カミさんのお菓子

ほほぉ~、雪ができなかったらしい。

札幌は昨日明け方にも初雪観測かと予想されていましたが、

結局、空振り(?)、雪は降りませんでした。

気象台によると「上空の冷たい空気に湿り気が足りず、

雪をもたらす雲ができなかった」からだとか。

つまり、雪を作るレシピとしては、水分がいまひとつだったってことね~。

残念・・・なのかどうかは微妙ですが(笑)、

初雪観測日の平均は10月28日の札幌、どうやら冬の歩みはゆっくりで、

今年の初雪は11月になりそうな気配。

きょうは秋晴れ、今のうちにひなたぼっこを充分に堪能しましょう。

さてと、秋雨の首里リポートを続けます。

初秋の沖縄旅6日目、雨の首里散歩は素敵な収穫に恵まれました。

石垣の島ピアスと房指輪のモチーフで仕立てたネックレスをゲット。

素敵な自分スーベニア、家に帰ってからも身につけるたびに、

この風情あふれる雨の城下町を思い出せます。

うふふ、満足満足。

お次はファミリースーベニア。

ここ首里にしかお店がない伝統の琉球菓子店を目指しましょう。

首里王府時代に尚瀬、尚育、尚泰の三代の王に仕えた

包丁役(料理人)新垣親雲上淑規(あらかきぺーちんしゅくき)が開祖の

「新垣カミ菓子店」です。

当時の琉球王朝は中国から長期滞在でやってくる使節団「冊封使」を歓待、

そのときに中国菓子の製造が伝わり、

また琉球王族が日本へ渡った際に随行した包丁役は和菓子の製法を取得、

この日中両国の製菓技術を取り入れて琉球独特のお菓子が作り上げられました。

「親雲上(ぺーちん)」とは王朝内の上流階級を表す言葉。

包丁役、いわばパテシィエがいかに大切な存在だったかが伺えます。

日中の使節団をもてなした美しく美味しい琉球菓子は

当時の重要な外交手段のひとつであったともいえます。

明治の末に淑規の孫である淑康が那覇市久米に「新垣菓子店」を開店。

進取の精神に富んだ淑康はそれまで菊形だったチンスコウを

もっと食べやすいものにと当時流行り出したレンガ窯で

今の細長いフィンガー形に焼いたと言われています。

その淑康の血筋を引く三つのお店のひとつで、

首里に一店舗しかないのが「新垣カミ菓子店」なのです。

「チンスコウも色々あるけれど、ウチは昔からカミさんとこ」

「私はやっぱり、カミのお菓子が好き」

「おばあちゃんの時代からカミさんとこしか買わない」などなど

以前から沖縄の知人たちがこぞってリコメンドする「カミ」さん、

全国甘党北海道支部代表(いつから?笑)を自認する私としては

気になって気になってしかたのない存在でありました。

雨の午後、いざ「新垣カミ菓子店」へ。

どうやら製造数も限られているらしく、訪ねる前は要確認が無難と聞き、

電話をしてみると、「はいはい、そうすぐそこですから」。

気の良さそうなおばさんが出てくれた。ほっ。

先ほどの金細工の工房からそう遠くない首里赤平町の住宅街のなか、

ようやくそれらしいお店を発見、しかし、店舗のシャッターは閉まったまま。

看板がかけられていた形跡はあるけれど、開店中には見えない。

「あのぉ~、今、お店の前にいるんですけど、シャッターが・・・」と

電話で不安を訴える私のもうひとつの耳に

「あー、こっちですよぉー!」、さっきのおばさんのリアルボイスが聞える。

ん?んんん?

シャッターが閉まった店舗と棟続きの奥まった建物の入り口で

「こっちこっち」と雨の中、扉を開けたまま、おばさんが手を振っています。

近寄れば、年季の入った「伝統二百年 新垣カミ菓子店」の木の看板が。

な~るほど、こちらの製造工場しか開けていないのね~。

「はいはい、雨の中、ありがとうね~、入って入って」。

中には袋詰め真っ最中の出来たてチンスコウが山盛りに。

「これね、黒糖チンスコウ、固めに作ってって言われたから

かなり固めだけど、はいはい、食べてみて食べてみて」。

どうやらお店のおかみさんらしきおばさんは、

商いそっちのけで、どんどこどんどこ試食を勧めてくれます。

「これ、首里の(某航空会社系の)ホテルに頼まれて作ってるんだけど、

固いのがいいらしくてね~、ちょっと固いんだけどね~」。

確かにがりりっっと通常のチンスコウよりは歯ごたえがありますが、

ふわりと黒糖の香りが鼻に抜けて、美味しい。

何と言っても、混ぜ物なしの純粋な味が舌に優しい。

「そうなの、黒糖と小麦粉とラードだけだからね、まじりっけなし」。

私の心を読み取るかのようなおかみさんのコメントに驚く。

ただものではないぞ、「カミ」さんとこのお菓子。

「はいはい、こっちはね、花ボール、これも食べてみて」。

沖縄名物「おばぁのカメーカメー(食べろ食べろ)攻撃」の試食ヴァージョン、

こりゃあ、嬉しい午後になりそうだ。

首里でしか買えない「カミ」さんとこのお菓子の歴史は

また明日へと続きます。

ほ~、ここらで一服。さんぴん茶でも飲んで、

さあ、深まる秋、ちょっと遠出のお仕事にいってきま~す。

(写真は)

えっと~、お菓子屋さんというよりは

思いきりお菓子工場的外観の

「伝統二百年 新垣カミ菓子店」前にて。

二百年って書ききっちゃって、この先どうするんだろ?

ま、ざっくり歴史あるってことがわかればいいか(笑)。

大らかな木の看板がいい感じ。