甘辛善哉

秋です。

待ちに待った新そばの季節がやってきました。

全国的に評価の高い北海道産の新そばを食べ比べるという

そば好きにはたまらないイベントが昨夜、札幌で開かれました。

「平成25年度新そばを楽しむ会・新そばまつり」。

司会としてお手伝いさせていただいたのですが、

参加者の皆さまの幸せそうな「手繰りっぷり」に感動。

日本人におそばは良く似合う。

富良野、北竜、新得の三つの生産地の新そばを

順番に食べ比べるという趣向、

「味の違いはいかがでした?」と終了後に何人かのお客さまに聞いてみると、

「ん~!全部旨かった!」

「え~っと、違いはあったけど、口では言えない(笑)」

「とにかく、最高なのさ、新そばは」などなど。

そう、旨いが一番。無粋な質問でした。

食リポじゃないんだから、旨ければ、それが最高。

新そばを美味しく召し上がっていただくために、

テーブルにはおつまみの揚げそば、特製そばみそ、

生わさびに刻みたてのネギ、パリパリの刻み海苔、削りたての鰹節もご用意。

そして卓上花には赤い可憐な小さなお花。

「タカネルビー」という品種、そばの花が文字通り華を添えます。

そばに相性の良い北海道産の日本酒、焼酎、ビールとドリンクも充実。

締めにはそば湯、デザートもそばにこだわった「冷やしそばぜんざい」でした。

本番前にちょっとだけ試食させていただきましたが、これまた絶品。

一口大の蕎麦がきに甘味を抑えた小豆がたっぷりかかった一皿。

はじめに粒のしっかりした北海道産の小豆の風味と香りが甘味が際立ち、

ほんの少し遅れて、ふわりと、新そばの爽やかな香りが追いかけてきて

お口の中で秋の協奏曲を奏でます。

甘党にはたまらない。

「いやいや、野宮さん、実はぜんざいは辛党、酒呑みの好物なんですよ」

酒造組合の方が意外なことを教えてくれました。

お汁粉やぜんざいを出す甘味処では、

甘いもんをあてに、きゅっと一杯楽しむ辛党が実は少なくないんだそうです。

「だって、日本酒を作る過程は、まずお米を発酵させて甘酒を作るわけだから、

甘いもんと、基本的に同じなんですよ、

酒が好きってことは、ホントは、甘いもんが好きってことなんです」

なるほどなるほど。

「酒に甘いもんは合うんです。だって、ブランデーにチョコ、合うでしょ?」

確かに確かに。

ってことは、大吟醸にぜんざいも、あり、なわけね。

「辛党の俺が、甘いもんなんて食えるかい!」なんてのは

「ありゃ、ポーズ、ポーズ(笑)」。お酒のプロが豪快に笑い飛ばします(笑)。

酒が好きな辛党の舌は、実は甘党らしい。

ふふっ。何だか、酒呑みが可愛らしく思えてきます。

織田作之助の「夫婦善哉」。

酒呑みのどうしようもないぼんぼんとそんな男に惚れてしまった芸者の道行き。

なぜか二つの器で出される夫婦ぜんざいは、

ダメ男の可愛らしさを表す小道具の役目もあったのかもかもしれません。

甘辛善哉。

人は一面だけでは語れない。

だから、喧嘩してもあきれても、また笑い合って、肩寄せ合って生きていく。

甘さも辛さも人生の味。

(写真は)

新そばまつりのデザート「冷やしそばぜんざい」。

ホテルの金色の縁どりのお皿がちょっとよそゆき気分。

秋のおやつに手作りしてみようかな。