温かな塀
寺町名物「谷中岡埜栄泉」の豆大福の包みを
横にしないよう大事にぶら下げながら、
小さな道も人人人、予想外の大混雑の谷中を行く。
世の中は連休だもの、人混みを想定しない私が田舎もんでございました(笑)
皐月ぶらり江戸散歩の「谷根千」編。
賑やかな路地裏をいっそ楽しみながらひとり散歩を続けましょう。
上野桜木から谷中霊園入り口のバス停を通り過ぎて、
数々のお寺さんが点在する谷中エリアに入ります。
木造家屋が建ち並ぶ細い路地が続くこの界隈は
震災でも戦災でも大きな被害を受けなかったために
大正から昭和初期の長屋など古い街並みが今も残ります
戦後の土地制度変更を機に店子が自ら住む土地を買い取り、
一坪地主になったために再開発の波をくぐりぬけて、
このあやとり長屋の風情が残ったわけです。
大きな高級車など絶対通れない、というか想定してない細い路地裏。
谷中は歩いてなんぼの味わいのある町なのです。
歴史あるお寺や下町情緒あふれる建物を改造したギャラリーなど
見どころ満載でひとつひとつじっくり寄り道したいところばかり。
寺町美術館や一軒家ギャラリー、鼈甲細工の老舗など
帰りの飛行機の時間も気にしながらもさっと駆け足で覗いて
谷中に来たら必ず立ち寄るマストスポットへ。
見えてきました、赤穂浪士ゆかりの観音寺です。
目的は境内の南側。
お寺の左側の脇道を入っていくと・・・そこは江戸時代。
角を曲がった瞬間にタイムスリップしてしまったのでしょうか。
瓦と土が何層にも重ねられ屋根瓦を葺いた土塀が向こうへ伸びています。
これが観音寺の「築地塀」。
江戸時代、200年以上前に作られた築地塀はおよそ40m。
観音寺で会合を終えた赤穂浪士が今にも塀の向こうから歩いてきそう。
谷中でいちばん好きな場所です。
寺町の風情を今に伝えるシンボルとして
1992年に台東区の「まちかど賞」も受賞している貴重な築地塀ですが、
あまりに細い脇道のせいか、ここらだけ不思議と人がいない。
鯛焼きも煎餅もメンチコロッケも売っていないせいか。
時代劇そのままの土の塀をほけ~っと眺めているのは私だけ。
二人の世界に夢中の若いカップルが地味な塀にちらりと一瞥をくれるだけで
「別に興味ないよね~」ってな感じで通り過ぎていく。
「ね~ね~凄くない?江戸時代からここにあるんだよ、この塀。
赤穂浪士が触ったかもしんないんだよ」と心の中でおせっかいしながらも
しめしめと一人じっくりと江戸情緒に浸りまくるのでありました。
スタジオセットではなかなか再現できない本物の江戸の匂い。
観音寺の築地塀は小京都を思わせる風情もあり、
ドラマや時代劇、CMなどの撮影でもしばしば利用されます。
確かにロケハンに見たら、一発で撮影決めちゃうよね~。
こんな風景に出会うたびに次は和服姿でお散歩したいと毎回思うが、
結局、毎回歩きやすいフラットシューズになっちゃうんだな。
もう、いい年なんだから(笑)次回こそ、
渡辺淳一先生の小説のヒロインみたいな和服デートしたいもんだ。
江戸情緒120%の築地塀に妄想が膨らむ。
40m続く築地塀を右手に眺めながら通り過ぎると、
まさに鎮守さまの森といった雰囲気の「初音の森」が忽然と現れます。
寺町の懐に抱かれるようにこんもりと緑が繁る小さな森は
いつも静かな気が溢れていて、
そばを通り過ぎるだけで心身が清められるような気がします。
なんか、私、いい人になったかも(笑)
さあ、三崎坂が見えてきました。
谷中散歩もそろそろ最終コーナーに差し掛かります。
明治の昔から人気のあの店で
注文した「おみや」のお寿司を買うついでに
カウンターなど空いていたら、ちょっとつまもうかな~。
さすがにお腹がすいてきた。
しかし・・・人通りもまたまた増えてきた。
谷中ランチ・・・大丈夫か。
リポートは明日へと続くのだ~。
(写真は)
ね、今にもお侍さんがさささ~っと走ってきそうでしょ。
ね、江戸時代120%でしょ。
土と瓦の美しい断面。
江戸、明治、大正、昭和、5つの時代が織りなすミルフィーユ。
そっと手で触れるとほんのり温もりを感じた。

