食堂の風景

自分の住む街の地図をじっくり眺めたことがありますか?

旅先ならば、興味と必要に迫られて見ますが、

長年暮らす地元のそれはめったに見ないもの。

へ~、知らなかった、

そんな意外な発見があるものです。

このスタジオがあるUHBも「桑園地区」だったんだ!

昨日の「さあ!トークだよ」の特集テーマは「桑園ブラ歩き」。

札幌の中心部の北西に広がる桑園エリアは

明治8年に庄内藩士によって開墾の鍬が入れられた歴史ある地区。

大木や湿地が立ちはだかる野生の地に桑の木が植えられ、

一面桑畑が広がるその光景から「桑園」と名付けられました。

北に札幌競馬場、東は北大に接し、市立病院や卸売市場を抱え、

今では大きなショッピングセンターもでき、新築マンションが立ち並ぶ

住みたい街人気上位の住宅街でもあります。

その桑園地区の南、近代美術館の近くに位置するのがUHB。

住所は中央区ですが、同じ町内会だったんですね。

一気に親近感が増してきました。

桑園のような歴史ある街でかならず出会えるのが食堂。

生鮮市場と人の住む町が隣接する地区には

美味しい、きどらない、昔ながらの食堂が現役で頑張っているものです。

那覇の花笠食堂もそのひとつ。

牧志公設市場がある市場通りで40年以上、人々の胃袋を支えてきました。

日本一小さな古本屋「ウララ」もこの近く。

ひとりブラ歩きのお昼にはお洒落なカフェよりも食堂の引力、

いい匂いと活気にふらふらと吸い寄せられていきます。

あるお昼どき。

でっかな黄色い看板の下には大きなガラスケースがあって、

昔ながらのサンプルメニューが並んでいます。

ガラスに貼りつくように熱心に品定めをしていたのは

小学生の男の子兄弟二人とおばあちゃん。

「どれにする?おばあちゃんは煮つけ定食がいいけど、

ちょっと多すぎるかね~、食べきれないかね~」

「あ、オレ、これこれ、カレーうどん!」

「オレ、この海老のフライののったの、ばあちゃん、これがいい」

「はいはい、じゃあ、ばあちゃんは煮つけ定食に、

あんたはカレーうどん、あんたはフライの定食ね、

覚えていてね、忘れないでね」

メニューが決まった3人は市場通りの筋道にある食堂へ。

ガラスケース前のやりとりを眺めているうちに

何だか私もお腹がすいてきた。

彼らを追うように花笠食堂のアジアンな入り口をくぐる。

おばあちゃんと同じ煮つけ定食をオーダー。

大根、厚揚げ、昆布に三枚肉などをこっくりと煮込んだ

沖縄風おでんになぜか海老フライと千切りキャベツの大盛りも。

ご飯は小豆入りの赤飯、数種類から選べるお汁は沖縄風味噌汁をチョイス。

キャベツにワカメ、こんにゃく、椎茸、豚肉まで入る具だくさん。

これにもずくか沖縄ぜんざいもついて1人前。

おかずとお汁を制覇するのが精一杯、赤飯制覇はさすがに無理そうだ。

しかし・・・

斜め向こうの席で楽しげに箸を動かす三人連れ。

「ちょっと多すぎるかね~」と言っていたおばあちゃんの煮つけ定食は

ほぼ完食寸前。

おばあちゃん、食欲全開だ。

目の前にはカレーうどんの汁を飛ばしながら

あれやこれやお喋りする可愛い孫、

隣には大きな海老フライを格闘するさらに小さな孫。

おばあちゃんの胃袋が活性化しないわけがない。

一人で食べるより、みんなで食べるのが、美味しい。

旅に出ると、地元の食堂を訪ねる。

食堂の4人掛けのテーブルに一人で座っていても

忙しく立ち働くおばちゃんたちの声、厨房の音、つけっぱなしのテレビ、

そして地元の人々の素顔のお喋りが、土地の言葉が、

旅の孤独を慰めてくれる。

「お茶、ちょっと濃かったですか。

お湯、足してきましょうね~」。

三角巾に前かけ、白い長靴姿の食堂のおばちゃんが声をかけてくれる。

田舎のばあちゃんみたいによく気がつく。

はじめて暖簾をくぐったのに「ただいま」と言いたくなる食堂。

市場と人々の温もりのそばには

かならずそんな風景がある。

今度帰った時には(笑)

「てびち煮つけ定食」にしよう。

☆本日3日(火)UHB「さあ!トークだよ」のテーマは

「北海道の冬はクサイ?私、ニオイ気になりすぎ?」

ニオイの季節は夏ばかりではなかった。

寒い北海道の冬は、ニオイ注意報にご用心らしい。

私の、他人の、匂いが気になる現代。

その原因と対策法を探ります。ぜひぜひ、ご覧下さい!

(写真は)

「何にしようかな」

指さす孫とおばあちゃんの笑顔がガラスケースに映っていた。

観光客と地元の人々でいつも賑やかな花笠食堂。

レジまわりを仕切る白髪のきれいなおかみさんと

揃いの黄色いTシャツ姿のおばちゃんたちのチームワークは見事。

阿吽の流れるような連携プレーはスペインサッカーのようだ。

スルーパスのごとく注文とお茶出しを同時にこなす。

それは美しい風景だった。