

小さな村の市場に並べられていたそうで、

お値段は記憶によえば「多分500円くらい?」とのこと。

たっぷり500グラムは入っていそうですから、かなりお手頃。

しかも黄金色の液体のなかに整然と六角形の物体が積み重ねっている。

そう、蜂の巣入りの超自然派蜂蜜なのでした。

金色のラベルに描かれたレトロタッチなイラストがたまらない。

山々の横で蜂蜜坊やのような少年が笑っている。

村で採れた蜂蜜を巣ごと瓶に詰め、

近所の絵の得意な村人が描いたラベルをぺたんと貼って、

はい、朝の市場に持ってきましたよ的な素朴な佇まいが

蜂蜜とのお付き合いが長いヨーロッパの歴史を感じさせてくれます。

蜜蜂と人間の付き合いは1万年以上も前に遡り、

ギリシャ神話の最高神ゼウスは山羊の乳と蜂蜜で育てられ、

蜂蜜が大好物だったと伝えられています。

また紀元前6000年頃に描かれたスペインのアラーニャ洞窟には

蜂蜜を採集する人の姿が描かれていて、

スペインはヨーロッパの中でも蜂蜜の関わりは古く、

またその生産量も屈指の国なのでありました。

長い歴史の中で遠心分離機などを部分的な養蜂技術は発達しましたが、

どれだけ世の中が進化しても、

蜜蜂から甘い蜂蜜を採る養蜂はそのほとんどが手作業。

しかも主役はあくまで小さな小さな蜜蜂であって、

人間が手を加える部分は太古の昔からほとんど変わりません。

自然がその全てを握っているまさに神の食べ物なのですね。

スペインの小さな村を自由気ままに飛び回る蜜蜂たちが

美しい山々や草原や庭に咲きこぼれる花々から集めてきた甘い滴を

無造作と言っていいほど素朴にどっさり詰めた蜂蜜の瓶。

気前の良いオーナー氏はまたまた惜しげなく開封して、

これまたスペインで買ってきたハードタイプの山羊のチーズを

薄切りパンに載せ、その上に黄金色の蜂蜜を六角形の巣ごと、

たら~りと落としてくれました。

山羊のチーズと蜂蜜を載せたパン。

乳と蜜と小麦の恵みをいちどに頬張る。

古代の神々も歓喜するその一切れに

自然と畏れおおいような敬虔な気持ちに包まれる。

ぱくり・・・。

芳醇で野性的な花の香りとまろやかな甘さと

心地よい乳の発酵した匂いとほど良い塩気と豊かな小麦の味わいが

口の中で得も言われぬ旋律を奏でる。

乳と蜜と小麦と。

これだけあれば、きっと生きていける。

そんな根源的な力を持つ、絶対的な旨さの三位一体。

カロリーさえ気にしなけばずっと永遠に食べ続けたい誘惑にかられる。

乳と蜜と小麦を生んだこの大地に感謝。

シンプルで旨い。

乳と蜜と小麦の三位一体は

赤ワインに実によく合う。

止まらない・・・(笑)

(写真は)

ね?素朴でしょ?

おらが村の蜂蜜、うまいんだから。

レトロタッチな蜂蜜坊やのイラストが

たまらなくキュート。

で、ところで、スペインの・・・いったいどこの村なんだろう。

聞き忘れた~(笑)