王様ケーキ
10月最後の週末は秋晴れに恵まれそうです。
北大の銀杏並木が見頃らしいし、
久しぶりのロングお散歩もいいかな~なんて空を見上げる朝。
むむむ・・・西の空がちょっと雲行き怪しいいな・・・。
女心と秋の空、次の展開がなかなか読めない。
まあ、ちょっと様子をみることにしましょう。
微妙な女心、扱いに戸惑ったら、まずは静観に限ります(笑)。
初秋の沖縄旅、雨の首里散歩で訪れた老舗「新垣カミ菓子店」。
幸運にも大好きなあのお菓子を買うことができました。
首里城の書院「鎖之間」でも供される琉球菓子「ちーるんこう」。
王家の包丁役だった開祖、新垣淑規が中国からやってきた冊封使から
その製造法を伝授されたといわれています。
当時貴重だった卵黄をふんだんに使った格調高いお菓子で
王朝内でも高貴な人々しか口にできなかったとか。
良かった~、平成の世で。
油をいっさい使わない昔ながらのレシピの生地を型に流し込み、
赤く染めた落花生や沖縄独特のみかんの砂糖漬け「桔餅(きっぱん)」を
表面に飾りつけて蒸し上げたお菓子で、
ふんわりしっとりした口当たりの蒸しカステラといった風情。
卵黄から生まれたほのかな優しい黄色の色合いはまさに卵色。
那覇の新垣菓子店の「ちーるんこう」は以前に食べたことがありますが、
どれどれ首里の新垣カミ菓子店のお味はいかに。
う~ん、なんて優しい味わいなんでしょう。
上半分はふわっと軽く、生地の底の方は密度がみっしりとしていて。
蒸し上げるうちに卵やお砂糖が自然に沈んでいったのか。
安定剤やら何やらの添加剤を使っていないのが却って良くわかります。
原材料は「砂糖・小麦粉・卵・結餅・落花生・ベニコウジ色素」以上。
琉球王朝時代には貴重だった材料がシンプルに記されています。
「昔からの味は絶対に変えてはならない」。
新垣カミさんの教えを忠実に守り続けてきた伝統の味。
優しい卵色の「ちーるんこう」のアクセントになっているのが
表面の美しい赤い落花生と黄色の桔餅のトッピング。
実はこのお菓子、琉球王の王冠を模して作られたそうで、
赤い落花生や桔餅を宝玉に見立てて飾り付けられました。
当時は王冠と同じ大きさで作られていたそうです。
その王冠とは国宝にもなっている大変貴重なもの。
「玉御冠(たまのおかんむり)」。
沖縄の言葉で「タマンチャーブイ」と称される豪華絢爛な冠は
尚家継承の文化遺産で国宝に指定されています。
金、水晶、翡翠、黒真珠、珊瑚などがちりばめられた美しい冠は
正月の朝賀式典や中国皇帝の誕生日、冊封の儀式など
国の重要な儀式の際に琉球王が着装したと伝えられています。
卵色の蒸しカステラ「ちーるんこう」は
いわば「王様ケーキ」、というわけです。
最もポピュラーな琉球伝統菓子「ちんすこう」も
菊型や丸い形をしていてた王朝時代には
赤や黄、緑に着色されていたそうですが、
詳しい資料が残されていないため、
どのような色づけだったのかはわかっていません。
首里城見物で目にする美しい琉球王朝の衣装や文物をヒントに
幻の当時のカラフルちんすこうの姿をイメージするのも楽しいかも。
雅な王朝文化を今にそっと伝える伝統の琉球菓子。
「ちーるんこう」も昔は泡立て器もミキサーもないので
卵をすり鉢ですって空気を含ませたとか。
卵白も使ってふっくら仕上げられる現在のスポンジやカステラとは違って
しっかり噛み応えのあるお菓子だったらしい。
そんな歴史の味わいをも感じられる新垣カミ菓子店の「ちーるんこう」。
旅から帰った後、秋のお茶時間を華やかに彩ってくれました。
ふんわり卵色の王様ケーキには
やはり、さんぴん茶が一番。
琉球マリアージュを楽しみましょう。
(写真は)
卵色と紅い落花生と桔餅が美しい「ちーるんこう」
島袋常秀さんの工房で手に入れた
赤絵付けのお皿でいただく。
華やかな王朝時代に思いを馳せるお茶時間。



