おくるみパン

今年も我が家にクリスマスの季節がやってきました。

乳白色のおくるみに包まれ、美しい粉砂糖で雪化粧した、

クリスマスを待ちながら食べるパン、

「シュトーレン」が届いたのです。

毎年、予約注文しているお気に入りのシュトーレンは

小樽の忍路海岸を望む絶品パン屋さんの特製。

ある年、夫がひとつ注文してみたのですが、

そのあまりの美味しさに、クリスマスを待たずに早々と家族で完食(笑)。

以来、厚く切りたい欲望と戦いながら、薄く薄く・・・、

禁欲を実践しつつ、聖夜を待つ日々を送っております。

クリスマスを待つパン菓子として、すっかりおなじみになったシュトーレン。

パン屋さんやお菓子屋さんの店先には

華やかなクリスマスカラーでラッピングされて並んでいますが、

ここのシュトーレンのラッピングは一味違います。

生成りの薄布に馬小屋の藁を思わせる細かな木のチップが詰められ、

中のパンはその柔らかなおふとんに優しく包まれているのです。

それはまるで産着に包まれた幼子イエスのよう。

まさにおくるみパン。

そっと両腕で抱きとめたくような愛おしい姿をしています。

ストールなどのおくるみを表す言葉から名付けられたシュトーレン。

特製のおくるみの上から、毎年、素朴なラッピングが施されるのですが、

今年はもみの木を思わせる緑の小枝が白い木綿糸でくくりつけられていました。

添えられたクリスマスタグの裏には

「小麦粉 バター 砂糖 生クリーム レーズン クルミ アーモンド

オレンジ レモン アップル 卵 パン酵母 シナモン バニラ」と

原材料が生真面目に記されています。

つましく祈る清貧の暮らしの中で

1年に1度だけの贅沢を許された特別なパンなのだという歴史が

この豊かな材料から伝わってきます。

美味しいからと分厚く切って、ばくばくと頬張るものではないのでした。

反省反省。

シュトーレンは届いたその日から

一切れ一切れ、クリスマスを待ちながら、大事に大事にいただくうちに

フルーツやナッツやバターやお砂糖がしっとりと溶け合い熟成されて

ますます美味しくなると言います。

食欲に負けずに禁欲を貫いた者だけが到達できる味わい。

クリスマスまで

試される日々が続きます(笑)

(写真は)

2013年のおくるみパン。

幼子を抱くように両腕のなかに入れてみる。

忘れていた遠いあの日の感触がよみがえる。

かさこそ、かさこそ。

藁がたてるかすかな音。

おむつをつけた幼子がたてるいとしいあの音に

よく似ている。