宝探しの海

緑濃い亜熱帯の木々に覆われた白い小道の先、

誰にも教えたくない秘密の穴場ビーチがありました。

真っ白い砂浜からサンゴ礁の浅瀬が続き、

ブルー&ブルーの美しいグラデーションがどこまでも広がっている。

地球の宝を一人占めしたような気分。

那覇からほんの50分で行けるとっておきのロマンチック・ビーチ、

「百名ビーチ」です。

9月の沖縄でちいさな秋をさがす旅リポート。

最高のお天気に恵まれた4日目は

本島南部の美しい海を目指して美ら海ドライブ。

南城市玉城百名にある隠れ家ビーチを目指して車を走らせますが、

めざす海岸へと下りていく道が見つからない。

ん?こちらも南部の名物ビーチ「新原(みーばる)ビーチ」の看板を発見。

ここは年中カクレクマノミ(ニモ、ですね)などが

グラスボートから観賞できる美しい天然ビーチで、駐車場やシャワーもあり、

浜で暮らすおばぁたちがのんびり店番をしていました。

「車、止める~?」

一人のおばぁが「わ」ナンバーのレンタカーに声をかけてきます。

う~、申し訳ないな~と思いながらも

「いえいえ、あのぉ~、百名ビーチに行きたいんですけど、

入る道がわからなくて・・・」と正直に申告すると、

むっとするどころか、

「あー、百名ビーチなら、その間の小道をまっすぐ行けばいいさぁ」と

のんびり笑顔で道を教えてくれるのでした。

しかも「駐車場はないけど、つきあたり奥に路駐できるからねー」と裏情報まで。

確かこの新原ビーチと百名ビーチは海岸でつながっているはず。

商魂たくましい店番なら

「向こうは車止められないよ」と引き留める場面でしょう。

何ておおらか、愛すべきテーゲー・スピリット。

「ありがとうございました~」。

終始のんびり笑顔で見送ってくれるおばぁにお礼を行って、

小さな海を家を通り過ぎ、教えられた小道を慎重に進んでいきます。

車がすれ違うのもやっとの小道は緑の茂みにはばまれ、ほどなく行き止まり。

周りには家も人も車もなし。

ただ1台だけ路肩に寄せて駐車している車がありました。

これがさっきのおばぁが教えてくれた「つきあたり奥の路駐」、なわけね。

海を眺める一瞬だけ、留めさせてもらいましょう。

緑の茂みの右側に更に小さな小さな白い砂の小道が伸びています。

どうやらこれが海岸へとつながっているようです。

両側には亜熱帯の木々が自由きままにおい茂っていて、

手つかずのありのままの濃い緑の向こうに・・・青と白の空間が。

秘密の小道を通り抜けると・・・

うわぁ~~~!何と美しい・・・!。

目が痛くなるほどに真っ白い砂浜。

浅瀬までのコバルトブルーとその向こうのブルーと

美しすぎるオキナワン・ブルーのグラデーションに言葉を失いました。

ここが百名ビーチ。

ほとんど手の入っていないビーチにはシャワーも海の家もなく

白い砂浜と青いサンゴ礁の海と綺麗な貝と静かな波音だけがありました。

あるがままの、海。

秋の初めの百名ビーチにはほとんど人影もなく、

遠くの方でよく日焼けしたお兄さんが愛犬と波打ち際で戯れ、

緑の木陰で小さな子連れの若いサーファーファミリーがお昼寝中なだけ。

真っ白い砂浜に目を落とせば、

宝石のように美しい色々な形のサンゴや貝がごろごろしています。

遠い海の向こうから旅してきた無言の旅人たちをそっと拾う。

地球の記憶の宝探し。

ビーチコーミングにも最高のビーチです。

詩心があれば恋の詩のひとつも

音感があればラブソングのひとつも

絵心があれば美しいスケッチの一枚も

またたくまに生まれそうなロマンチック・ビーチ。

一人で来るのは、もったいない(笑)。

お気に入りのパン屋さんのバゲットに美味しいハムとチーズ、

あとは冷たいアイスティーやレモネードなどをバスケットに詰めて、

こんな海岸で一日デート、なんて、最高であります。

または、読みたかった本一冊だけを相棒のロンリードライブも、悪くない。

この百名ビーチではあらかじめ予約が必要ですが、

小さな与那国馬に乗って海岸線を散歩する「ビーチ・ライド」も楽しめるそう。

ありのままのビーチ、波打ち際をお馬さんに乗ってお散歩なんて素敵過ぎる。

次のデートのために(笑)とっておこう。

ロマンチックで詩情たっぷりの南部のビーチは

一方で近隣に暮らす人々の生活の場であります。

新原ビーチにいたおばぁたちなどが潮干狩りにやってくる日常の海。

海と生きる人々が大切に守り続ける美ら海なのです。

また忘れてはいけないことに、この「百名ビーチ」は

地元の人々からは聖域の浜として崇められている場所でもあります。

琉球の創始神とされるアマミキヨが久高島から本島に渡って

最初に上陸したのがこの百名の浜とされているのです。

この時には確認できませんでしたが、

浜の真ん中には石碑「ヤハラヅカサ」があり、満潮時には海の中、

干潮になるとその全容をあらわすそうです。

そんな神聖な浜だから、遊泳ビーチにあるような施設もなく、

自然のまま、大切に、あるがまま残されているのでしょう。

神と人が出会う伝説の浜辺。

だから、

ポケットに入る分だけの小さなサンゴと桜色の貝をそっといただいて

よけいなゴミやよけいなオイルなど落とすことなく、

白い砂浜に足跡だけを残して、さあ、おいとましましょう。

秘密の緑の小道の向こう新原ビーチに隠れるようにある穴場ビーチ。

百名ビーチはとっておきの場所になりました。

今度はバゲットサンドを持って、誰と来ましょうか。

うふふ♪

(写真は)

白い日傘がよく似合う海。

百名ビーチのサンゴと貝は

地球の宝で

神様からの贈り物。

大切なお守りにします。