アディオス&グラシアス
「ADIOS ESPANA」、 さよなら、スペイン。
試合終了のホイッスルとともに
中継画面にはチリサポーターが掲げるサインボードが映し出された。
本当にワールドカップは何が起こるかわからない。
前回王者スペインがチリに2対0の完敗でグループリーグ敗退が決定。
真紅のユニフォームが繰り出す華麗なパスサッカーを披露できないまま、
ブラジルの地を去ることになりました。
アディオス、スペイン・・・。
スペインサッカーの原動力シャビはコンディション不良なのか、
ピッチに姿を見せないまま、試合は終わってしまいました。
シャビとイニエスタの170cmコンビがあのパスサッカーの生命線だっただけに、
取り残されたイニエスタは半身をもぎ取られたかのようで、
本来の輝きを取り戻せないまま90分間が過ぎていってしまいました。
真紅のユニフォームがもう見られないなんて、
サッカーファンの一人として物凄く淋しい。
同時にスペインサッカーのひとつの時代が終わったことを痛感します。
5得点をもぎ取ったオランダも2ゴール奪ったチリも
王者スペインを徹底的に研究してきていました。
パスの出しどころを確実に封じ、
スペインのやりたいサッカーをさせなかった。
優勝国の美しい真っ赤なユニフォームは既に丸裸にされていた。
頂点に立つということはこうした残酷な運命と背中合わせなのか。
「真っ赤に熟れている実を見ると手が出てしまうのよ」。
スペインのユニフォームのように真っ赤に熟した苺の実を見つけると
どんなにお腹いっぱいでも、ついつい手が伸びてしまう。
旬の苺狩りをお腹いっぱい楽しんだ友人の証言であります。
去年のさくらんぼ狩りでは通算800粒程の記録を誇る果物好きの彼女、
今年の苺狩りでは大粒のみをセレクトしながら
軽く7パック分の苺が見た目普通サイズの胃袋に消えたと言います。
「もう、さすがにお腹いっぱい、と思ってもね、不思議なのよ~、
葉っぱの陰に真っ赤な実を見つけるとね、
あ、採らなきゃ、食べなきゃって手が出てしまうの、
で、食べられちゃうのよ~」。ふ~む。
今、食べないと、次は食べられないかもしれない。
食糧調達を採集に頼っていた原始の記憶が蘇るのか?
食べ物を見つけた時に食べておかないと、次はないかもしれない的な?
冬眠前のヒグマに共通する野性的本能か。
今回の敗退はスペインサッカーもひとつの時代が完全に熟したということの
歴史的な結果だったのだろうか。
まるで渡り鳥の編隊が自由に美しく息づくように
その形を変えつつゴールを仕留めるスペインのパスサッカーは
この4年間、世界のお手本だった。
スペインに追いつき、追い越せ。
真っ赤に熟れた実は、いつか誰かに、食われる。
ワールドカップとは、なんと美しく残酷な祭典だろうか。
こうして世界のサッカーは進化し続ける。
これも歴史だ。
大会前、30歳のイニエスタが34歳のシャビについてこう語っていました。
「信じたくないけど、シャビとプレーする最後のワールドカップになる。
だから自分たちのサッカーを貫きたい」。
「身体能力」という言葉の前に苦汁を飲み込んできた二人の小さな大選手が
自らの能力を磨きあげ、築いた無敵艦隊サッカーのこと、
サッカーファンは、決して忘れない。
アディオス、スペイン。
グラシアス、スペイン。
さあ!私たちは消えるわけにはいかない。
時計を見る。
運命のギリシャ戦まであと21時間。
真っ赤に熟すなんてもっと先だ。
進化途中の青きサムライたちよ。
未来には勝利だけが待っている。
(写真は)
本日のサッカーのおとも。
新潟直送の名物「笹だんご」。
ささだんご。
アナウンサーとしては2番目の「さ」と「だ」にアクセント、
つまり高く発音しますが、
新潟出身の夫はプロでありながら(笑)
家庭内では頑固に「ささだんご」と新潟弁で平板読みをする。
そのかたくなさにふるさと愛を感じます。
美味しいよ、故郷の「ささだんご」(平板読みで)。

