糸満イナグ

台風18号が関東に接近中です。

週明け月曜日、これから朝の通勤時間帯ですから要警戒ですね。

そういえば9月の沖縄、那覇市内の街路樹が真っ赤な花をつけていました。

「あの赤い花が咲く頃、台風もやってくるんですよ。秋を告げる花ですね」。

タクシーの運転手さんがそう教えてくれました。

「何という名前なんですか?」

「さあねぇ~、私らは南洋桜って呼んでますけど」。

南洋桜・・・沖縄にちいさな秋を告げる花。

帰ってきてから調べてみると、

真っ赤な花を咲かせていたあの街路樹の名前は「鳳凰木(ホウオウボク)」。

風に揺れる赤い花が鳳凰が羽ばたく姿に似ているところから

こんな縁起の良い名前がつけられたようです。

またの名を「火炎樹」、英語では「Flame tree」。

燃えるような真っ赤な炎を思わせる花の特徴をよく表した名前ですが、

日本統治下のミクロネシアでは祖国に思いをはせた兵士たちが

この情熱的な赤い花を「南洋桜」と呼んでいたそうです。

那覇市の木でもある「鳳凰樹」、

真っ赤な花が多く咲くと、その年は台風が多いとも。

沖縄にちいさな秋を告げる花、

遥か遠い祖国の桜を重ねた歴史も秘められているのですね。

初秋の沖縄旅4日目は南洋桜の咲く那覇から南部へとドライブ。

海と地続きの離島とひめゆりの塔をめぐり、夕暮れが近づいてきました。

那覇へ戻る前に、海人(うみんちゅ」のまち、糸満の名所に寄っていきましょう。

糸満漁業組合が運営している「お魚センター」です。

道の駅「いとまん」や物産センターなどが立ち並ぶ港に面した広い敷地にあって、

同じ建物に組合員11店舗が軒を並べ、

糸満漁港で朝セリにかけられた新鮮な魚「いまいゆ」を販売しています。

うっわぁ~!

ぴちぴち、きらきら、ゴージャスな極彩色なお魚が目に飛び込んできました。

タマン、ブダイ、赤ミーバイにマグロ、

おおお・・・白黒斑点模様のウツボもお頭つきのぶつ切りに。

「イトマンチュー」と呼ばれる誇り高き糸満漁師たち自慢のお魚軍団に圧倒。

帰るのがホテルじゃなかったら、夕餉のおかずに買って帰りたい~。

観光客から主婦の目になって新鮮な魚を吟味する私。

さすがの超新鮮な品揃えです。

「いらっしゃ~い、何にする?お刺身すぐ作ってあげるよ!」

明るく声をかけてくれる女性陣がまたお魚に負けず、イキがいい。

さすが、これが「糸満イナグ」のたくましいDNAなのでしょうか。

糸満は昔から知られた漁業のまち。

海の技が自慢の男たちはサバニで近海へ出て、一本釣りやもぐりで、

また遠くはシンガポールあたりの南方まで行って漁をしてきました。

一方、女衆はとれた魚を大きなばーき(かご)に入れて頭にのせ、

三里余り離れた那覇や首里まで歩いて売りに行ったといいます。

糸満言葉の大きい声で売り歩く女たちは

切り盛り上手な「糸満女(イナグ)」としても有名でした。

その昔はどんなに寒い冬の朝でも4時には起きて、

大きな鉄鍋「しんめーなび」で主食の「うむ(芋)」を炊き、

子供が小さなうちはおんぶして、うむを二、三個持って行商に出かけ、

途中、垣花あたりで乳を飲ませて、自分もうむを食べ、ひと休み、

午後には売りさばいて糸満に戻る。

水田がなく米がとれない海の暮らしをたくましさと工夫で乗り切ってきた。

切り盛り上手な糸満イナグたちの聞き書きの記録を読んだことがあります。

照明も明るく最新の冷蔵設備が整った「お魚センター」ですが、

明るく威勢のいい糸満レディースたちの売り声は

勇気と活気あふれる海人のまちを支えてきた誇りに満ちていました。

目の前のいまいゆたち、お刺身にすると美味しいだろうな~。

ああ、お腹がすいてきた。

今晩はお魚自慢の居酒屋にしよう。

赤ミーバイたちに別れを告げて、「わ」ナンバーのレンタカーで

暮れなずむ那覇へと帰りましょう。

(写真は)

お刺身にすると絶品な赤ミーバイ。

ハタ科のお魚で上品な白身に

シークヮーサーをきゅっと絞っていただくとたまらない。

沖縄の高級魚で居酒屋さんでもいいお値段だったりするけど、

ついつい頼んでしまう誘惑の赤ミーバイ。

糸満の「お魚センター」でもやはり「センター」を占めていた(笑)。