ぼくの宝物
机にしまっていたぼくの宝物は
古代中国から伝わってきた歴史的お宝だった。
神戸発の素敵なニュース。
5年前の冬のある日、
古墳を整備した公園で友達と鬼ごっこをしていた小学1年生の少年が
「温泉マークみたいな模様がついた」破片を見つけました。
5センチほどの金属片で文様が入っています。
「昔のお金かな」と思い、ビニール袋に入れて、机の引き出しにしまって、
時折、出しては「きれいだな」と眺めていました。
そして6年生になったこの春の社会の授業中のこと。
教科書に載っていた青銅器の写真を見て、はっとします。
「あ、あのお宝に似ている!」。
気づいた彼は校長先生に相談、連絡を受けた市教委が鑑定すると、
国の重要文化財である「浮彫式獣帯鏡」の一部であることがわかったのです。
86年の発掘で古墳から出土した青銅器の形状と材質がぴったり一致。
1世紀ごろの古代中国から伝わった国の重文の一部が
ぼくの机の引き出しに、大事にしまわれていたのです。
少年の好奇心が発掘した「お宝」であります。
見つけたきっかけは
「鬼になってヒマだったので、虫を探していたら、落ちていた」とか。
子供の「ヒマ」は歴史的発見にさえつながる。
大人の目からは一見、無駄で無用に見える、ぼ~っとしている子供の時間。
これこそが子供にとっては宝物の時間なのだ。
「ヒマだ~、つまんな~い」と原っぱや畳の上でごろごろする時間。
そんなぼんやり、うだうだしている時にこそ、
子供の頭や心や感性はめまぐるしく活発に活動し、発達するのだそうです。
「あ~、つまんね~、何かして遊ぼうぜ」と
創造性をはぐくむ絶好の機会にもなる。
学校から帰ると塾や習い事でスケジュールぱんぱんな子供たちも多いようですが、
ヒマな無駄な時間も、実は宝物のようです。
息子がサッカークラブに入りたての頃、
小学1年生の彼は実質「戦力外」(笑)、
練習試合に出させてもらったものの、ゴール前の攻防とは無縁。
ぼや~っと反対側のエリアで一応ディフェンスのふり。
一向にボールは来ない。
ヒマだ。
やがて彼はグラウンドにしゃがみこみ、土の上に小枝で「お絵かき」を始めた。
一応、サッカーの試合中である。
だだっぴろいサッカーグラウンドで、
だぶだぶのユニフォームで、お絵かきをする息子。
「将来、Jリーガーってことは、ないな」。
親がひとつ夢から醒めた瞬間でありますが(笑)、
今思えば、貴重なお宝の時間だったのだ。
ヒマな時間に何かがはぐくまれていた、はず、だ。
「ヒマだ~」とごろごろできる原っぱも畳も、今は少なくなったけど、
子供の創造力や想像力がごろごろできる時間と空間を
大人は作ってあげなくちゃ、いかん。
無駄と無用こそが、もしかすると、現代の宝物なのかもしれません。
(写真は)
息子の学習机の引き出し。
めぼしい物は進学先に持っていったはずだが、
主が留守の間に、ちょっぴりだけ、開けてみる。
きらきら光る魚型のカッターに
謎のお守りと
謎のコイン。
国の重文でないことだけは確かである(笑)


