再会シネマ
最近、昔の映画と再会しました。
73年公開の「フォロー・ミー」。
少年のようなミア・ファーローと主題曲が印象的な映画でしたが、
年月を経て、再び出会ってみると・・・ごめんね。
映画に謝りたくなりました。
はじめて観た若い頃には
映画が伝えたかったこと、何も見えていなかった。
典型的な英国人の公認会計士と結婚した若きアメリカ人女性、ミア・ファーローが
孤独を抱えて、ロンドンの街をただただ彷徨うストーリー。
妻の浮気を疑った夫に依頼された私立探偵がひたすらその後を追う。
だから「フォロー・ミー」。
植物園や美術館などロンドン街案内にもなる映像は素敵だったが、
始めて観た時は、多分・・・途中で寝た・・・ような気がする。
若い人妻のわがままなお散歩、くらいにしか見えなかったのだ。
それが今、映画好きディレクターさんから借りたDVDで観てみると、
何とも味わい深い作品ではないですか。
「結婚は崇高な契約だ」と、結婚した途端に世間体を第一に優先する夫。
人間としての深い孤独にさいなまれる妻。
自分を尾行する名前も知らない探偵に不思議な安心感を覚え
いつしか会話のない無言のデートを楽しむようになります。
2人が白いスクーターに二人乗りして、ロンドンの街を疾走するシーンは
そう、まるで「ローマの休日」。
王女と人妻の違いはあるけれど、
がんじがらめな孤独な女性を解放するというテーマは共通しています。
「フォロー・ミー」は「ローマの休日」のオマージュでもあったのか。
何が彼女たちを縛っているのか。
「フォロー・ミー」の原題は「Public Eye」。
そう、「世間の目」でした。
英国人として正しく生きようとする夫の最優先事項は「世間の目」。
彼女に恋した時には「自分の目」に映るその笑顔に心を奪われたのに、
いつしか目の前にいる妻を「世間の目」でしか見ていなかった。
そう気づいた夫は、探偵の白いコートを羽織って、
小鳥のように街に繰り出す妻の後を追うシーンで映画は終わるのでした。
一番近くにいる人のことを実は一番ちゃんと見つめていなかったりするもの。
知らないうちに見えない糸でお互いを縛り付けあったりするもの。
それが夫婦というもの。
心の目、曇っていませんか。
昔の映画は大事なことをそっと教えてくれる。
旧作ばんざい。
再会シネマにはまりそう。
(写真は)
そういえば見逃していた映画「涙そうそう」も深夜放送で再会した。
涙が出そうになると鼻をつまむ「にいにい」は
こんな昔ながらの市場で働いていた。
ガープ川のたもとに佇む農連市場。
この界隈も再開発によって数年後には姿を変えようとしている。
シネマの中でしか会えない風景が、ある。



