王様のおせち
お正月2日目。
今朝も特製甘辛二刀流お雑煮で始まりましたが、
食卓のおせちの減り具合に正月二日を実感します。
用意したおせちが順調に食べられていく快感。
作ったわけでもないのに(笑)達成感と充実感に満たされます。
年末の忙しさを言い訳に
我が家のおせちはお気に入りのお店に注文するのが常。
いつのまにか「おせちで世界旅行」がコンセプトになりました。
フレンチおせちに、行きつけバル特製のスペインおせち。
イタリアとスペインで修行したオーナーシェフお手製のおせちには
上段にはタパス各種、自家製アンチョビ、下の段にはパエリャがぎっしり。
スペインのスパークリングワイン「カヴァ」のおまけも嬉しい情熱おせち。
フランス、スペインと旅して最近は「琉球おせち」。
それも「尚家の琉球おせち」であります。
札幌の隠れ家和食店特製のスペシャルなおせち。
実はこのご主人、琉球王朝最後の王様の直系のご子孫にあたる方であります。
いわば、王様のおせち。
琉球国最後の王は尚泰王、その息子は食通と名を馳せた尚順男爵。
首里桃原町にあるお屋敷は松山御殿(まちやまうどぅん)と呼ばれ、
琉球王朝伝統の食文化が受け継がれていました。
その血筋を継ぐご主人は長く東京で料理人として腕をふるっていましたが、
北海道の食材の魅力に惹かれて
数年前に札幌に隠れ家のようなお店を開いたのでした。
これまたご縁で私がこのお店を始めて訪れたとき、
ご主人の端正な風貌が写真で見た松山男爵のお顔とそっくりで驚きました。
琉球王朝最後の王様はイケメン料理男子の家系だったようです。
そんなご主人が作るおせちは、まさに「尚家の琉球おせち」。
赤いお重のふたを開けると・・・
華やかな三線や琵琶の音が聞こえてきそう。
「ミヌダル」は豚肉の黒胡麻蒸し。
「ラフテー」に「豚肉の牛蒡巻き」「魚の昆布巻き」
「青パパイヤと人参の紅白なます」「紅芋きんとん」
「紅白の沖縄天ぷら」「赤白カステラかまぼこ」
沖縄風がんもどき「うじら豆腐」「グルクンの塩麹焼き」
「シシかまと田芋」豚肉のかまぼこと田芋の唐揚げ等々、
琉球王朝料理のフルコースが二段のお重に詰められています。
どれも上品なお味で京料理を食べているかのよう。
おせち料理というとお醤油、砂糖、塩を大量に使うイメージがありますが、
沖縄料理は実は素材の味を生かす薄味が基本。
「濃い、脂っこい」というのは先入観に過ぎません。
豚肉は丁寧に下ごしらえ、調理することで徹底的に臭みや脂を落とし、
旨みだけを閉じ込めて、だしを贅沢に使い、
味の決め手はマース(塩)、お醤油は香りつけ程度にしか使いません。
那覇の琉球料理の名店では
「ミヌダル」が出来上がるまでに3日間かかると聞きました。
首里城の台所でも王様の食卓にのぼるまでに
どれほどの手間と時間と技が費やされていたことでしょう。
その伝統の味が札幌の真っ白い雪景色を眺めながら
キンキンに冷えたカヴァとともに頂ける幸せ。
そうなんです。
琉球料理はオリオンビールに限りますが、
スペインの辛口のカヴァとも相性が抜群。
沖縄とスペイン。
歌と踊りと料理が得意な民族性がシンクロするのでしょうか。
食べて飲むほどに、外の氷点下も忘れて幸福に満たされます。
・・・体重計の数字も・・・忘れたい・・・
ああお正月。
いつから始めるわがダイエット・・・
正月二日。
早くも懺悔の食い正月であります。
(写真は)
尚家の琉球おせち。
北海道の昆布が重要なポジションを占めています。
ちょっと誇らしい。
松前や江差で獲れた蝦夷の昆布は
北前船に乗って日本海を下り、北陸を経て関門海峡に入り大阪へ。
そこから東西に分かれて西は鹿児島を経由して沖縄に運ばれました。
はるかなる昆布ロードの旅。
直行便やLCCもない時代にさまざまな物、人、文化を運んだ旅。
遥かな時代に思いを馳せつつ、おせちで旅をする。
けっこう楽しい。

