並木道に誘われて

深まる秋。

我が家のマンション前の桜並木も葉っぱがいっせいに赤く色づき、

桜色の春景色とはまた違う秋の風情を漂わせています。

いいなぁ・・・並木道は。

お店を開くなら「並木道」のある場所で。

並木道と一緒にお店や街が育っていく可能性を感じるから。

そんなこだわりの物件探しをしていた東京出身のオーナーが

「ここしかない!」と一目惚れした場所が那覇市壺屋。

平和通り商店街と浮島通りが交差する小さな並木道に

シックな紫色の外観のそのお店はあります。

「GARB DOMINGO」。

琉球モダンと呼びたい器のセレクトショップです。

初秋の沖縄旅6日目は朝から雨、

傘をさしながらのんびり那覇散歩、平和通りをずんずん奥へ、

沖縄の素顔の暮らしに触れられるディープな街歩きを楽しんでいますが、

浮島通りと交差する緑が美しい小さな並木道はなにやら素敵。

お洒落なお店が点在していて、ちょっとヨーロッパの旧市街のよう。

その中心的存在なのがこの「GARB DOMINGO」です。

ユニークな店名は近くを流れるガーブ川から。

「那覇の街のまんなかを流れる川に蓋をしないで

川を活かし、街を活かし、地元の人と観光客が行きかい、

沖縄の違う一面を再発見できるようなお店を作りたい」。

東京で建築デザインの仕事していたオーナー藤田俊次さんの思いは

素通りできない魅力をもったお店の中に一歩入れば、すぐわかります。

店内には藤田さんの審美眼がセレクトした器、カトラリー、雑貨が並び、

どれもシンプルで上質、それでいて個性をしっかり主張していて。

ひとつひとつ、じっくり手に取り、会話をしたくなる器ばかりです。

沖縄の伝統工芸のエッセンスを感じさせながらも

現代の暮らしにすっとなじむ感性の高い器はまさに「琉球モダン」。

シンプルでモダンで独自性のあるこうした沖縄の作家物の作品の隣に

何気なく寄り添う銀のカトラリーは・・・「ポルトガルの作家です」。

向こうにあるビビッドな色合いの鉄瓶は・・・「岩手の南部鉄器ですよ」。

がちがちの沖縄オンリーに固執するのではなく、

沖縄のものをより魅力的に演出し、また普段の生活に取り入れやすいように

藤田さん自身が見つけてきた海外や県外の作品も一緒に並べられています。

ヨーロッパ、アフリカ、アジア、そして東北、京都・・・。

藤田さんと一緒に旅してきた器たちが

沖縄の今を表現する器たちと共存する空間。

旅好き、器好きにはたまりません。

私のような旅人は沖縄の魅力を求めて、

地元の人は贈り物や自分用の器などを求めて

ここ「GARB DOMINGO」にやってくるのです。

暮らしの中に溶け込むようなお店に人々はひきよせられ、

いつしかこの並木道界隈には新しいお店が増えはじめ、

街は並木道と一緒にすくすくと育っているのでした。

ここに来る人も、ここに住む人も、自然に立ち寄りたくなる場所。

「ここに来れば、何か素敵なものがきっと見つかる」とわくわくしながら。

そしてこのお店はその期待を絶対に裏切りません。

穏やかな笑顔の藤田さんはとても自然に優しく作品のことを教えてくれます。

それはひとつひとつが小粋なエッセイのようで、

お話を聞くと・・・もうその器と恋に落ちてしまうのです。やばい(笑)。

たとえば、ガジュマルを掘りぬいた作家物のボウル。

南国の太陽に照らされ、台風に耐え、

大地に根を張って生き抜いたガジュマルの生命力が木肌に乗り移り、

ぐねぐねとムンクの絵のようにねじ曲がった曲線を描き、迫ってきます。

ああ、欲しい~!と誘惑されましたが、

実はここの看板には「インテリア+スーベニア」の文字が。

「スーベニア、おみやげね・・・」

おっと~!夫へのお土産は津嘉山酒造の泡盛しか買っていなかった。

この旅を分かち合いたい誰かのために素敵なおみやげを選ぶなら

ここしかありません。まずはスーベニアだ。

我に帰り(笑)圧倒的な存在感を放つガジュマルのボウルを棚に戻し、

ふと、下の方をみると・・・

おや、こんなところに真っ赤な蝶が・・・。

雨の並木道、琉球モダンのセレクトショップに蝶がいた?

素敵なスーベニアのお話は明日へ続きます。

(写真は)

雨の並木道にお似合いでしょ?

パリの左岸にこんな界隈があったなぁ・・・。

リヴ・ゴーシュ(左岸)にお似合いなシックな紫色は

那覇を流れるガーブ川によく似合う。