あらしの夜に
ミシッ!
鉄骨構造のマンションが一瞬、微かにきしむほどの冬の嵐。
キッチンの換気扇からは時折、唸るような重低音が。
外に通じた排気口の向こうは目も口も開けられない猛吹雪なのが
暖かい室内にいてもよくわかります。
あらしの夜、幼子のような心細さにかられました。
猛烈に発達した爆弾低気圧の影響で
昨日の北海道は広い範囲で暴風雪に見舞われました。
札幌や新千歳、小樽など人口が多い地域も強烈な雪雲にすっぽりと覆われ、
午後からはほとんどホワイトアウト状態。
「こりゃあ、街なかでも遭難しそう・・・」
ベランダの戸をそ~っと細く開ければ、外は荒れ狂う白い嵐。
吹雪に慣れているはずの北海道人でも恐くなりました。
歩いて1分のスーパーに行くまでに瞬間冷凍されちゃいそう。
こんなあらしの夜は幼子のようにおうちで大人しくしているに限ります。
まったく、息子のUターンが1日遅れていたら、大変でした。
道内発着の空の便は約230便が欠航、
新千歳空港では1500人が空港内で一夜を明かしたそうです。
これは東日本大震災の発生で2000人が足止めされた
2011年3月11日につぐ規模。
急きょ開放された会議室に入りきれなかった人たちは
大きな手荷物を抱えたまま、空港ロビーの床やソファで
配布された毛布にくるまって、眠れぬ夜を過ごしたそうです。
楽しいお正月休みや冬の旅行がとんだエンディングとなってしまいました。
本当にお気の毒、お疲れさまです。
「新千歳は色々時間つぶせるから、早めに行ってていいよね」
そういえば、おととい息子とそんな会話を交わしながら、
穏やかな高速道路を空港に向かって走っていました。
スイーツに海産物、トラベルグッズに書店等々、充実したショッピングゾーンに
チョコやテディベアのミュージアムや映画館、温泉まで揃った、
「空港」という名の至れり尽くせりのアミューズメント施設。
1、2時間の待ち時間などあっという間に楽しく過ごせちゃいますが、
想定外のあらしの夜のワンナイトステイは・・・別物。
お店だってしまっちゃうし、ロビーの床は、寝るには辛すぎる。
そうですよね、本来、空港は人が旅立つための場所であって、
旅人がとどまることは想定していませんものね。
早朝便に便利なエアポートホテルを併設した空港も増えていますが、
あくまで限定的なオプション。
新千歳の書店の棚は文芸本よりは旅本がいっぱい並んでいるし、
空港内の「MUJI」も旅に特化したした品揃えが特色。
機内で使える枕とか小分け用のコスメ容器などのトラベルグッズは
眺めているだけで旅気分が盛り上がってきます。
もちろん、でっかなベッドや布団や茶碗やお箸は置いていない。
だって、空港は「住む」ところではなく、「旅立つ」場所だから。
予期せぬ「空港ホテル」で一夜を明かした朝、
体の節々は傷むでしょうし、寝不足もさぞ辛いでしょうね。
今朝の新千歳、早い時間がまだ吹雪いていました。
何とか今日中に無事に帰る便が飛んでくれると良いのですが。
空港に「住む」のは、映画の中のトム・ハンクスだけで十分、
1500人が無事に「ただいま~」ができますように
あらしの余波がまだ残る札幌よりお祈りしております。
あらしの夜は
敬虔な気持ちになる。
自然にはかなわない。
(写真は)
お気に入りのブックス・カフェにて。
「ブルックリン・パーラー」の店内を
ぐるりと壁のように囲む書棚には
旅心をそそる素敵な旅本、写真集が
良きセンスでセレクトされています。
書棚の趣味が合うことは、
相手がカフェでも男子でも、かなり重要(笑)

