まごころてんぷら

朝日を待つ季節になりました。

超朝型の私、夏の間は日の出ともにタイミング良く目覚めたものですが、

日一日と秋が深まり、刻一刻と日の出時刻も遅くなり、

お日さまよりも早く目覚めて、夜明けの空を眺めながら、

朝日のお出ましを待つ今日この頃。

しかし、春だけじゃないですね、清少納言さん。

薄くたなびく秋の鱗雲の向こうからゆったりと昇るご来光の美しさといったら。

オレンジとピンクとパープルが溶けあった秋ならではの朝日の色は格別。

まさに、秋も曙、であります。

日に日に秋の色を濃くしていく北の空を眺めつつ、

心はまだ南国のちいさな秋に残してきてしまったようで(笑)。

初秋の沖縄旅リポート、4日目は南部へドライブ、美しい海に感動した後は、

ここまで走ってきて、寄らずにいられましょうか、

熱々サクサク♪の沖縄てんぷらの名店めざして、地続きの楽園小島、奥武島へ。

ランチはお店の前で出来たててんぷらを頬張る島んちゅスタイルに決定。

沖縄本島南部、南城市にある奥武島は

周囲1.7km、島人の多くが海人(うみんちゅ)という小さな島です。

今から400年前に琉球王府・玉城按司(たまぐすくあじ)の子孫が開拓、

1935年(昭和10年)に本島とつなぐ橋がかけられましたが、

台風で何度も崩落、

ようやく頑丈な橋ができたのは1956年(昭和28年)のこと。

その島の玄関口である奥武橋を渡ってすぐ目の前にあるのが

「中本鮮魚てんぷら店」であります。

色鮮やかな沖縄の魚と「てんぷら」と描かれた大きな看板の下、

きょうもたくさんのお客さんがお店の前に並んでいます。

テーブルと丸イスが並んだ簡素なイートインスペース(?)を挟んで

向かって左側がてんぷら、右側は鮮魚コーナーで

目の前の港にあがった新鮮ないまいゆのお刺身が売られています。

そう、ここのてんぷらが絶品なのは、店名の通り、鮮魚店だから。

そもそもは看板通り、お刺身などを売る一般的な鮮魚店でしたが、

12,3年ほど前、売れ残りの刺身がもったいないので、てんぷらにしたところ、

島の人に大層喜ばれ、そのうち、県内中からわざわざ買いに来る人が増え、

今では「奥武島=てんぷら」、

島の代名詞にもなる大ヒット島んちゅグルメになったのでした。

沖縄の知人に「あそこのもずくてんぷら、絶対食べてみて~」と薦められ。

去年の沖縄旅で初めて体験、その味に感激、

今日の南部ドライブの目的のひとつは、実はこのてんぷらでもありました。

一度食べたら、虜になる魔性のてんぷら(笑)。

車を止めて、さあ、左側の小さなカウンターへ並びます。

「はい、何にします?」、

さくさく注文を受ける白い上っ張りを着たおばちゃんに

「えっと~、さかな2個、いか2個、もずく1個に紅芋2個、下さい」。

さっさと迷わず注文。沖縄ファーストフードのてんぷら、

フランス料理のフルコースじゃないんだから、注文も素早く、地元風に。

たった2度目なんだけど、勝手に常連気分で盛り上がる(笑)。

揚げたてのてんぷらが種類ごとに小さな紙袋に手際よく入れられ、

「はい、どうぞ」。ずっしり買っても400円ちょっと。

だって、一個65円、何て嬉しい庶民価格でしょうか。

これだけ有名になったら、ちょっとは値上げしたくなる下心も芽生えるだろうに、

変わらない値段、変わらないボリューム感に食べる前から感動。

さ、お隣の鮮魚コーナーでノンアルオリオンを仕入れて、

真ん中のシンプル・イズ・ザ・ベストなテープルに座りましょう。

おっと~、デコラのテーブルの下で1年前と同じ白猫が気だるげにお昼寝。

オプション(笑)の島猫まで変わらない。

まずはあっつあつの「さかな」のてんぷらから。

はふっ、さくっ、ふわっ、とろりん、じゅわ~♪

うっまぁ~い!!

本日の「さかな」はマグロであります。

その日にあがったお刺身で食べる新鮮な魚がてんぷらに。

ふつう、沖縄のてんぷらはフリッターのように衣が厚いのですが、

ここのは素材の良さを活かす適度な厚みで、しかも火の通り加減が絶妙。

揚げてからお客さんの口に入るまでの時間まで計算したかのような

見事で完璧なミディアムレア。

お刺身とはまた違う「さかな」の醍醐味が味わえます。

沖縄のてんぷらは衣に塩味がついているので、天つゆも何もいりません。

手づかみでぱくぱく、おやつ感覚でいくつでも食べられる。

だから、怖い(笑)。

今回も・・・食べ過ぎちゃった~。

ぺろりと完食。あー、ごちそうさまでした。

所要時間10分の超時短の島ランチ。

さてと旬のてんぷらでお腹いっぱいになったら、

小さな島を一周してみましょうか。

右から回っても、左から回っても車で5分、歩いても回れる奥武島。

その昔、嵐で遭難した唐の船が島に漂着、上陸することをためらっていた彼らに

島の人は着物を貸し、食事を支度し、焚き火をして体を温めてあげたといいます。

無事に国に帰った唐の人々から琉球王府にお礼にと金の観音像が贈られたとか。

戦争で観音像は失われましたが、

今でも代わりの観音様が集落の観音堂にまつられているそうです。

島と海と仲間は宝。

強いきずなで結ばれた小さな島は

何事も何人もおおらかに受け入れる大きな真心を持っていました。

てんぷら食べて帰るだけはもったいない魅力に満ちています。

そうだ、今度来た時は、

てんぷら店の裏のすーじぐわー(路地)あたりから散策してみよう。

早くも三度目の旅の目的ができちゃいました。

本島南部、地続きのうみんちゅの離島、奥武島の中本鮮魚てんぷら店。

私、立派な、常連?です。

(写真は)

てんぷらの写真は以前にアップしたので、

今回はお店の外観。

写真より、実際はずっとこじんまり。

そうそう、てんぷら食べる順番、

紅芋、ターンム(田芋)などはデザート感覚で、

最後に召し上がるのがおすすめ。

まずはミディアムレアの「さかな」からどうぞ。

ひとつ65円の三ツ星グルメです。