7センチの幸せ

器と島ごはんの後には、

7センチの幸せが待っていました。

9月の沖縄でちいさな秋を探す旅リポート。

サトウキビ畑の向こうに水平線が見渡せる本島中部の読谷村で

時を忘れて窯元めぐり、沖縄の陶器「やちむん」の魅力にたっぷり触れ

自然に恵まれた島ごはんを満喫した後は、

本島中部のもうひとつの注目スポット「港川エリア」で

至福のお茶時間を過ごしましょう。

読谷村の土と火の圧倒的なパワーとはまた違う魅力があふれる、

女子旅支持率200%のキュートなエリア。

いくら時間があっても足りないくらいの「カワイイ」がいっぱいらしいの♪

迷わずGO♪

レンタカーのナビにお目当てのお店の電話番号を入力。

いざ、浦添市港川の通称「港川カフェストリート」へ。

読谷村の山間の道を下り、国道58号線を那覇方面へ走ります。

浦添市に入りほどなく国道を左折、市街地をナビに従い進んでいくと・・・

え?ここは何?

忽然とカワイイ街並みが出現しました。

「60年代のアメリカ郊外の町にワープしちゃった?」

白い壁に緑の屋根、庭つきの一戸建てのアメリカンハウスが

何本もある小さなストリートにお行儀よく並んでいます。

今にも「奥さまは魔女」のサマンサがあの青いドアから出てきそう。

まるであの頃のアメリカのテレビドラマのセットみたい。

ここが「港川カフェストリート」。

かつてはアメリカ軍基地内の居住区だった場所で

当時のままの一戸建てのミリタリーハウス、いわゆる外人住宅が残されていて、

お洒落なカフェやレストラン、セレクトショップの店舗として利用され、

地元でも人気のスポットとなっているのです。

ツーバイフォーのシンプルなコンクリート作りの建物は

古い木枠もそのまま、味のあるレトロな外観が魅力ですが、中の改装は自由、

それぞれのお店のリフォームのアイデアや個性を見比べる楽しみも。

ただ・・・小さなストリートが何本も平行に走っていて、

そこに可愛いマッチ箱みたいに整然と並ぶ外人住宅の中から

お目当てのお店を見つけるのがちょっと大変。

ストリートの角にはこれまたキュートな標識があって、

どうやら「INDIANA」とか「GEORGIA」などアメリカの州の名前が

それぞれの通りにつけられているようなのですが、

ナビにそこまで案内できるわけもなく(笑)、

ノロノロトロトロ・・・「サマンサの街」の小道を車を転がしていたら・・・、

あった、あった、ありました、

ここです、ここ、7センチの幸せが食べられるお店。

絶品タルトの名店「オハコルテ」です。

真っ白く清潔に塗られた木の壁にブルーの木の扉。

緑あふれる庭には白いコテージのようなイートインスペースまで。

「女の子の夢をカタチにしたら、こうなりました」的なパーフェクトな可愛さ。

ドアを開ける時には完全に乙女になっていた私です。

お店の中に入った瞬間、お菓子が焼けるあの魅惑的な香りにノックアウト。

バターや小麦粉やお砂糖やクリームが醸し出す幸福な匂い。

壁面にはセンスあふれる雑貨がディスプレイされ、

正面のカウンターの向こうがキッチンのようです。

幸せの匂いの発信源。

「いらっしゃいませ。店内でお召し上がりですか?

申し訳ありません・・・今日のタルトは、

もうメロンタルトだけになってしまいましたが、よろしいですか?」

笑顔で恐縮する女性スタッフに

「いいんです、いいんです、タルトが食べられたらいいんです」、

前のめりに、運よくまた残っていたメロンタルトと、

タルト生地にフルーツクリームをサンドしたタルトサンドを注文。

さすが沖縄スイーツ界の可愛いエース、「オハコルテ」、

午後3時にして既にタルトは売り切れ目前でありました。セーフ!

フルーツがたくさんある沖縄で本当においしいタルトを作りたかった。

そんなシンプルでスイートな思いで作られた「オハコルテ」のフルーツタルトは

直径7センチほどのちょうどよい小ぶりサイズ。

その7センチに果物やクリームのバランス、

生地のサクサク感を追求し続けたおいしさの結晶が詰まっているのです。

フルーツタルトは胡麻化しがきかない難易度の高いお菓子。

果物に負けず劣らずのクリームは材料もレシピも適当には作れないし、

作り置きの湿ったフルーツタルトほど悲しいものはない。

何度か作って懲りたので、よ~くわかる(笑)。

真の絶品フルーツタルトにはそう簡単に遭遇できない、とずっと思っていた。

が、初秋の沖縄で、出会ってしまった。

しとっ、ふわっ、とろり、サクッ・・・。

直径7センチのメロンタルトに小さなフォークをそ~っと入れた瞬間、直感した。

これこそが、真のフルーツタルトである。

私の長い(笑)スイーツ歴において王冠クラスのおいしさ。

生地のサクッと感は残しながらどこにも角のない、まるいまるい優しい味わい。

果物とバターと卵とクリームと小麦粉の完璧な融合。

虜になりますね~。魔法にかけられますね~。

オハコルテ。

魔法タルトをさらにおいしく感じさせてくれるのが

センス良くリメイクされた外人住宅のお洒落な空間。

木枠の窓越しに見える緑の庭の風景、

使いこまれた飴色の重厚な木のドアに真鍮のドアノブ。

沖縄独特のアメリカンカルチャーを

ハイセンスな価値観で自由にリノベーションする様々な現代の個性。

そのひとつが港川の外人住宅の一軒で絶品タルトと共に味わえます。

人気店「オハコルテ」は那覇の県庁前などにもお店がありますが、

ロケーションならこの港川本店はドライブしてくる価値あり、です。

ただし、しつこいようですが、人気店、

お目当てのタルトは早々のソールドアウト必至、

お早目のご来店を。

カワイイ外人住宅の街並みに迷い込み、

「サマンサの街」でちょっと迷子になるのも、また楽し、です。

(写真は)

カワイ過ぎる「オハコルテ」本店。

気分は、20代女子(笑)。

乙女の魔法にかけられちゃうキュートな外観。

デートには最強スポット♪