レシピ便
とうとう街に白い使者がやってきました。
札幌は昨日の時雨模様からはっきりと雪に変わり、
家々の屋根は粉砂糖でお化粧したような冬景色となりました。
うっすら雪化粧した街並みはクリスマスケーキのデコレーションを連想させます。
もこもこのブランケットにもこもこソックス、ルームウェアもあったか仕様に。
連休最終日にはル・クルーゼいっぱいに野菜スープも仕込んだし、
さあ、いつでもいらっしゃいませ、冬将軍さん♪
ことこと、ことこと。冬を迎える野菜スープ。
たまねぎ、人参、パプリカにいんげん、キャベツ、しめじにエリンギ・・・。
ありもの野菜をみんなお揃いの小さなキューブ形に切りそろえ、
味だしにスパムを小さく刻んで少々加え、オリーブオイルで炒めてお水を入れて、
ここでローリエを一枚・・・ん?そうだった、切れてたんだった。
ではでは、今にも雪が降り出しそうなベランダへ。
まわりは枯葉色の季節なのに、そこだけ奇跡のような緑の葉が。
小さな鉢に寄せ植えしたローズマリーです。
お隣のミントはさすがに色が褪せてきましたが、ローズマリーは強靭。
気温がぐんぐん下がっているのに、少しずつ背丈さえ伸びているようで。
もう家の中に入れてあげようかと思うのですが、
残り少ない日中の日差しを浴びさせてあげたいし、
迷いながらもお外に置いていたのです。
日に日に短くなるお日さまの力を小さな葉っぱにめいっぱい受けて
時雨模様のベランダで頑張るローズマリー。
その強靭な生命力を押しいただくように、
キッチンはさみで緑の枝先をそっと少しだけ切りとります。
冬間近のベランダにふわりと立ちのぼる爽やかな芳香。
そうだね、寒さなんかに負けていられないね。
湯気をたてるスープ鍋に摘み取った一枝を入れましょう。
晩秋ローズマリーがほのかな香りを添える特製野菜スープ、
今しかできない、我が家の魔法スープ、
ちょっと誰かに自慢したい秘密のレシピであります。
そういえば、昔、読んだ小説のなかで、
そうだ、確かアメリカ北東部のお話だった、季節は厳しい冬、
老婦人が自慢のクラムチャウダーの作り方を書いたレシピを
誰でも手に取れるように玄関ドアの前の籠かなんか入れておく・・・。
そんな場面があったような。
「どなたでも作ってみて下さいな、きっと美味しくできますから」。
優しい気持ちがそっと伝わる玄関ドア前の秘密のレシピ。
なんて温かいお裾わけの方法なんだろう。
小説のタイトルも作者も忘れてしまったけど、
そのシーンだけは印象深く心に残っています。
温かなスープ鍋をそのまま届けることはできなくても
心を届ける方法ってあるんだな。
遠く離れて暮らす単身赴任の夫へ、一人暮らしの息子へ、娘へ、
あれこれ詰めた季節の宅配便の段ボール箱の一番上に
母さん自慢のスープやおでんやシチューやミートソースのレシピの紙を一枚、
そっと載せて「元気ですか」と蓋を閉める。それは○○ネコ・レシピ便(笑)。
レシピが運ぶ誰かの思いやりが
いちだんと心に沁みる季節がやってきました。
(写真は)
壁に書かれた秘密のパンケーキ・レシピ。
昨日ご紹介した那覇の「旅先で食べる美味しい朝ごはん」カフェ
「C&C BREAKFAST OKINAWA」の店内にて発見。
門外不出どころか大らかに門内開放の心意気が粋。
うんと寒い冬の休日の朝にでも
初秋の沖縄の朝日を思い出しながら再現してみよう。
レシピが運ぶ旅のおいしい思い出。

