扉の向こう

秋めく一夜、昨夜はフレンチ惣菜の夕べ。

気軽さは居酒屋さん、お味は本格フレンチお惣菜のお店で

楽しいひとときを過ごしました。

新鮮イワシのエスカベッシュや焼きニョッキなどなど

同郷の室蘭出身シェフの味は故郷遺伝子が近いせいか、

初めてなのに、懐かしいくらい美味しくて。

秋の香り満載のお料理を肴にワインもお喋りも進み、

盛りあがったのは「エレベーター」話。

基本的に社内の人間しか乗らない自社ビルのエレベーターと

複数のオフィスが同居するいわゆる雑居ビルではかなり風景、事情が違います。

後者の場合は、基本、公共空間。道路と変わりません。

それなりの公共マナーが必要とされるはずですが、

意外に多いのが

「昼時の爪楊枝くわえシーシー軍団」や

「扉閉まった途端の人格豹変症候群」。

あるある、あるよね~!

次から次と目撃証言が飛び出します。

「爪楊枝がだめとはいわない、でも、エレベーターの中はないでしょ」

「百歩譲って、くわえるまでは妥協しても、シーシーはアウト」

容赦ない(笑)。

そして「扉閉まった途端の人格豹変症候群」の症例。

エレベーターがある階で止まり、「開」のボタンを押して待つ。

「それでは、よろしくお願いいたします!失礼いたします!」

商談を終えた数人がお得意先と思しき相手に深々とお辞儀をして乗り込む。

こっちも気を使って良きタイミングで「閉」のボタンを押す。

すーっと滑らかにエレベーターの扉が閉まった瞬間、

60度に下げた頭をもたげながら、小さな毒が吐き散らされるのだ。

「ったく、話が全然違うっての」「んとだよな、どーしろってんだよ、こっちに」

ぶつくさぶつくさ・・・

商談の間押し込めていた「本音」という小さな毒が密室空間に充満する。

乗り合わせていた人間の息苦しさったらありません。

「あの、ここ、御社の喫煙室でも休憩室でもないんですけど」

心の中でこっちもぶつくさ(笑)。

エレベーターは公共空間、大人のマナーを守りましょう。

「扉の向こうは、基本的にパブリックなんだよ」

歩く百科事典のような博識ディレクターが一言。

欧米のホテルの場合、

居室の扉は廊下に向かって開くようには作られていないそうだ。

扉の向こうの廊下はパブリックスペースだから、

居室の扉は部屋の内側に向かって開くように設計されているという。

パブリックとプライベートの境界は曖昧にしない発想。

ホテルの廊下をスリッパや浴衣姿で歩くなんて卒倒もの、ありえない。

こうした公共の価値観は、建物の設計段階から徹底しているのだ。

家の内と外を曖昧につなぐ日本の「縁側」的発想は素敵だけど、

さすがにエレベーターに縁側はしつらえない。

構造的にも無理だ(笑)

扉の向こうはパブリック。

昼時の爪楊枝にご用心ご用心。

(写真は)

食感が楽しい「焼きニョッキ」。

表面がカリッ、中はもちっ。

濃厚なトマトソースとカリもちのマリアージュは満点♪

食べた後に懐かしい余韻が残る。

遠い日、故郷室蘭で食べた、そう、いももちだ。

母がストーブの家で焼いてくれた香ばしいカリもちないももち。

室蘭っ子シェフに降参です。