故郷の黄色い星

レジェンドは完結などしない。

凄すぎるぞ、葛西紀明物語。

男子スキージャンプ・ラージヒル、41歳のあきらめない男が銀メダルを獲得。

競技直後のインタビュー、

満面の笑顔で「金メダルをめざすという目標ができました」と語りました。

向上心と書いて、かさいのりあき、と読む。

次なる目標が団体戦なのか、4年後の平昌を目指すということなのかは

短いインタビューの言葉からはわかりませんでしたが、

7つのオリンピックを戦い抜いてきた原動力を見るような気がします。

しなやかでスリムな肉体の下にはマグマのような熱い魂が燃えている。

あきらめない、負けたくない。

自分を支え、応援してくれたすべての人にためにも、

絶対負けたくない。

もう7~8年前になるでしょうか、

ロングインタビュー取材でお会いした葛西選手は

えくぼが優しい笑顔と穏やかな語り口が印象的で

「剃刀サッツ」とか「カミカゼ・ジャンプ」の異名をとる

競技スタイルとは別人のよう。

オフの気分転換を聞いた時にはさらにぱっと目が輝きました。

「車の運転ですかね~、頑張って憧れの車、買っちゃったんです」

当時の愛車が鮮やかな黄色のフェラーリ。

ワールドカップの賞金をはたいて手に入れたというスーパーカーは

一流アスリートにふさわしい華やかさですが、

素朴で実直な「素」の葛西選手のイメージからからすると、

ちょっと意外に思えました。

そんな私に葛西選手は笑顔のまま、言葉を続けました。

「派手でしょう?いいんです。

この派手な黄色のフェラーリに乗って下川町に帰るんです。

そうしたら子供たちは思うでしょう?

ああ、ジャンプ頑張って、練習して、オレもあんなカッコいい車買うんだって。

目に見える夢を見せてあげるのも、自分の役割かなって、思うんですよね」。

育ててくれた故郷への感謝のひとつが、黄色のフェラーリ。

派手な車に乗ることで、あえて自分にさらなるプレッシャーと責任と負荷をかけ、

「憧れの葛西選手」を見つめる子供たちにわかりやすい夢を与える。

レジェンドはすでに始まっていたのです。

まだ雪が降る前のシーズンオフのインタビューでしたが、

目の前の葛西選手の全く無駄のない肉体に

「あの~、お腹触らせてもらっていいですか?」と無茶ぶり。

「どうぞ、どうぞ」とトレーニングウェアを気軽にめくってくれる。

ベルトの上をそっと触らせてもらいましたが・・・おお・・・すぐ筋肉!

ごくごく薄~い皮膚が強靭な筋肉を覆っているだけ。

「まだ絞りきれてないので、体脂肪9%くらいですかね~、

オンシーズンは7%キープです」とさらりと、凄いことを言う。

とんでもない風圧とスピードに耐え、人間が高く遠く飛ぶためには

余分な脂肪はご法度、良質な極上の筋肉がなければならないのだ。

41歳で世界のトップに立ち続ける努力を想像するだけで、

もし自分が大富豪なら、

フェラーリでもポルシェでもマセラッティでも何十台もプレゼントしたいくらい、

頭が下がります。

国際映像のカメラもレジェンドへのリスペクトからか、

金メダリストよりも銀メダルの葛西選手を意識的に捉えていたように見えました。

鮮やかな黄色のユニフォームがソチの空を飛んだ。

そのカッコいい雄姿は

故郷の町に乗りつけた黄色のフェラーリと重なった。

見ているか、子供たち。

夢は、こうして、両手を広げて、つかむんだ。

(写真は)

雪の中の隠れ家イタリアンのデザートは

春を待つ一皿でした。

ふとした日中の陽ざしに春の予感を微かに微かに感じます。

しかし、この週末ごとの大雪。

時ならぬ大雪をもたらすのは、

天気図が春に近づいているためとも聞きますが、

心より大雪お見舞い申し上げます。

お足もと、頭上からの落雪などなど十分ご注意を。