ぬくもり饅頭
燃える秋。
我が家の前の桜並木が真っ赤に色づいています。
秋の桜の葉っぱってこんなに美しかったんだ・・・。
春の桜色ばかりに心を奪われていたけれど、
この桜並木を見つめて気がつけば20年、
いくつもの春夏秋冬を過ごしてきて、近頃しみじみと気づく。
春爛漫の時季のように見上げる人も振り返る人もほとんどいないけれど、
静かに秋を迎える桜並木のひそやかな美しさにはっとする。
それぞれの季節の味わいがある。
人生も同じかな。
秋色の季節、美しく生きていきたいものです。
秋雨煙る城下町散歩を続けましょう。
初秋の沖縄旅6日目の午後はしっとり雨模様の首里をそぞろ歩き。
はんなり古都の味を伝える「富久屋」でお昼ごはんをいただいた後は
さあ、食後の甘いもんです。
野宮的スイーツセンサーにスイッチオン!
琉球王国の都だった首里には美味しいお菓子がたくさんありますが、
今回はまだ食べたことのない、あの名物まんじゅうを。
「山城(やまぐすく)まんじゅう」です。
首里城の龍譚池のそばにあるこのお饅頭屋さん、
作っているのは「山城まんじゅう」だけという潔さ。
創業130年、140年ともいわれる(アバウトなのがまたよろし)老舗ですが、
道路拡張工事などで3年ほど一時休業していたのですが、
復活の声多く、6年前に再オープン、伝統の味が蘇りました。
「え~っと・・・この辺のはずだけど・・・、あ、あったあった!」。
ビルの一階の食事処の横に「山城まんじゅう」の看板が。
しかし、それらしいお店はない・・・うん?この吹き抜けの奥・・・?
ありました、ありました。小さな可愛いお饅頭屋さんが。
「ごめんくださ~い」。
引き戸を開けると手前に小さなテーブルと簡単な椅子、
小さなカウンターの向こう側が作業場のようです。
「はい、いらっしゃい」。
白い帽子に上っ張りを着たご主人らしきおじさんが迎えてくれました。
わざわざ出てきてもらって申し訳ないな~と恐縮しつつ、
「あの、お饅頭、一個だけいただけますか?」
「はいはい、もちろん、すぐ食べてね~、アチコーコーだから」。
出た!必殺、アチコーコー(笑)
「熱々」を意味する沖縄のおいしい言葉「アチコーコー」。
熱々できたてを「はいよっ」って手渡ししてくれる真心が美味しいんだ。
儀保の「のーまんじゅう」と並ぶ首里の名物饅頭である「山城まんじゅう」。
はじめてお目にかかります。
「はい、早く食べてね、固くなるからね」。
小麦粉で練った皮で小豆餡を包み蒸し上げたお饅頭を月桃の葉で包み、
小さなビニール袋でくるみ、さらに白い紙袋に入れて手渡してくれました。
手から手へ。
じんわりと伝わるその温もりが秋雨に濡れた旅人の心を和ませてくれます。
あ・・・雨が強くなってきました。
ビルの吹き抜けを駆け抜けて車に戻り、そ~っと包みを開きます。
ふわ~っと立ちのぼる月桃(サンニン)のスパイシーな香り。
その中からところどころ餡が透けて見えるお饅頭が。
表面でこぼこの素朴な顔がたまらない。
100年以上も首里の人々に愛されてきた普段着のおやつ。
いただきま~す。はふっ・・・。
ほのかな月桃の香りと素朴なメリケン粉の皮と手作り小豆餡の三重奏。
「うまいよぉ、おばぁ」。
作っていたのはおじさんだったけど(笑)
思わずそう呟きたくなる懐かしい美味しさ。
首里さんぽと洒落こむなら、
おやつにはぜひアチコーコーの「山城まんじゅう」を。
温もりあふれる素朴なお饅頭を一口頬張れば、
美しいこの城下町が、故郷のように思えてきます。
誰をも懐かしい気持ちにさせてくれるハートフル饅頭。
一個120円の首里のソウルおやつです。
(写真は)
でこぼこのお顔が何とも親しみやすい
首里名物「山城まんじゅう」。
田舎のおばあちゃんがこさえてくれた感満載でしょ?
日持ちはしません。
すぐ固くなります。
アチコーコーが命です。
だから首里まで食べに来て下さい。



