バターブリーフ

今年も待ちかねたおやつがやってきました。

ドイツ生まれのクリスマス菓子「シュトーレン」です。

我が家は毎年、小樽の忍路にあるパン屋さんに予約注文、

藁がつまった素朴なお布団にくるまれた包みが届くと、

クリスマス気分が一気に盛り上がってくるのでした。

さあ、今年はどんなラッピングかな~?

真っ白なお砂糖にくるまれたシュトーレンは

ドイツ語で「坑道」を意味しますが、

うぶ着にくるまれた幼子イエスをかたどったとも言われます。

小樽のパン屋さん「エグビブ」のシュトーレンのラッピングは

まさに赤ちゃんを大切に守るおくるみのよう。

柔らかなガーゼのような薄い布の中には藁が詰められていて、

馬小屋で生まれたイエスの揺りかごを思わせます。

そのおくるみラッピングは毎年趣向を変えて

緑の小枝や木の実などがあしらわれるのですが、

今年はシンプルな藁のリボンで優しく結ばれていました

クリスマスを待つ週末、

さあ、包みをといて、切り分けるとしましょうか。

藁のリボンをほどいて、藁のおくるみを開けると

そのおくるみ布団の裏側に小さな文字でメッセージが書かれていました。

麦の粒が土に蒔かれ、芽が出て、多くの実を結び、収穫され粉に挽かれ、

人々が手でこねて喜びを与え合うまでが綴られています。

一粒の麦に栄養を与え、みんなが生きるために、

分かち合うことの大切さが伝わってきました。

そうかぁ、そうだよね~、

シュトーレンはもちろん一人で食べてもおいしいけど

誰かと分け合って食べると100倍味わいが深まるような気がします。

小さな命を慈しみ、栄養を与え、育む喜びを分かち合うように

薄く切り分けて、誰かと分け合って食べるのがお似合い。

一人占めして分厚く切って食べちゃうのはもったいないお菓子。

となれば、ちょろちょろ動き回るおサルのような男の子を調教(笑)、

いやいや、育児するのに助け合った夫と仲良く分けあうのが

我が家にふさわしいシュトーレンの食べ方でありましょう。

シュトーレンは1329年、ナウムブルグの司教に

クリスマスの贈り物として献上されたものが最初とされていますが、

その四旬節は断食の期間だったので、

当時のシュトーレンは燕麦の粉とイーストと水と菜種油をこねた

素朴・・というか、美味しいとは言い難いもの。

そこでザクセンの選帝候がローマ法王にバターを使う許可を求め、

1491年、イノセント教皇からバターを使っても良いという手紙、

「Butterblief(バターの手紙)」なる文書が出されたのは有名なお話ですが、

バター不足が心配される今年は、

何だか遠い歴史上のお話とは思えませんね。

おくるみラッピングのシュトーレンは

たっぷりのバターを丁寧に染み込ませて作られているので

その芳醇なバターの香りがたまりません。

クリスマスの需要期を前にしてのバター不足、

パン屋さんやお菓子屋さんはバターの確保に大変だったでしょう。

おいしいバターの原料となる牛乳を安定して生産できる体制こそが

みんなが望む現代版「Butterblief」なのかもしれませんね~。

さ~てと、氷点下の雪道を踏みしめて、投票所に向かいましょうか。

ロングダウンじゃないと、凍えそう。

寒くても雪が降っても大切な一票は無駄にはしませんよ。

日曜日、一票投じた後のおやつには

薄~く切ったシュトーレンが待っています。

(写真は)

赤ちゃんがすやすや眠れそうな

温もりいっぱいのおくるみラッピング。

レーズン、クルミ、アーモンド、オレンジ、レモン、アップル・・・

果物と木の実など恵みがいっぱい詰まったシュトーレン。

今年の収穫とたくさんの働いた手に感謝しながら

大切にいただきます。