てぃーあんだランチ
てぃーあんだ。
私の大好きな沖縄の言葉です。
「手の油」という意味で、心をこめて手抜きをせずに料理を作ることを表します。
思いやり、優しさにあふれたお母さんの手の温もりが伝わるようで。
慈愛にあふれた語感が何とも素敵。
初秋の沖縄でちいさな秋をさがす旅、
本島中部の中城村、緑豊かな山間の陶房「火風水」を別れを告げ、
満ち足りた心とちょうどよくすいたお腹をかかえて、
「てぃーあんだ」なお昼ごはんを頂くことにしましょう。
お店の名前はその名も「島やさい食堂 てぃーあんだ」。
奥平清正さんの陶房「火風水」のある中城村から
車は沖縄陶芸の聖地「やちむんの里」がある読谷村へ。
およそ50の窯元が集まるこの村は全国に知られる陶芸の村。
15世紀初めに海外から蒸留酒を入れる南蛮窯とともに
荒焼(あらやち)と呼ばれる釉薬をかけない技術が伝わったことから、
沖縄の焼き物「やちむん」の歴史は始まります。
その後、琉球王府が各地に点在していた窯場を壷屋に統合し、壷屋焼が誕生。
数多くの名工を輩出しますが、戦後、沖縄の復興とともに都市化が進行、
那覇の街中で窯場の煙を上げることが難しくなり、
本土復帰した1972年以降、陶芸家たちがこの読谷村に次々と窯場を移し、
今では焼き物ファンにとっての憧れの場所、聖地となっているのです。
「やちむんの里」だけでも現在14の窯元が立ち並び、
毎回通うお気に入りの窯元もあれば、気になる窯元もいっぱい。
読谷村巡りにはたっぷりと時間をとらねばなりません。
まずは腹ごしらえ。で、これまた以前から気になっていた
「島やさい食堂 てぃーあんだ」でお昼ごはんを頂くことに決めました。
場所はやちむんの里から山道を下った海沿い、読谷村の小さな漁港のすぐ近く。
そうだ、思い出した。以前ブログでもご紹介した、天使のパンケーキのお店、
「ヤッケ・ブース」のすぐそばではありませんか。
外人住宅を改装したお店にパン・ケーキ食べに行く途中、
「てぃーあんだ」の小さな看板見かけたような・・・記憶があります。
しかし、ナビは「目的地周辺です、案内を終わります」と
勝手に終了宣言するものの、海沿いの狭いスージグワ、食堂が見当たらない。
お店にSOSの電話をすると、目の前の普通の住宅の2軒先らしい。
あまりに道が狭すぎて、またしても沖縄的灯台元暗し、なのでありました。
猫の額のような駐車場にレンタカーを止めて、
目指す建物へたどりつくと、まさに猫がお出迎え(笑)。
家主のような白い猫が
「島やさい食堂 てぃーあんだ」と書かれた木の看板の横でのんびりお昼寝。
「こんにちわ~」と至近距離で声をかけても微動だにしません。
沖縄の島猫は肝が据わっている。
民家を利用した一軒家食堂「てぃーあんだ」は
思わず「ただいま~」と入っていきたくなる安らぎに満ちています。
玄関を通り抜けた居間、お座敷、庭に面した縁側にも席があって、
どこに座っても家に帰ってきたようなの~んびり感で食事ができそう。
厨房やホールで働いているのはほとんど女性。
店名通り、お母さんたちが丁寧に手間と愛情をかけ、
心をこめて作る沖縄料理が大評判の読谷村の名店であります。
ちょうどお昼どきでお店はほぼ満席でしたが、
運良く、三線が飾られている奥のお座敷の席に座ることができました。
小さな子供を連れた家族連れや女子旅二人連れ、
お隣はアジアから訪れたらしい親子二世代のご一行様、
鼻をくすぐるかつおぶしのだしの香りに賑やかなお喋りがミックスされて、
お祭りで親戚が集まってきた田舎のわが家のような雰囲気。
なんだか、ほっとするなぁ~。
さっそくこの日の日替わり定食から島野菜のランチを注文。
ほどなく運ばれたお膳の美味しそうなこと。
素朴な木のお膳には食材から食器まで地元産にこだわったお料理が。
島人参や紅芋、ういきょうなど新鮮な旬の島野菜のてんぷらに
クーブイリチー(昆布の炒り煮)、二ガナの白和え、デークニー(大根)の煮物、
もずくに紅芋のディンガク、玄米ごはんとアーサーのお汁などなど。
どれも丁寧に丁寧にお料理され、上品で滋味深いお味が沁みていて、
一口頬張るたびに体と心がずんずん元気になるようです。
玄米や野菜は読谷村の地元の農家さんから、
お肉は県産豚肉、魚は目の前の漁港から、
毎朝、手間をかけて引くかつおぶしのだしがこの優しい味の秘密。
そして真心こもったお料理を
さらに引きたててくれるのが「やちむん」の器たちです。
お膳の上の器はそれぞれ個性を放ちながらも見事なハーモニーを奏でています。
寸分たがわず大量生産される規格品の食器にはない味わい。
陶工たちの手が生み出すからこそ、ひとつとして同じものはないのです。
これもまた「てぃーあんだ」のカタチ。
温もりのあるやちむんの器に盛られた
デザートの沖縄ぜんざいも完食。
さんぴん茶のおかわりもいただいたし、満足満足満腹満腹。
さあ、居心地の島やさい食堂を後に山道を上ることにしましょう。
読谷村の暮らしの中に息づく「やちむん」を探しに
陶工たちの理想の共同体が実現した里を訪ねます。
どんな出会いが待っているでしょうか。
(写真は)
お母さんたちの手間と真心がつまった
「てぃーあんだ」のお昼ごはん。
注文をとるおねえさんが
「玄米ご飯の量は、多め、ふつう、少なめ、どうしますか?」と聞いてくれる。
お腹のすき具合まで気にしてくれるなんて
ほんとにお家に帰ったようで、嬉しくなる。
「少なめ」をお願いした「島やさい食堂 てぃーあんだ」の昼定食。
ご飯はちっちゃなマカイ(お茶碗)にちょうどいい具合によそられて。
わ~ん、何だか泣きたくなってくるよ~。
お母さん、ごちそうさまでした。
「手の油」は最高の調味料、です。

