球春みかん
ザクザク、ザクザク。
北国の球春は雪解け道をスタジアムめざして歩く音で始まる。
野球よりも大きなボールの球春、
サッカーJ2、コンサドーレ札幌のホーム開幕戦山形戦が
昨日の日曜日、札幌ドームで行われました。
晴れた日中の日差しで歩道の雪は解け始め、
地下鉄駅からドームへ向かう赤黒に身を包んだサポーターの足元から
ザクザク、ザクザク、雪解水(ゆきげみず)を踏みしめる元気が音が立ち上る。
さあ!シーズン開幕だ!
サッカー好きたちの勇みたつ、湧きたつ喜びがあふれた春の音だ。
華々しいカクテル光線を浴びて選手入場、
おお、やはりホーム開幕戦は盛り上がる。これは勝つしかないでしょ。
そんな期待に応えるように幸先良く先制ゴールを奪ったものの、
あらら、1点返されて、結局1対1の引き分け。
喜ぶべきか、悔しがるべきか、中途半端な気持ちを持て余す試合結果でしたが、
いやいや、勝ち点1だ。初戦の磐田にも勝ってるから、これで勝ち点4。
開幕以来、負けていないんだ。
J1昇格に向けて、順調なスタートと拍手をしておこうではありませぬか。
ポジティブ、ポジティブ。
ホーム開幕戦のスタジアムは
いつにもまして老若男女さまざまな年齢層の観客の笑顔がありました。
観戦スタイルもそれぞれ。
前の席では小学生の男の子がお父さんと仲良くハンバーガーをかぶりつく。
男同士のサッカー観戦、お留守番ママにどんなお土産話をするのかな。
お隣は70代くらいのシニアご夫婦。
同点で迎えた後半ロスタイム、コンサ、コーナーキックという行き詰る場面、
その瞬間、隣のおじいさんは何とみかんの白いわたを
丁寧丁寧にむいているではなりませんか。
人生長いと観戦スタイルも泰然自若としたものです。
熱気あふれるスタジアム、我が家の炬燵のごとく、マイペースでみかんをむく。
まあ、点なんて、入る時は入る。入らんときは入らん。
おじいさんはおもむろにきれいにむいたみかんを口に入れる。
ピーッ!試合終了。
作家の村上龍氏がかつてワールドカップ日本戦観戦中、
空腹に耐えかね、ビーフサンドイッチを頬ろうと下を向いた瞬間に、
運命のゴールを見逃した、と新聞の観戦記に書いていたことがあります。
「人生、二度とビーフサンドイッチなど食べるものか」、そう思いたくなる。
確かに。サッカーというのは90分+α、何が起こるか分からない。
モノなんぞ食ってる場合じゃない、と、わが身を戒めたものですが(笑)、
みかんの白いわたをとる仙人のような余裕にも脱帽であります。
90分間立ちっぱなし、叫びっぱなし、歌いっぱなしの熱狂サポーターもいれば、
たまの親子デートを楽しむ父と子、
本物のデートでラブラブ春爛漫の若者カップルに
こたつでおみかん派のシニアサポーター。
地域にねざすクラブチームを応援するスタジアムは色とりどり。
自分スタイルで、大好きなサッカーをおおいに楽しもうではありませんか。
さあ、2014年の球春スタートです!
(写真は)
緑のピッチ、赤黒のコンサカラー、カクテル光線、
魂の奥底に閉じ込めていた我が野性が目を覚ます(笑)。
ホーム開幕戦の札幌ドーム。
今年も素敵なシーズンの幕開けです。

