ベスト路地裏

読書の秋2014。

ただ今、宮部みゆきの「ソロモンの偽証」、爆読中であります。

「現代ミステリーの金字塔、堂々完結」のコピーも華やかに

全6冊この秋にかけて一気に文庫化、で、寝る間も惜しんで一気読み、

物語はいよいよ佳境に入ってまいりましたよ~。

読後感想ブログは後日に、うふふ。

で、秋深し となりは何を 読む人ぞ、てなわけで、

何気に夫の書斎(という名の息子の学習机)に積まれた本をちら見していたら、

スリムな画集のような装丁の本に興味をひかれました。

題名は「新 世界の路地裏」。

「新」ということは、好評につき第2弾出しちゃいましたということでしょうか。

タイトル通り、世界の路地裏の写真に短い紀行文を添えた「路地裏本」。

世の中にはやっぱりいるんだなぁ、路地裏好きのご同輩たちが。

夫婦して路地裏好きの私たち、

旅先ではお洒落な新市街よりは旧市街、筋道、横道、小道に魅かれて

見知らぬ街をあてもなく散策するのが大好きですが、

よくぞ図書館の膨大な本の森の中で

路地裏好きにピンポイントでヒットする本を見つけたものです。

図書館の書棚のそれこそ路地裏あたりに潜んでいたのでしょうか。

書店ではなかなか見つけられそうもないもんね~。

パラパラとめくると・・・

いや~ん、だめ~、旅心がうずく~(笑)。

イタリア、フランス、スペイン、モロッコ、ハンガリー、クロアチア・・・

ヨーロッパの旧市街を中心に旅情あふれる路地裏風景が

さ、お散歩にいらっしゃいな・・・と手招きしています。

最初に出てくる場所の名前で軽くノックアウト。

「チンクエ・テッレ」。

魔法の呪文のような名前の響きを聞いただけでそそられます。

「チンクエ・テッレ」とは「五つの土地」を意味するイタリア語。

イタリア北西部のリグーリア海岸にある五つの村の総称です。

断崖絶壁の上に築かれた村々の人々は1000年の昔から

海に突き出た急斜面の段々畑を耕し、レモンやオリーブを育て

ワインを作り、漁をして暮らしてきました。

1980年代まではお互いの村や外界とも交通手段は船のみという

陸の孤島だった「チンクエ・テッレ」の生活文化と景観は

1997年に世界遺産に登録されています。

未来に残したい「路地裏」のひとつでありました。

小さな入り江から急角度でせり上がる斜面に

ぎっしりとへばりつくように立ち並ぶ家々。

家を建てられるわずかな土地に肩を寄せ合うように、

お互いの体温が感じられるような密度で暮らしてきたのでしょう。

狭い路地、急角度で曲がりながら伸びる階段は二股に分かれたり、

唐突に立ちふさがるドアで終わっていたり。

まるで緑の蔦が這うごとく息づくように形造られた路地裏。

それは効率や経済性を重視する近代的な都市計画とはまったく違うベクトル、

人の自然な営みのままにできあがった暮らしの形。

狭い石の階段やくねくねした縊路は不便だったり非効率だろうけど、

簡単に便利さと引き換えできない魅力に溢れています。

しかも一見ばらばらに思いつきで建てられたような街並みですが、

窓枠やカフェの庇は深い緑色で統一されていて、

外壁の黄色やテラコッタ色などと落ち付いた調和を奏でています。

また不思議なことに窓に干された洗濯物さえお洒落に見える。

よ~く観察すれば縞々模様のおっさんのでかパンだったり、

薄ピンクのババシャツだったりするのですが(笑)、ヒキで見ると風情になる。

ヨーロッパ路地裏風景の七不思議かもね。

「PASTICCERIA」と書かれた緑の庇の下で

村の三匹のおっさんが何やら世間話をしている姿も粋だ。

話の内容は「いや、ゆんべ、かあちゃんとケンカしてさ~」、

「おめえんとこ、おっかね~もんな、オレんとこも負けね~けど」

な~んて実に庶民的な会話なのかもしれないが、

写真に切りとられると、ちょいと小粋な会話でもしていそうに見える。

黒タートルにデニムにブーツ、立ち姿も画になっちゃうんだな~。

路地裏のおっさん。

路地裏は街の素顔。

写真に撮られるからって、急にカッコつけたり厚化粧したりしてもダメなんだ。

その街や村が大切に積み上げてきた暮らしのカタチなんだな。

「品性とは誰も見ていないところで何をするかで決まる」。

今朝のめざましテレビが誰かのそんな格言を紹介していたけど、

でかパンが堂々と干されている路地裏にはゴミひとつ落ちていない。

くりぬかれた壁におさめられたマリア像には小さな野の花が供えられている。

誰も見ていない早朝に家の前を掃除したり、マリア様に花を捧げたり、

そんな村の暮らしが世界遺産の路地裏を作っているのでしょう。

イタリア北西部のチンクエ・テッレ。

ユーモラスな響きの村々をいつかのんびりお散歩してみたいものだ。

あのpasticceriaに行けば三匹のおっさんに出会えるだろうか。

1000年前から断崖絶壁の段々畑で作り続けてきた

葡萄とレモンとオリーブの自慢話など聞かせてくれるだろうか。

図書館の森で夫が見つけた一冊の写真集。

心はイタリアの田舎へひとっ飛び。

読書の秋、本で旅しませんか。

(写真は)

那覇のベスト・オブ・路地裏。

賑やかな国際通りの裏側、

ここ入れるの?と不安になるほど細い路地の途中に

突如、出現する青空喫茶「珈琲屋台ひばり屋」。

路地裏にひょっこり現れる和み空間、

初秋の沖縄旅で再び訪れましたが、

残念、この日はお休み。午前中通り雨降ったからかなぁ。

杏仁風味のカフェ・オ・レは次回の楽しみにとっておこう。

ちなみに目印は「理容たかまつ」の看板。

迷子体験も路地裏の醍醐味。