がじまる食堂
また、会えたね。
心が揺さぶられたあの木に再会できました。
沖縄本島北部、名護のシンボルツリー「ひんぷんガジュマル」に、
再びスクリーンの中で会うことができました。
映画「がじまる食堂の恋」。
先月20日から全国ロードショー公開されているこの映画は全編沖縄ロケ、
4人の男女の切ない恋愛模様を描く大人の恋物語ですが、
昨日、札幌のシネコンで観てきました。
映画の舞台となったのが名護市。
真っ青な海、南国の野鳥がさえずり、色鮮やかな花々が咲き乱れる森、
1月に咲き誇る緋寒桜、人情味あふれる商店街などが画面いっぱいに溢れ、
つい先月訪れたばかりの私は「懐かし~い」気持ちでいっぱいになりました。
そして・・・「ひんぷんガジュマル」。
樹齢320年の巨木は物語の中でも大きな役割を果たしていました。
高さ19m直径30mの助演男優(女優?)賞ものの名演技であります。
波瑠演じる主人公みずほがガジュマルの枝に手を当てて、
「今、幸せにしたい人は、誰ですか?」と自分の心と対話する場面。
恋に傷つき、大事な祖母を亡くし、一人食堂を切り盛りするみずほですが、
320年生きてきた古木にだけは素直になれる。
「わかる、わかるよぉ~」。
女性なら誰しも共感できる印象的なシーンです。
大きなガジュマルの前には真っ赤なベンチとみずほの真っ赤な自転車。
ん?真っ赤なベンチなんて、あったっけ?
そーだ、そーだ、これは映画だ、演出的小道具だよね。
んん?ん?ひんぷんガジュマルのまわりってこんな風景だっけ?
しっかり車が通る道路に挟まれた三角地帯だったはず。
こんな赤瓦のお家とか、奥に見える共同売店っぽいお店とかあったっけ?
別のガジュマルなのかな~。他にもこんな立派な木、あるのかな~。
う~ん、堂々たる樹勢はひんぷんガジュマルなんだけどな~。
いやいや、そーだった、そーだった、これはドキュメンタリーじゃなくて映画、
余計な突っ込みはやめて、シネマの世界に浸りましょう。
映画、良かった。
沖縄の風と緑が揺れ動く大人の恋心を優しく包みこみ、
「あなたにとって大切なもの」をそっと教えてくれるのでした。
全編にゆるやかに流れるここちよい時間感覚は
都会のロケでは絶対得られないものだと大谷健太郎監督が語っています。
多くの女性に観てほしい、観るときっとみずほの気持ちに共感するだろうし、
沖縄を好きになると思う、とも。
そうなんですよね~。
映画を観ているうちに、私もヒロインに感情移入、
東京から来た謎のイケメン旅人、隼人と、
ちょっとナイーブな元カレ、翔太の間で
図々しくも「やだ~、どっちか決められない~」なんて
勝手に揺れ動いたりして(笑)。
みずほの言いたいことの半分しか言えない言葉の少なさやゆっくりした間が、
名護のゆるやかな空気と何ともしっくりとなじんでいて、
本当に名護で暮らし、恋をした気持ちになりました。
おばぁと過ごした赤瓦の家で一人暮らしをしているみずほが
朝、赤い自転車に乗って、おばぁから受け継いだ「がじまる食堂」へ向かう。
爽やかな風を感じながら、美しい緑のフクギ並木を抜ける。
おおお、ここは本部の備瀬地区のフクギ並木ね、行った行った、キレイだった。
で、次の場面、さくっと名護の街なかの食堂に到着。
え?無理だから。備瀬から名護市内は本部半島横断しなきゃならないから。
赤いチャリでは無理でしょー、なんて突っ込みはしないしない(笑)
食堂のメニューの「ナーベラーチャンプルー」、
ナーベラー(へちま)って、チャンプルーにもするんだぁ、
味噌で炒めたンプシーかイリチーの方が美味しいと思うけどな~、
なんて突っ込みもしない(笑)素直に映画の世界に浸りましょう。
このヤラしい(笑)突っ込みの感覚は
道産子の自分が北海道ロケの映画やドラマで
北海道弁のセリフを聞いたりして、つい突っ込みたくなるそれに似ている。
嘘じゃないけど、ちょっとだけ違う、本当はこうなのさ~、みたいな。
それは多分、自分でも普段は意識していない地元愛なんだろう。
全国デビューの嬉しさと、
ちょっとだけ違うフィクションへの無用な(笑)突っ込み。
それだけ、沖縄のこと、好きなんだな~、私。
映画「がじまる食堂の恋」。
心の恋人、沖縄への愛を再確認させてくれた98分。
私も誰かを待ちながらカジュマルのそばで食堂を営みたい。
そんな夢想(妄想)をふくらませながら
札幌のシネコンを後にした秋の午後でありました。
(写真は)
名護の玄関口、
許田インターにある道の駅で遭遇したおやつ。
「おっぱ牛乳」のソフトクリーム。
おっぱ、ですよ、おっぱい、ではありません。
本部半島にある乙羽岳(おとはだけ)、
通称おっぱ岳山麓にある牧場の美味しい牛乳が原料。
ちなみ「恋島(くいじま)/乙羽岳森林公園展望台」は
沖縄で初めて『恋人の聖地』に選定されました。
やんばるは、恋の聖地?

