知恵のチョコ
バレンタイン・イブです。
さまざまな用途(笑)のチョコの準備は整いましたか?
自分チョコ、本気チョコはもう万全ですね。
今日のお昼休みあたりは「あ~、忘れてた~」と、
職場チョコの大箱を買いに走る女性で売り場は賑わうことでしょう。
我が家は家族チョコ。
夫へのチョコは、すなわち私への自分チョコ(笑)、
なので、必然的に家族チョコ。
綺羅星の宝石チョコに見惚れ、悩んだ結果、
やはり今年も一番のお気に入り、「ジャンドゥーヤ」に決めました。
イタリア・ピエモンテ州の伝統的名物チョコレート。
へーゼルナッツの香ばしい香りと口どけは唯一無二の美味しさ。
恋に落ちっぱなしです。
冬季オリンピックが開かれたトリノはピエモンテ州の州都。
サヴォイア王家による貴族文化が香るチョコレートの街です。
ヨーロッパにチョコレートが伝わり、王家の人々を魅了した当時は、
カカオは金と同じくらい高価、庶民の口に入ることはありませんでした。
しかし、サヴォイア家は太っ腹でした。
1678年にアントニオ・アッリという菓子職人に
チョコレートの製造と一般向けの販売する権利が授けられたのです。
さてさて、大勢の人々にチョコレートを販売したいけれど、
カカオは金と同じくらい高価。どうしよう・・・。職人さんは悩みました。
そこで目をつけたのが、ピエモンテ州でたくさんとれるへーゼルナッツ。
香ばしくローストし、細かく砕いて
ペースト状にしたへーゼルナッツを混ぜてみたところ、
それは香り高く、口どけの良いチョコレートが出来上がったのです。
高価なカカオの分量を抑えるために「かさ増し」で加えたへーゼルナッツの風味が
どこにもないトリノの名物チョコ「ジャンドゥーヤ」を生み出したのでした。
17世紀の職人たちがコストダウンのために知恵を絞った賜物。
トリノの「知恵チョコ」であります。
これをきっかけにチョコは特権階級のための特別な食べ物から
老若男女、庶民の誰もが楽しめるお菓子になりました。
トリノの街にはチョコレートを求める人々やチョコレート職人が集まり、
王宮のまわりにはたくさんのチョコレート店が立ち並び、
今も世界中のチョコ好きの憧れの街として知られています。
美味しいチョコを一人占めにしなかった王様と
土地の食材を上手く活かして、チョコの普及に心血を注いだ職人魂がなければ
この天国のような口どけのジャンドゥーヤは生まれなかったのであります。
チョコとともに歴史を味わうのもおつなもの。
ちょっと不思議な山型は
イタリアの仮面劇に出てくるトリノ人が被る帽子を模したもので、
「ジャンドゥーヤ」という名前もそこから名づけられました。
トリノの街では今でも頑固に木べらで一つ一つ手作り、
金銀の紙で包むのも手作業している老舗もあります。
そうそう、チョコの個包装もジャンドゥーヤが始まりとか。
金色の紙からあらわれる小さなチョコ。
ダークチョコよりもずっと柔らかな美しい褐色をしています。
それはまさに「はしばみ色」。
へーゼルナッツの表皮をあらわすピエモンテの色。
シェークスピアが「hazel eyes」と表した文学的な瞳と同じ色をしたチョコ。
ジュリエットも虜になった・・・かもしれない。
ジャンドゥーヤ。
はしばみ色したチョコレートは
恋人たちにもおすすめです。
(写真は)
1914年創業のトリノのチョコレート店「ペイラーノ」のジャンドゥーヤ。
銀色の包みは「アンティカ・フォルムラ」
創業当時と変わらない絞り出し成形で作られたアンティークタイプ。
ミルクを加えていない伝統の味わいがトリノ市民のかつての熱狂を偲ばせる。
金色の包みがミルクを加えた「ヌオヴァ・フォルムラ」。
型で成形できるようにカカオバターを増やした新しい味わい。
可愛いミニサイズが「ミニョン」。
スプーンの上にちょうど収まるように作られています。
毎日のティータイムのソーサーにちょこんと添えて。
バレンタインを待てずに・・・食べちゃった♪

