美しい時

「1分しかないのか!」

アメリカのクリンスマン監督が一本指を突き立てて審判に猛抗議する。

ワールドカップ決勝トーナメント、ベルギー対アメリカ戦、

2対1で迎えた延長後半、示されたアディショナルタイムは1分、

1点を追うアメリカにとっての1分と逃げ切りたいベルギーにとっての1分。

短すぎる1分と、永遠にも感じる1分と。

1分しかないのか、1分もあるのか。

時計は冷静に時を刻み、ベルギーは勝者にアメリカは敗者になった。

両チームどちらも素晴らしいファイターだった。

サッカーは時の神様も深く関与するスポーツですが、

ブラジル大会で使用されている時計表示ボードのデザインは

とてもお洒落で印象的な意匠であります。

高級腕時計をかたどったサインボードに示されるその数字が

時には試合の形勢を左右することもあります。

残り時間が1分しかないのか、1分もあるのか。

時計はシチュエーションによって見え方も全然違ってくるもの。

アナウンサーにとって時計は必需品、まあ商売道具です。

手元のストップウォッチ、スタジオの時計、モニター画面の時計。

番組のタイムキープ、つまり時間をコントロールするのが重要な役目ですから

時計は言ってみれば戦友みたいな存在であります。

その戦友も時代の変化ととも姿を大きく変えてきました。

今はほとんどの時計がデジタル表示ですが、

新人アナの頃はアナログ時計が主流。

残り時間が何秒あるかなど瞬時に読み取らなくては仕事になりません。

「時計を読むんじゃなくて、針の角度で時間を感じなさい」。

先輩にこう教えられたものです。

秒単位で進む番組、針が示す数字を読みとっていては間に合いません。

時計の針が示す角度によって「残り15秒」とか「残り5秒」を体感、

瞬間的に図形的に時間を認識するわけです。

しか~しチクタク動くアナログ時代は「角度」で時間を読めましたが、

デジタル時計にその針はない。

ストップウォッチもデジタルに移行しましたが、

習うより慣れろ、いささかの不安を感じたのもつかのま、

いつの間にかアナウンサーの体内時計もデジタル移行していました。

スタジオのモニター横などには今でもアナログ時計がありますが、

時間を針の角度で読むなんて、

そんな時代もあったよね的な昔話となりました。

でも、美しい角度というのがあるのですね。

「10時9分33秒」

シンプルなデザインで人気の「無印良品」の店内にディスプレイされている時計は

すべてこの「10時9分33秒」に統一されているそうです。

先日の「がっちりマンデー」が紹介していました。

「ムジグラム」なる全店共通のマニュアルによって

この時刻に決められている理由は

「時計の針のバランスが最も美しい角度だから」だとか。

確かに。手元のアナログ時計を「10時9分33秒」に設定してみると

長針、短針、秒針、3本の針のバランスが絶妙で、美しい。

美しい時間というのがあったのですね~。

でもディスプレイの時計は美しい時間のまま止められますが、

私たちに与えられた時計は時々刻々と過ぎていきます。

時間は1秒だって待ってはくれません。

サッカーの勝者にも敗者にも時は公平に過ぎていく。

今、できること、考えることを大切にしなくては。

時間を自然に美しく進めること、めざしたいものです。

(写真は)

スローライフの国、イタリアの素朴なおやつ。

ビスコッティ。

ピスタチオとレモン風味が爽やか。

クッキーよりはずっと庶民的な食感は・・・

そうだ、イタリアの固焼煎餅ですね♪

歯の弱い方はご用心(笑)